2017年7月 『幌尻岳・七つ沼カール』 July 2017 "Mt Porosiri & Nanatsu-numa Curl"

長年の夢だった。どれぐらい長年かというと、学生時代までさかのぼる。
友人の有馬 滋君から、「日高山脈には夢の楽園のような所がある」と聞かされていた(有馬 滋君については、このブログの2016年11月『晩秋、落穂ひろい』の坂本直行の記事を参照してください)。それが七つ沼カールである。広島出身の私には「カール」という言葉の理解ができなかった。「氷河圏谷」と説明されてもピンと来なかったが、「北海道」、「日高山脈」、そして「氷河」と聞くだけでワクワクした。もう40年以上も昔のことである。

憧れの七つ沼カールに下り立ち、テントを張った。

c0219616_09003068.jpg
c0219616_09002961.jpg
七つ沼の辺はお花畑。我々以外には、誰もいなかった。いたのは1頭のオス熊、鹿、そしてナキウサギ(声のみ)。気付かないほうが良かったのかも知れないが、夕刻、オス熊がカールの上辺で草を食べているところを見つけてしまった。だんだんと降りてくる。鍋を鳴らすと、私たちに気付いた様子だった。しばらくこちらを視ていたが、そしらぬふうに草を食べ続けた。彼が去るまではこちらも安心できず、1時間あまり観察していた。すると彼はハイマツ林に入り込み、そのまま見えなくなってしまった。そこがねぐらだったようだ。翌朝、カールの山道にはホヤホヤの大きな糞が残されていた。

c0219616_09010946.jpg

幌尻岳の肩から俯瞰した七つ沼カール。

c0219616_09003072.jpg

池のたもとには、チングルマ、ハクサンイチゲ、アズマギク、エゾノツガザクラ、・・・。まさに夢の楽園だった。


幌尻岳は日高山脈の盟主(2053m)。

c0219616_09003034.jpg
c0219616_09002908.jpg
長い林道歩きがつらく、沢登りが楽しく、そして山上に楽園が待つ。盟主にふさわしい山だと思う。その幌尻岳から戸蔦別岳へと縦走した。

c0219616_09003191.jpg
c0219616_09003197.jpg
c0219616_09002884.jpg

c0219616_09293784.jpg
登り終えて、大きな達成感があった。つらい縦走、テント泊を経験したこと、熊に出会ったこと、そして長年の夢を果たしたこと。そして、何よりも歩ききった衣子に脱帽、そして感謝。この日が結婚42周年目の記念日だった。


[PR]
# by kobayashi-skin-c | 2017-07-21 09:44 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
2017年7月 『大雪山のお花畑』 July 2017 "Alpine Flowers in Mt Taisetsu, Hokkaido"
Facebook仲間、山ガイドのショウヘイ君、ミッチーさんの「今年の花は素晴らしい!」の投稿に触発されて、大雪銀泉台から、赤岳、小泉岳、緑岳へと歩いた。

ところが、しょっぱなから大きな雪渓。朝の早い時間、雪面は硬く、トラバースはおっかなかった。この雪渓の下が第一花園のはずなのだが。
c0219616_12363393.jpg

第三雪渓に至っては、まるでスキーゲレンデ並みの広さ、長さ。
c0219616_12363364.jpg
下りでは思いっきり尻セードを楽しんだが、スプーンカットの雪面がお尻にガツンガツンとぶつかり、痛かった。
c0219616_12363457.jpg
雪渓上部の黒い影は、熊ではありません。衣子です。

c0219616_12363346.jpg
第四雪渓にて、「お花畑やーーい、どこにあるの?」



c0219616_12442017.jpg
第四雪渓を登り越してから、いました、いました。花々が迎えてくれました。まずは見渡すかぎりのチングルマ。
c0219616_12442187.jpg

