カテゴリ:「皮膚の健康教室」抄録( 57 )
2013年3月26日教室 『薬の副作用、薬害について』
薬はクスリである以上リスクを伴います。  「クスリはリスク」 なのです。
最近、いろいろな薬が薬局で買えるようになってきています。今までは、医師の診断と処方箋がないと使うことができなかった薬剤が、次々と薬局で薬剤師の判断で売られるようになったのです。医療費削減のため、些細な病気程度では医療機関にかからずとも、保険を使わずとも薬を買える。すなわち健康保険・国民保険が使われないので、医療費が減るという政策です。そのうち「風邪や水虫では病院にかかるな」と言われそうです。些細な病気っていったいだれが判断するの?保険は使われないけど、いったいだれの懐からお金は出ていくの?と思いませんか。
 今懸念されているのが、けっこう強めの薬までもが薬局で買えるようになってきたため、その薬で副作用・薬害が生じる可能性が高まっていることです。もちろん、十分な薬の知識をもった薬剤師さんが注意を払って患者さんに薬を売るわけですが、大切な病気の本質を見抜けなかったり、副作用の実際についての知識・経験に乏しかったりするかも知れません。またチェーン店のドラッグストアなど、売り上げ至上主義もまかり通ってしまうかも知れません。
 皮膚科医からみた注意すべき薬の副作用について(とくに薬疹と呼ばれるもの)、皆さんに理解を深めていただきたいと思います。同時に、今の医療政策の流れがこれで良いのか、皆さんと一緒に考えていきましょう。

『スイッチOTC薬』 という言葉をご存知ですか?
これまで医師の処方箋によらなければ使用できなかった指定医薬品(処方せん医薬品)指定の医療用医薬品の中から使用実績があり、副作用の心配が少ないなどの要件を満たした医薬品を薬局などで処方箋なしに購入できるよう、一般用医薬品として認可したものをスイッチOTC薬といいます。
①1985年に解禁され、水虫治療用の抗真菌外用薬から始まり、イブプロフェン錠、にきび治療外用薬(ペアアクネなど)、ケトプロフェン外用剤、H2ブロッカー(ガスター10)などが1990年代までに市販化された。
②2000年代に入るとニコレット☆、フェルビナク外用剤、フルコナゾールやテルビナフィンなど第二世代の水虫外用薬、ニコチネルパッチ☆、第二世代抗ヒスタミン薬、アシクロビル軟膏、肝斑改善を用途としたトラネキサム酸錠剤☆、ジクロフェナクナトリウム外用剤と拡充を続けた。
③2011年にはロキソニン錠が解熱鎮痛剤として市販化されるまでに至っている(☆印は生活改善薬)。
④2013年には、抗アレルギー薬であるフェキソフェナジン(アレグラ)が「アレグラFX」として、セチリジン(ジルテック)がコンタック鼻炎Zで市販された。これらの2剤は、抗アレルギー薬の処方量ベスト1,2であった。

スイッチOTC薬の価格は薬価によりメーカーの言い値が効かない医療用よりも高く、健康保険も適用されないが、医師の診察・検査料や処方せん料などが不要なため、同一の薬剤を処方されるのであれば安く済む事も多く、診察や調剤の待ち時間がかからず利便性が高い。厚生労働省は医療用医薬品のスイッチOTC化を推進しようとしており、さらに今後は高コレステロール、高血圧、高血糖に使用する医薬品もスイッチOTC化することが検討されている。(Wikipediaから引用)

最近発売されたアレグラFXがすでに安売り合戦の対象となっており、大手チェーンドラッグストアが攻勢をかけています。しかし、ほんとうにそんな売り方で安全なのでしょうか。

クスリはリスク
薬の本来の望まれる作用以外に生じる反応が副作用であり、副作用によって患者さんが大きな被害をこうむった場合「薬害」と呼ばれます。薬の副作用はおもに、1.非アレルギー性と、2.アレルギー性の機序で起こります。

1.薬の効果による副作用(非アレルギー性)
①薬の効き過ぎ(抗がん剤による血球減少・脱毛など)
②薬の望まれない効果(胃腸障害、抗ヒスタミン剤による眠気、抗生剤による菌交代現象など)
2.アレルギー性の副作用
①一部の人だけに生じる。頻度は少ない(医者は、「まれに起こる」と説明するが、「まれ」っていったいどれぐらい?)
②薬疹、肝障害、血球減少など致命的な場合がある

