2012年8月28日教室 『水虫、とびひの注意』、『夏山の涼』
夏に多い皮膚の感染症。その代表的なものが『水虫』、『とびひ』ですが、じつは夏の真っ盛りよりも、夏の終わりから秋にかけて流行・悪化します。その症状とはどんなものか、治療はどうするか、日常生活の中でどんな注意が必要か、健康教室では皆さまと一緒に勉強しました。異例の厚さが続く札幌ですが、この夏に訪れた山々の写真、思い出がphoto & essayに綴られています。『夏山の涼』はそちらでお楽しみください。

皮膚の感染症には、

•ウイルス感染症
イボ、ミズイボ、ヘルペス、みずぼうそう
はしか、風疹、リンゴ病、………
•細菌感染症
とびひ、吹き出物、毛包炎、蜂窩織炎、梅毒、結核、・・・・
•真菌感染症
水虫、たむし、インキン、カンジダ、………
•動物・寄生虫感染症
頭虱、毛虱、ノミ、疥癬、………
など様々なものが含まれます。症状もいろいろです。

私達の体はつねに、これらの感染症から守られるよう、免疫力を発揮しています。皮膚では、「皮膚そのものが免疫組織」と言って過言ではなく、皮膚(表皮)細胞自身が、抗生物質様の物質を作って皮膚を守っています(自然免疫作用、β-デフェンシンなど)。そして皮膚には抗原提示細胞、リンパ球、組織球などの免疫特殊部隊が常駐し、がっちりと皮膚・体内を守っています。しかし、夏から秋にかけて、夏バテ気味の体では免疫力が低下して、感染症が起こりやすくなっているのです。

代表的で、注意が必要な皮膚の感染症を知っておいて下さい。

細菌感染症1.伝染性膿痂疹

 c0219616_12311315.jpg・「とびひ」と呼ばれています。
  「火」が飛ぶようにうつっていくからです。
 ・黄色ブドウ球菌感染症です。黄色ブドウ球菌は
  もともと皮膚の常在菌ですが、免疫力の低下と
  ともに、とくに皮膚の弱ったところ(湿疹、むしく
  われ。けがの場所など)で繁殖し病気をおこし
  ます。



c0219616_12334851.jpg ・治療は、抗生物質内服と保清(シャワーなどで良く洗う)。
 ・大人ではきわめてまれです。子供同士で移って
  しまうので、学校・幼稚園・保育園を休む必要は
  ありませんが、直接の接触、とくにプールは避け
  るべきです。
 ・黄色ブドウ球菌の10-20%に耐性菌が存在しま
  す(MRSA)。治りづらい時、再発しやすい時は、
  耐性菌の検査が必要です。
 ・黄色ブドウ球菌の毒素で重症化するとSSSSと
  呼ばれる、全身が真っ赤に痛くなり、発熱、倦怠感が生じる状態になります。

皮膚の細菌感染症2.毛包炎、癤(せつ)、癕(よう)
 c0219616_12413313.jpg・吹き出物、できものと呼ばれています。
 ・毛穴の黄色ブドウ球菌感染です。毛穴の浅いところでは「毛包炎」、深いところまで化膿すると「癤(せつ)、癕(よう)」を起こします。
 ・抗生物質内服が必須です。




皮膚の細菌感染症3. マラセチア毛包炎
c0219616_1246223.jpg ・「夏にきび」と呼ばれます。
 ・毛穴のマラセチア(真菌の一種)感染が
  原因です。
 ・汗かきの人、ステロイド外用を広範囲に
  している人(アトピー性皮膚炎患者さん
  など)で起こりやすく、ほぼ夏に限られます。

c0219616_12481172.jpg ・保清(シャワーで汗を流す)、抗真菌剤
  または抗菌剤外用。治りにくい場合は
  抗生物質(ミノマイシンなど)内服。





