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2012年7月 『Mt Kebnekaise & Kungsleden (王様の散歩道))』
2012年7月1日夕刻、 第3回世界乾癬・乾癬性関節炎会議とIFPA会議が終了した。同日17:50ストックホルム中央駅発、ノルウェー北極圏の町ナルヴィーク行きの寝台列車に乗り込んだ。17時間後の翌2日午前10:30、鉄鉱石で有名なキールナ着。さらに路線バスを使ってニッカルオクタまで行き、そこから憧れのKungsleden(王様の散歩道)のトレッキング、そしてスウェーデン最高峰Mt. Kebnekaise登頂を目指した。

2012年7月 『Mt Kebnekaise & Kungsleden (王様の散歩道))』_c0219616_14411582.jpg2012年7月 『Mt Kebnekaise & Kungsleden (王様の散歩道))』_c0219616_14412788.jpgストックホルム中央駅の出発ホームは大きなバックパックやら、釣りの道具を抱えた大勢の人々であふれていた。今回の旅でKungsleden、Mt. Kebnekaiseを目指したもう一つの理由に、「白夜の地を訪れてみたい」との願望があった。北へ北へと向かう寝台列車の車窓は、11時を過ぎてもまだ明るく、うつらうつらとしながら、いつ窓の外を見ても空の雲にはうす明かりが差していた。ストックホルム近郊は牧場と、広葉樹の森が多くみられたが、次第に森は針葉樹ばかりとなり、そしてたくさんの湖が現れては通り過ぎて行った。惜しむらくは、列車の窓が汚いこと。曇っていたせいもあるが、車窓の景色はうすぼんやりとしていた。

2012年7月 『Mt Kebnekaise & Kungsleden (王様の散歩道))』_c0219616_14445750.jpg2012年7月 『Mt Kebnekaise & Kungsleden (王様の散歩道))』_c0219616_1445197.jpg白夜の大地を疾走する国際寝台列車の旅。充実感と、緊張感を味わいながら、汽車は北極圏へ。途中かわいい駅を通り過ぎる。キールナ駅にはほぼ定刻通り、翌7月2日の10:30amに到着。ここでは多くの例の大きなリュックサックを背負った人たちが降り立った。

2012年7月 『Mt Kebnekaise & Kungsleden (王様の散歩道))』_c0219616_14504644.jpgバスの終点ニッカルオクタから、Kungsleden(王様の散歩道)を歩き始める。Kungsledenは、ノルウェー国境に近いスウェーデン・ラップランド地方にある世界でも名だたるトレッキングコース。その全長は440㌔にも及ぶ。白夜の大地には、万年雪の山々が聳え、氷河が流れ、トナカイが群れる高地、可憐な高山植物が咲き誇る草原が広がる。と言っても、歩きはじめは雲と霧と雨で視界が悪く、気勢は上がらなかった。

翌朝7月3日、雨はやみ晴れ間がのぞいていたが、風が極端に強く、この日のMt Kebnekaise登頂は諦めて、SingiまでのTrekkingを楽しむこととした。

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3泊したKebnekaise Mountain Station(7月3日夕刻に撮影)。190ベッドが備わった山小屋(感覚的にはホテル?)で、食堂(レストラン?)のほかに自炊施設も充実、そしてサウナもあったのには驚いた。宿泊したのは、10人部屋のドミトリー。鼾はうるさかったものの楽しい仲間たちであった。Kungsledenには15~20㌔ごとに規模はもっともっと小さいが山小屋があり、食料を持たなくてはならないものの、宿泊は確実に提供される。


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Singiの山小屋。Kebnekaise Mountain Stationから14㌔の所。風が強く、山小屋の中で昼食をとらせてもらった。ベッド、自炊施設の充実ぶりがお分かりか。北海道の避難小屋も、「かく、ありなん」。


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トナカイの群れを見つけた。トナカイは臆病(人間嫌い)で、望遠レンズでも撮影はなかなか難しかった。それもそう、Kebnekaise Mountain Stationの食堂では、トナカイのステーキが供されていた。


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午後からはさらに晴れ間が広がり、風も弱まってきた。万年雪の山々、可憐な花々(白い花はイワウメか、ピンクの花はチシマツガザクラ?、そして北極ヤナギ)が出迎えてくれた。


翌7月4日、快晴の朝を迎えた(といっても、白夜のなのでいつから朝と言ってよいのか、・・・・・・)。いよいよこの日はMt Kebnekaiseにチャレンジ。氷河コースを辿りたかったが、氷河コースはガイドなくしては登山禁止で、すでに予約で一杯であったため、氷河を迂回する一般登山道を選んだ。
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途中までガイドツアーの後ろをついて行ったが、ガイドから「You cannot be with us!」と言われてしまった。ピッケル、アイゼン、ハーネスは必携とのこと。残念。


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迂回コースも途中からは万年雪の上。朝早く出発したため、日陰ではまだ雪が凍っていたので、スリップ・滑落が怖かった。ストックをしっかり使いながら登り続けると、やがて眼下には氷河が広がり、見渡す限り、雪と氷にまとわれた白い峰々が果てしなく続いていた。そして真っ白な雪田の向こうにKebnekaiseの頂が現れ、登りつづけると、やがてその頂は自らの足で踏まれることとなった。感激の瞬間であった。Kebnekaise Sydtoppen(ケブネカイセ南峰)2114mに到達である。頂は細い雪稜上にあり、両側はすっぱりと氷河へと落ち込んでいた。


この日も、可憐な花々に魅了された。北海道の高山植物とそっくりなのには驚かされた。北海道では、大雪山などの峰々の上にのみ生き延びた花々が、ここ北極圏では当たり前のように、いたるところでその命を広げていた。
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Kungsleden、Mt Kebnekaiseは、今までに経験したことのない景観であり、初めての北極圏の雰囲気に感動した。景観とともにスウェーデンの人達の暖かさも素晴らしかった。マウンテン・ステーションの同室の人達も楽しく、夕食の自炊室では一緒にビールを飲んだ。道ですれ違う時は「へ-イ!」。それがスウェーデン式あいさつ。みんなとてつもなく大きなリュックを背負っていたが、息を切らさず大きな声で「へーイ!」。たくさんの元気をもらった。
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下山したキールナの町で。白夜の夕陽に照らされて、
赤い教会と、青い空と、白い雲が、目に染みついた。「また来たい」、そんな余韻が残ったスウェーデン・ラップランドの旅だった。
by kobayashi-skin-c | 2012-08-29 14:49 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
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