2017年5月教室 『全身と皮膚』

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皮膚は文字どおり一枚の皮であり、人体をやさしく包みます。
外界から受ける様々な環境変化(紫外線、温度、湿度、さらにはばい菌・毒物など)に対抗するため、皮膚に変化が生じます。これが「skin in」の変化です。いっぽう、体内で生じた様々な変化も皮膚に影響を及ぼします。これが「skin out」です。

「皮膚は内臓の鏡」とはよく言われる言葉ですが、毎日の診療の中でそれほど多いわけではありません。突然全身が痒くなる蕁麻疹を発症された方は、びっくりして内科に駆け込まれることが多いようです。内科ではひととおりの血液検査を行い、「どこも異常ありません、皮ふ科を受診しなさい」で終わることが多いようです。内臓の病気(内科的疾患)からくる皮膚の変化にはいろんな種類がありますが、それほど頻繁ではありません。でも、こんなことを知っておくと安心だということも多々あるのではないでしょうか。

体内と関連ある皮膚の変化を大きく三つに分けることができます。

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内臓障害と皮膚病変について、2012年11月教室で有田副院長が説明しました。
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代表的なものとして、内臓に悪性腫瘍が発生した時に現れる皮膚変化があります。

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しかし、きわめてまれです。内臓悪性腫瘍の皮膚転移も珍しいものです。この中では、Ⅱ-2.免疫反応による皮膚病変(皮膚筋炎)が大切でしょう。
皮膚筋炎とは、上眼瞼部の紫紅色の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)、手指関節背面の盛り上がった紫紅色の丘疹(ゴットロン丘疹・徴候)、手指の爪の周囲の紅斑(爪囲紅斑)、背部や上腕の褐色や白色と血管拡張と皮膚の萎縮(多形皮膚萎縮)が特徴的です。前頚部~上胸部、肩・上背部にも紫赤色の紅斑が見られることもあります。

この病気では「筋症状のない皮膚筋炎」ことがありますので、皮膚症状の診断がとても大切です。筋炎は頸部、上腕、大腿など体幹に近い筋肉におきやすいため、しゃがみ立ちが困難、風呂の出入りがつらい、階段が昇りにくい、洗濯物が干しにくい、髪がとかせない、頭を枕から持ち上げられない、などの症状がみられます。写真の左上から時計回りに、上眼瞼のヘリオトロープ疹、首~胸のヘリオトロープ疹、爪の周囲の紅斑・紫斑、指のゴットロン徴候。

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糖尿病の方では、皮膚病変は高頻度に見られます。
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皮膚病変が生じた際、皆さんが一番に口にされるのは「肝臓・腎臓」ですが、意外とまれです。最近は、健康診断などで頻繁に血液検査を受けられるからでしょうね。皮膚に変化が生じてから肝臓・腎臓の病気に気付くということは、まずないようです。
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次回は、この爪の変化についてお話いたしましょう。


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by kobayashi-skin-c | 2017-07-02 16:07 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
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