副作用にる薬疹によって、命が危険にさらされることもあります。重症型薬疹です。3種類の病態が知られており、10-40%の方が亡くなってしまいます。
1.TEN 中毒性表皮壊死症
2.SJS スティーブンス・ジョンソン症候群
3.DIHS 薬剤性過敏症候群

以下の写真はインターネットから引用したものですが、重篤な皮膚症状であり、ショッキングな画像かもしれません。お許しください。
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ご存知ですか?健康被害救済制度
医薬品の副作用などによる被害を受けられた方を救済する公的な制度です。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
社団法人 日本医師会、社団法人 日本薬剤師会
薬の副作用によって生じた被害(薬害)を補償する制度です。病院で処方された薬剤のみならず、薬局で購入した薬剤で生じた薬害も補償されます。ただし一定のルールに従って使われた薬剤が対象であり、家族の薬を飲んだ、医師・薬剤師の指示に従わなかった、などの事例では補償を受けることはできません。


「クスリはリスク」 。薬剤の安易な使用は避けたいものですが、安易に薬剤を手にすることができるよう誘導するスイッチOTC、そして自己責任を押しつける国の医療施策には、批判の目を向けなければなりません。

高齢者の増加、不景気による税収不足から、医療費抑制政策がいまも進められています。アメリカ追従内閣としか言えない今の安倍内閣が進めているのは、TTP(環太平洋経済連携協定)への参加。自由貿易協定によっていやおうなしに、巨大製薬資本からの新薬購入圧力、巨大健康保険会社からの保険自由化圧力に日本はさらされるようななります。日本の国民皆保険制度は崩されるかもしれません。自らの健康を守るためにも、わが国が誇る保険制度を大切にしなければなりません。
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by kobayashi-skin-c | 2013-03-31 15:24 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2013年2月26日教室 アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎の原因は、アレルギー体質、そして最近明らかとなった天然保湿因子の異常による皮膚バリア機能の低下(乾燥肌体質)の二つの体質が大きなものですが、日常生活におけるさまざまな習慣(食事、入浴、衣服など)、さまざまな環境(学校、職場など)、そしてストレスや精神的な悩みが、アトピー性皮膚炎の発症、悪化につながります。
 アトピー性皮膚炎についてよく知ること、同時に自分の体質や環境、ストレス、つまりは自分のアトピーをよく知ることが、治療の糸口になります。北海道大学病院皮膚科では、独自のプログラムでアトピー克服のための入院治療を行っていますが、北海道大学病院での経験が豊富な新副院長有田医師が、その内容を紹介しながら、アトピー性皮膚炎の治療についてお話しいたしました。

アトピー性皮膚炎は特別な病気ではありません。皮膚のトラブルとして、きわめて多いものです。アトピーだからと言って、特別なことが必要なわけではなく、アトピー性皮膚炎とは何なのか、そして自分の生活の中にその原因がないか、それを知っていくことが治療の基本と言えます。


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by kobayashi-skin-c | 2013-03-06 18:21 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2013年1月22日教室 『生物学的製剤治療の今』
最新の乾癬治療法『生物学的製剤ヒュミラ、レミケード』が登場して3年が経過しました。全例調査と呼ばれる画期的な市販後調査が実施され、ヒュミラ、レミケードの安全性について検証が行われました。1,000人をこえる乾癬患者さんのデータからは、重大な副作用はごくまれで(結核の発症が各1例)、ほかの疾患(リウマチ、クローン病)にくらべ明らかに少ない結果でした。また、ヒュミラ、レミケードとともにその効果は目を見張る結果でした。
 小林皮膚科クリニックを受診していた患者さんもすでに50名をこえる方々が、生物学的製剤治療(ステラーラも含む)に移行されています。その方々からはアンケート調査で、効果について、印象についてお聞きしました。貴重な意見をたくさんお寄せいただきましたので、その調査結果を報告いたします。皆さんの参考になれば幸いです。ご協力いただきました皆さまには心から御礼申し上げます。

生物学的製剤の話題については、すでに何回か『皮膚の健康教室』で取り上げられていますので、過去の抄録もご参照ください。
•2012年9月25日教室 『psoriasis more than skin deep,・・・・・』
•2012年7月24日教室 『第3回世界乾癬・乾癬性関節炎会議に出席して』
•2011年8月23日教室『乾癬の最新治療、生物学的製剤の実際の使い方、効果などについて』
•2011年4月26日教室 『ステラーラ』
•2010年8月24日教室 『乾癬の最新情報 -2010年乾癬国際会議(パリ)から-』
•2010年2月23日教室 『新しい乾癬の治療薬、生物製剤の使い方』