いつ見ても可愛いチングルマ。

c0219616_12442008.jpg

ピンク色が珍しいイワウメ。

c0219616_12442177.jpg

名前はいかついが、清楚で可憐なイワヒゲ

c0219616_12442107.jpg

鮮やかな黄色のタカネスミレ

c0219616_12441976.jpg

笑いかけてくれているようなエゾコザクラ

c0219616_12442072.jpg

可愛いぼんぼり、エゾノツガザクラ


そして今日お目当てのホソバウルップソウが小泉岳から緑岳への稜線に咲いていた。そこは楽園だった。

c0219616_12502663.jpg

少し盛りは過ぎていたのかも知れないが、コバルトブルーの花が美しい
ホソバウルップソウ

c0219616_12502749.jpg

向こうには残雪を被るトムラウシ山、そして十勝連峰。

c0219616_12502730.jpg

ホソバウルップソウ、タカネスミレ、エゾオヤマノエンドウ、・・・、まさに楽園

c0219616_12502677.jpg

そして高山植物の女王、コマクサ

そして、

c0219616_12562168.jpg


今日一日、ありがとう。


[PR]
# by kobayashi-skin-c | 2017-07-17 12:57 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
2017年7月 『夏、岩壁に遊ぶ。小樽赤岩』July 2017 "Red Cliff in Otaru, Hokkaido"
山の基本は「クライミング」である、と思う。昔スイスでトレッキングをしていた時、スイス人から山は好きですか?とたずねられて、"Yes, I like climbing!"と答えたら、驚嘆の目で見られた。アルプスでclimbing(クライミング)とは岩登りであり、私が歩いていたのは、トレッキングでもない、ましてやクライミングではない、「ハイキング」なのだそうだ。いささかがっかりした。

北海道に穂高や谷川岳のような大岩壁はないが、素晴らしい岩ゲレンデがある。小樽赤岩だ。昨年、ノマドの宮下親分に何度か連れられて赤岩で練習をした。そのときは、昨夏のモンブラン・マッターホルン遠征のための練習であったが、もう少し山の基本のクライミングに慣れ親しみたいと思った。なんせ、私は高所恐怖症なもんだから。

コバルトブルーの海、最近は積丹ブルーと呼ぶのだそうだ。その海から岩壁が聳えている。なんとも素晴らしい景色だ。
c0219616_12172305.jpg
c0219616_12172330.jpg
c0219616_12172438.jpg
c0219616_12172437.jpg
5級の岩壁「火の見櫓」(5.9)は攀じ登れたが、5.10aは登り始めのオーバーハングをクリアすることができず敗退。宮下親分は5.12の岩壁を、スパイダーマンのごとく軽々と攀じ登った。かっこいい!
c0219616_12172233.jpg

ところで、札幌藻岩山に頻繁にこの看板がかかっている。クワバラ、クワバラ
c0219616_12172304.jpg



[PR]
# by kobayashi-skin-c | 2017-07-17 12:24 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
2017年6月 『初夏、生き物溢れる北大キャンパス』 June 2016 "Early Summer, Hokkaido University"

初夏、北大キャンパスには夏の匂いが漂っている。夏草が生い茂り、芳香を放つ。少し、暑苦しい匂いだ。これが生きる匂いなのだろう。北大キャンパスに命が溢れている。

c0219616_11190731.jpg
オオハナウド

c0219616_11190895.jpg
ピンク色のハマナス、芳香が強い

c0219616_11190868.jpg
クロユリ

c0219616_11190991.jpg
・・・アヤメ

c0219616_11232731.jpg
オオウバユリ

c0219616_11280070.jpg
新渡戸稲造とヤマボウシ


そして、草木に育まれ生きる動物たち。
c0219616_11295982.jpg
キタキツネ、やはり野生の顔をしている。

c0219616_11310397.jpg
オシドリの子育て。12羽が孵化したが、10羽に減ってしまった。

c0219616_11191035.jpg
中央ローンにて、満開のヒナギクの中で女学生が本を読む。
学生たちも、この北大の自然に育まれながら大人になる。

c0219616_11190915.jpg
ポプラ並木でこんな生き物にも出会った、・・・・・
いや失礼! 第106代北海道大学応援団西尾和真君である。

北大は素敵である。つくづくと思う。

c0219616_11433692.jpg
ただ、こいつは厄介だ。とくに子育て中の初夏、親カラスは気が立っていて、そばを通るヒトに襲い掛かる。散歩中、執拗に威嚇され、私が足早に去ろうとした瞬間、後ろから頭をガツンとつつかれた。出血はなかったが、けっこう痛かった。カラスも必死に生きている。



