2011年1月25日教室 『ニキビの原因と治療 -ニキビでお悩みのあなたへ-』
「たかがニキビ、されどニキビ」
一生のうちでけっして通り過ぎることができない皮膚のトラブルが「ニキビ」。だれしもが
経験する「ニキビ」。ニキビは、正確には「尋常性ざそう」とよばれます。
ほんとうに「たかがニキビ」と済ませて良いのでしょうか。お父さんも言うように「ニキビは
青春のシンボル、気にすんな!」で終わらせて良いのでしょうか。

けっしてそうではありません。ニキビが患者さん(悩む人)にとって重大なQOL障害となる
ことが分っています。QOLとは、"Quality of Life"。「生活の質」、「生きることの充実感」
と呼ばれています。ニキビが起こる年齢はちょうど思春期であり、子供の体が大人の体質に
変わるころです。男子であれば声変わりするころ、女子であれば初潮を迎えるころです。
この思春期には体の内外にたくさんの変化が起こると同時に、心・精神にも重大な変化が
起こり始めます。「自我の形成」です。「自分って何だろう?誰だろう?」、「お父さん、
お母さんに甘えたい、でもうっとうしい」などの感情が心の中で渦巻きはじめます。
そして、ついには「自我の確立」に至るのですが、自我の確立には「自らへの自信・自尊心」
が欠かせません。この「自らへの自信・自尊心」の形成をニキビが大きく損なわせることが
分っています。

人はだれしも"Body Image"を持っています。窓ガラスや鏡に映る自分の姿を確かめたり、
自分の影の足の長さを測ったり、自分を確かめながら、自分の理想の姿を心の中に描いています。しかしながら、理想の姿(ideal body image)と現実の姿(real body image)の
間には溝があり、その溝に苦しみます。好きな人ができたりすると、その苦しみはなお
いっそうのこと深まります。理想の姿を見て欲しいのに、自分の現実の姿はなんとかけ
離れているのだろうか、と。意外とその好きな人の瞳の中ではニキビなんて見えてない
のですが、でもBody Imageは自分の心の中のできごと。好きな人の気持ちも確かめない
まま、「自らの自信・自尊心」に障害を受けて自信を失ってしまいます。ことに顔の皮膚の
変化は心の中の重大なできごととなり、自我の形成に大きな悪影響をおよぼしてしまいます。
それがニキビの問題なのです。

「たかがニキビ」ではありません。

「されどニキビ」。世界のニキビ治療は大きく変わっています。 日本でも、やっと、
ニキビの治療が大きく変わりました。病院で処方される新しい外用薬がニキビの治療・予防に
役立ちます。日本皮膚科学会ではこの新薬の登場に合わせて「尋常性ざそうの治療ガイド
ライン」を作成しました。今まで以上に実証性をふまえた治療が可能となっています。
健康教室では、ニキビの起こるメカニズムとこの新薬(アダパレン、商品名ディフェリン
ゲル)についてお話しいたしました。

新薬の情報・使い方は、クリニックのパンフレット等でお知らせいたします。

ニキビはどうして起こるの?

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思春期、男性ホルモンの分泌が高まります(女性でも副腎で男性ホルモンは作られます)。男性ホルモンは皮膚にも、とくに毛嚢(毛包)、脂腺、アポクリン腺に働き、毛包出口(毛穴)の角質肥厚が起こり、同時に高まる脂腺の活動・皮脂の増加によってニキビが出現します。これが白ニキビ、黒ニキビです(面ポウ)。毛包にはニキビ菌が常在しているため、毛穴が閉じると同時にニキビ菌の活動が活発となり、炎症を起こしてしまいます(赤ニキビ)。さらに炎症のため毛包が破壊されると、強力な異物反応がおこり、大きく腫れたり、皮膚のひきつれが起こってしまいます(ニキビケロイド)。
 毛包出口(毛穴)の角質肥厚を改善させるのが新しいニキビ薬=アダパレン(商品名ディフェリンゲル)です。ニキビ菌を抑える薬としては抗菌薬であるミノマイシン、ルリッド、ファロムなどの内服薬、ダラシン、アクアチムなどの外用薬が使われます。

日常生活の中で気をつけること

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早い時期のニキビには主に外用剤(塗り薬)が用いられます。ことにディフェリンゲルが有効です。ダラシン、アクアチムの併用も効果をいっそう増します。しかし炎症が進んだり、化膿して痛いばあい、ミノマイシン、ルリッド、ファロムなどの内服薬による治療が必要です。外用のコツ、注意がありますので主治医・看護師の指示をよく聞いてください。それがニキビを治すコツです。
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ニキビで行うスキンケアの目的は、毛穴がふさがないようにすることです。洗顔は重要なスキンケアのポイントです。朝起きたときの洗顔はだれでもしますが、外出先から帰ってすぐの洗顔は面倒になりがちです。化粧品、汗やほこりなどで毛穴がふさがれないよう、習慣づけましょう。ごしごしこする洗顔はかえって毛穴を硬くしてつまりやすくさせます。またニキビの炎症を悪化させますので、やさしく洗顔しましょう。
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「ニキビはアンタッチャブルがいい」。ニキビをしぼったり、かさぶたをはがしたりするのは百害あって一利なし。ニキビ痕の原因となります。
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ニキビの原因となる毛穴の閉塞(つまり)を防ぐことがニキビ予防・スキンケアの基本です。
リキッドタイプのファンデーションを使っていませんか?セーター、マフラーなどで顎がこすれていませんか?髪の毛で額(おでこ)、頬がこすれていませんか?
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医学的には、ニキビだからと言って食べてダメなものは特にありません。チョコレート、コーヒー、ナッツ類などが「ニキビに悪い」とよく言われますが、根拠はありません。自分の経験をとおして「食べ過ぎた時にニキビが悪くなる」物だけ、控え目にしましょう。



以上のイラスト、日常生活の注意点は「にきびの治療と予防」(監修:京都大学大学院医学研究科皮膚科学教授 宮地良樹先生、提供:サノフィ・アベンティス)から、宮地良樹先生、サノフィ・アベンティス(株)のご好意により引用させていただきました。
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by kobayashi-skin-c | 2011-01-26 17:56 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
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