皮膚の細菌感染症4. 蜂窩織炎
c0219616_12585135.jpg ・蜂巣炎ともいいます。ほとんどは黄色ブドウ球菌が原因で、傷、湿疹、水虫の部から細菌が皮膚の深いところに侵入し、皮下脂肪組織、リンパ管を伝って広い範囲に拡大します。発赤と腫れが主な症状で、痛み・発熱・寒気を伴います。
溶血性連鎖球菌が原因となることもありますが、扁桃腺炎などのど風邪の菌が血液を伝わって、皮膚に蜂窩織炎(丹毒)を起こすこともあります。その他の細菌で感染することもあります。
 ・肥満者、糖尿病患者に多い。
 ・強力な抗生物質内服と安静が必要です。高熱など重症の場合、あるいは肥満・糖尿病を持つ人の場合は入院して抗生剤の点滴を行う必要があります。


皮膚の細菌感染症5. 壊死性筋膜炎
c0219616_1365388.jpg ・肥満者、糖尿病患者、免疫低下患者に生じる皮膚、皮下組織、筋肉の広範囲な壊死を起こす重篤な疾患です。致死率が高く、「人食いバクテリア」と一時話題になったことがあります。
 ・黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌・その他さまざまな細菌感染が原因となります。嫌気性菌が原因の場合「ガス壊疽」と呼ばれ、病変部をレントゲン撮影すると、特有の空気像がみられます。
 ・早期発見、入院治療が必須であり、壊死部分はを早期に切除する必要があります。



皮膚の真菌感染症1. 白癬菌(糸状菌)症
•頭部白癬(しらくも)
•体部白癬(たむし)
•股部白癬(インキン)
•足白癬(水虫)
•爪白癬
•深部白癬

足白癬(水虫)
・水虫には、趾間型、汗疱・小水疱型、角化型、爪白癬があります。
・角化型、爪白癬は白癬菌が移ってから長年を経て生じます。
・趾間型、汗疱・小水疱型はかゆみを伴いますが、
 角化型、爪白癬では通常かゆみはなく、放っておかれることが
 しばしばです。しかし、本人はなんでもなくても、家族や周りの
 人々に移してしまうので困りものです。
・日本人では、だいたい5人に一人が水虫を持っていると言われて
 います。お風呂上がりのバスマット、トイレなどの共用スリッパ
 おもに移ります。
・水虫の白癬菌が皮膚にくっついても24時間以内であれば、まだ
 感染は生じておらず、洗うことで白癬菌は消失します。温泉や
 プールに入った後は、家に帰ってからでも足を洗うと予防になるで
 しょう。
・治療は、抗真菌剤の外用です。完治します。爪白癬、頭白癬、
 また水虫でも角化型(かかと水虫9では、抗真菌剤の内服が必要
 です。

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趾間型白癬            汗疱・小水疱型白癬


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角化型白癬           爪白癬


皮膚の真菌感染症2. 皮膚(粘膜)カンジダ症
・カンジダ菌の感染症ですが、カンジダ菌は口の中、外陰部では常在菌の
 一つです。局所・全身の免疫力の低下とともに繁殖し、皮膚、粘膜に
 病変を生じます。逆に皮膚カンジダ症を見つけたときには、糖尿病など
 の免疫力の低下がないか検査を行います。
・治療は、抗真菌剤の外用、うがい、内服が原則です。

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乳児寄生菌性紅斑     カンジダ性指間びらん症

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口腔内カンジダ症(鵞口瘡)








皮膚の真菌感染症3. 癜 風
c0219616_13552065.jpg・「黒なまず」とも呼ばれます。
・皮膚の常在菌の一つ、「マラセチア」が増殖して病変を
 生じたものです。
・10~20歳代の若い世代、とくに汗をよくかく人に生じ
 ます。
・夏が過ぎると自然にも治りますが、翌年の夏にはまた
 再発します。
・保清と抗真菌剤の外用で治ります。


      この夏、頑張りすぎた人は要注意!

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      北海道マラソン2012 優勝者 川内優輝選手(埼玉県庁)
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by kobayashi-skin-c | 2012-08-29 13:00 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
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