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2011年2月22日教室 『皮膚のできもの、ほくろ、腫瘍』
でもの、はれもの、ほくろ、イボ、がん、メラノーマ、・・・・・、皮膚にはいろいろな腫瘍があります。皮膚にはどんな種類の腫瘍があるのか、どんなサインが危ないのか、勉強しました。

腫瘍とは、本来の機能(働き)、形態(かたち)を失った細胞が無秩序に増殖したもので、ヒトの命まで脅かすものを悪性腫瘍と呼び、一定の大きさでとどまるものを良性腫瘍と呼び、その中間・境界線上にある上皮内がん、中間型があります。

腫瘍のでき方には、
1.発生の段階で(母親の1個の卵子細胞に父親の精子が結合することにより、人体を形づくる60兆個の細胞にまで分裂します)、複製ミスのためDNAに変異を起こし、胎児の間に腫瘍の元ができたもの(例:ほくろ、あざ、多くの小児がん)
2.生まれてから後、さまざまな外的・内的刺激により、DNAに変異を起こし腫瘍が生じるもの、 があります。

皮膚は人体の最外層にあるため、紫外線をはじめとしたさまざまな外的刺激を受けやすいことから、加齢とともに多くの腫瘍が生じます。また皮膚は表皮、メラノサイト、免疫細胞、毛、つめ、あせ、血管、神経、筋肉、皮下脂肪などさまざまな働き、細胞があるため、じつに多様な腫瘍が生じます。生命にかかわる腫瘍が生じることも事実です。

そして、皮膚はさまざまな働きをしています。体を守る、体温を維持する、黴菌・異物を排除する、汗をかく、毛を生やす、爪をのばす、痛い・かゆい・つめたい・熱いの感覚、・・・・。そのために特殊な構造をたくさん持っています。腫瘍はそのひとつひとつから生じます。
表皮は角化細胞(顆粒細胞、有棘細胞、基底細胞)、免疫細胞、色素細胞(メラノサイト)からなり、表皮からは、脂漏性角化腫・日光角化腫・基底細胞がん・有棘細胞がん・ボーエン病・ケラトアカントーマ・疣状角化腫・疣状がん、免疫細胞からは、ランゲルハンス細胞腫(組織球症X)、リンパ球腫、リンパ腫、菌状息肉症、ATL、色素細胞(メラノサイト)からは、色素性母斑(ほくろ)・青色母斑・悪性黒色腫(メラノーマ)などの腫瘍が生じます。汗の汗腺・汗管からは、・・・・・、毛の毛包からは、・・・・・、血管からは、神経からは、筋肉からは、・・・・・・・・、実にさまざまな腫瘍が生じます。その中から、どんな腫瘍であるのか、良性なのか悪性なのか、正確に判断することは専門医でも困難なことがあります。より専門性の高い大学病院の医師にその判断をゆだねることもあります。

みなさまにとって大切なことは、自分の皮膚の変化を見逃さないこと、変化を自己判断なしに専門医の相談を早めに受けること。その参考となるよう実際の皮膚のできもの、ほくろ、腫瘍の姿を認識して下さい(健康教室ではおおくの皮膚腫瘍の実際の姿を写真でみていただきました)。
by kobayashi-skin-c | 2011-02-22 20:54 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
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