天皇誕生日の日、大雪黒岳に登る予定だった。
ところが、谷口ケイさんの思いもかけぬ悲しい事故が、黒岳山頂近くで2日前に起こった。
ガイドのノマド「おだっち」は、その悲しい現場から私たちを遠ざけた。十勝連峰の前十勝岳が私たちの2016年冬山シーズンの幕開けとなった。登山口白銀荘の朝の気温は零下20℃。大きな雪の結晶ができていた。雪がキシキシキュッキュと鳴る。
空は青く透き通り、十勝の峰々は純白のベールに包まれていた。申し分ない雪山日和。まずエゾマツの樹林の中を抜けていった。
樹林を抜けた向こうに、噴煙を上げる十勝の雪山が広がる。陽光をいっぱいに浴びながら、幸せをいっぱいにかみしめながら、新雪をいっぱい踏みしめた。
白銀の急斜面にジグを切りながら、噴煙を上げる前十勝の頂を目指す。
そして、さあシールをはずして、・・・・・・
一気に滑り込む。
まずはオダッチがボードで先行。そして我々が続く。
最後のすべりを終えて、山肌のシュプールを振り返る。最高の一日に感謝。そして、黒岳に散った谷口ケイさんの御霊に合掌。