2016年11月教室 『さらに新しい乾癬治療薬(生物学的製剤)』
乾癬の治療に生物学的製剤がわが国に導入されて5年間。その画期的な治療効果が多くの患者さんに福音をもたらしました。
第一世代であるTNFα抗体(ヒュミラ、レミケード)、第二世代のIL23抗体(ステラーラ)、そして昨年から新たに第三世代であるIL17抗体(コセンティクス)が登場しました。さらに今年9月、IL17受容体抗体(ルミセフ)が発売になりました。

乾癬の原因究明と、新しい治療法の研究・開発には目覚しいものがあります。
私が皮膚科医になったばかりのころ、乾癬治療を担う『ドラえもん』のポケットの中身はこんなものでした。
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乾癬がおきるメカニズムついての理解もこんなものでした。
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しかし、1980年~90年代には次々と理解が進み、紫外線照射療法、内服薬のレチノイド(日本における商品名:チガソン)、シクロスポリン、そして活性型ビタミンD3外用剤が治療に導入され、乾癬治療は格段の進歩を遂げます。
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大きな発見は、免疫抑制薬のシクロスポリンが劇的に乾癬を良くしたことでした。今までは皮膚(表皮)の新陳代謝(角化)の異常が原因と考えられていた乾癬の原因が、一気に皮膚の免疫の異常と考えられるようになったことです。皮膚(表皮)に効くと思われていた治療・薬剤も、実は免疫調整作用で乾癬に効くと考えられるようになりました。
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そして、モノクローナル抗体(一つの標的だけをブロックする)の作成手法が一般的となり、乾癬にかかわる免疫物質(タンパク質)に対するモノクローナル抗体が、次々と薬剤として使われるようになりました。中には治療薬があまりに「実験的」とも思えるものもありましたが、現在では赤字で示した薬剤が乾癬の治療薬として実際に使われるようになりました。
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『ドラえもんの四次元ポケット』は大きく膨らみました(飯塚一先生の「乾癬治療ピラミッド」)。
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新しく登場した『ルミセフ』の効果・副作用を示します。
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現在わが国で発売されている乾癬治療の生物学的製剤一覧表です。
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乾癬への効果は、いずれもたいへん優れており、ことに第3世代のものでは約半数の人で乾癬がすべて消失します。「つらい乾癬から解放される」。この歓びはどんなにか大きなものでしょう。

問題は2点。よく効く生物学的製剤も治療を中止すると、乾癬が復活します。治療は長期に及びますので、副作用(重症感染症)、治療費用が問題です。副作用については、第2、3世代のものがより安全です。値段は一律に一日換算で¥5200とされています(注射の頻度により自己負担額は異なる)。しかし、2016年9月に発売予定とされていた『トルツ』でとんでもない事態が起こりました。値段の決め方が不透明なのです。その「どんでん返し」に・・・・・・

この顛末については、また2017年2月の健康教室で詳説いたします。
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by kobayashi-skin-c | 2016-12-01 18:37 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
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