[PR]
# by kobayashi-skin-c | 2017-07-17 11:46 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
2017年6月 『蕎麦懐石と八ヶ岳縦走』 June 2017 "Soba Dinner & Mt Yatsu"
上ホロカメットク山へ行ったとき、ノマド宮下親分から「八ヶ岳縦走」の計画があることを聞いた。何でも宮下親分のガイド仲間が、八ヶ岳の山麓に蕎麦のお店を開き、そこで美味しい蕎麦と酒を楽しむことができるとのこと。八ヶ岳はまあ「蕎麦のお供」程度とのお誘いであった。一にも二にも「ご一緒します!」。

かくして穂高からたった2週間後、ふたたび札幌から東京へ飛び、そして新宿駅から中央本線特急あずさ号に乗車していた。八ヶ岳山麓の茅野駅で下車。霧が峰ビーナスロード沿いにその蕎麦屋があった。
c0219616_22130459.jpg
c0219616_22130491.jpg
その名は「六方庵楓林」。花々に囲まれた風情ある庵である。八ヶ岳の麓、美しい田園。そしてご主人の楓林さんが丹精をこめた料理の数々に舌鼓を打ち、美味しい蕎麦をたぐった。もちろん酒も進んだ(進み過ぎた)。
c0219616_22181428.jpg
c0219616_22181514.jpg
c0219616_22181459.jpg

翌朝、楓林さんも一緒に山に向かった。夏沢鉱泉からオーレン小屋、さらに夏沢峠を経て根石岳に登り、硫黄岳山頂を経て硫黄岳山荘に。
c0219616_22244165.jpg
根石岳山頂にて。後列の中央が、蕎麦名人であり名ガイドの楓林さん。

c0219616_22244202.jpg
硫黄岳山頂。そして鞍部の硫黄岳山荘に宿泊した。なんとも快適な山小屋であった。
c0219616_22244014.jpg

翌日、山は強風が吹き荒れていた。硫黄岳山荘から横岳へと向かう途中、ときおり突風が吹き抜ける。そのたびに身をかがめたが、前を歩く衣子の体が突然フワリと浮き上がり、左側に数メートル吹っ飛んでいった。しばらく起き上がれなかったが、頭も打っておらず何とか無事の様子であった(後で分かったが左側肋骨骨折の模様)。これが稜線上であれば命はなかったかも。

今回の八ヶ岳縦走には「蕎麦懐石」のほかに「満開のつくも草」の目玉もついていたが、寒さと強風で花弁は閉じたままであった。残念。
c0219616_22342952.jpg
c0219616_22342900.jpg
八ヶ岳の最高峰赤岳山頂にて。

赤岳山頂を越えてからの稜線歩きが面白かった。こんなにスリリングとは!「蕎麦」と「つくも草」のお供のはずの「八ヶ岳」がこうも凄い山とは想像だにしていなかった。靴は軽登山用、バックパックにはほんの少しの着替えのみのハイカーなみ。それにしてもクサリ場、梯子の連続は楽しかった。
c0219616_22391946.jpg
c0219616_22392090.jpg
c0219616_22391936.jpg

c0219616_22414798.jpg
キレットを越えて今日歩いた稜線を振り返る。迫力あるな。この写真に、今回の山行で一枚だけの自分が映る。左下に見える靴だ。

三日目の宿は「青年小屋」。5代目小屋主の竹内さんは、やはり宮下親分のガイド仲間。その夜、竹内さんからお酒の差し入れを受けた。「わしが國」。この「青年小屋」をお訪ねになった浩宮殿下も痛飲されたとか。有難く頂戴した。
c0219616_22444941.jpg
c0219616_22460848.jpg
左:ノマド宮下親分、右:青年小屋主の竹内さん
c0219616_22460826.jpg
最終日は快晴。まさに梅雨の晴れ間。青年小屋から八ヶ岳南端の編笠山に登り、小淵沢に下山した。素敵な山々に、木々に、草花に、そして山仲間に感謝、感謝。
c0219616_22532993.jpg
c0219616_22532850.jpg


[PR]
# by kobayashi-skin-c | 2017-07-16 22:54 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)