          乾癬の病態と、治療薬
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乾癬の病態・原因がよく分っていなかった1950年代ごろまでは、経験的にタールの塗り薬、ヒ素の注射、太陽燈や放射線(レントゲン線)の照射治療などが使われていましたが、1950年代に登場したステロイドの塗り薬が乾癬の治療を一変させました。さらに皮膚細胞の新陳代謝亢進が乾癬の皮膚で異常に早いことが分かるようになってからは、抗ガン剤のひとつであるメトトレキサ―ト(MTX)、PUVA療法(紫外線照射治療)が1960年代から始まりました。新陳代謝亢進からさらに皮膚の分化異常も分るようになり、エトレチナート(チガソン)、活性型ビタミンD3外用剤が1970年代から1980年代に開発されました。画期的であったのは、臓器移植後に拒絶反応を阻止するために使われていたシクロスポリンが、乾癬に非常に良く効いたことでした。それまでは皮膚細胞の新陳代謝亢進、分化異常の面から乾癬の原因が考えられていましたが、シクロスポリンが効くことによって、皮膚における免疫反応の異常が乾癬の原因としてクローズアップされました。

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1990年代後半になってから、いわゆるベンチャー企業と呼ばれるアメリカ・ヨーロッパの会社が、免疫反応に関わるたんぱく質・因子を選択的に抑えることができるモノクローナル抗体を、薬剤として次々に開発しました(選択的標的療法)。2000年代に入って実際の治療薬として実験が進み、強力な効果を持ついくつかの薬剤が、おもにアメリカで発売されました。その中でとくに優れたinfliximab(レミケード)、adalimumab(ヒュミラ)、ustekinumab(ステラーラ)がわが国でもついに登場しました。


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             (表は自治医科大学大槻教授の論文から引用・改変)
乾癬に対する効き目を表すのが表中の「PASI75」の欄ですが、「すごく良くなった」の評価だと思って下さい。3つの薬剤ともに80%の人で「すごく良くなった」という結果を得ています。すごく良くなる確率は10人に8人。その人たちは、毎日の塗り薬を使わなくても乾癬が気にならなくなるほどです。

3つの薬剤にはそれぞれ違う点があり、それぞれのメリット・デメリットもあります。一番気になるのは副作用ですが、すでに発売されて3年間が経過したレミケード、ヒュミラはそれぞれ発売以来、「全例調査」と呼ばれる画期的な調査が、日本皮膚科学会と製薬メーカーの協力で実施されました。それぞれ500人を超える患者さんの治療経過を1年以上にわたって詳細に検討した結果、問題となる大きな副作用の頻度は大変少なく、一番懸念される結核もレミケード、ヒュミラそれぞれに一人ずつ見つかったのみでした。これはリウマチ患者さんでの治療に比べると格段に少ない副作用頻度です。

レミケードのメリットは何と言っても、関節炎に対する素早い効果です。乾癬の関節炎で歩くことも、物を持つこともできなかった重症の患者さんが、一回の点滴注射を受けただけで、その翌日から歩くことも、物を持つこともできるようになったと聞きます。しかし、レミケードには点滴中の副作用、また続けるうちに効果がなくなってしまうことがあります。
ヒュミラはレミケードほど素早くはありませんが、関節炎に良く効き、また乾癬もゆっくりですが大変良くなります。また大きな利点として、皮下注射は自宅でも続けることも可能です。
ステラーラは、3か月に1回の注射で乾癬を忘れることができる、つまり365日-4日の注射=361日は乾癬を忘れることができるという利点です。まさに夢のような注射治療です。欠点として、関節炎にはあまり効きません。

それぞれのメリット・デメリットを考えながら、一人ひとりの患者さんでどれが最適か決めます。


さて、小林皮膚科クリニックを受診する乾癬の方たちの中にも、長い間生物学的製剤治療の発売を心待ちにしていた方もおられました。発売を待ち切れず、とくに関節症状が辛かった方たちは、リウマチ科の先生にお願いして、関節炎をリウマチとして生物学的製剤治療を始めていただいた方もおられました。

2012年10月の時点で、6か月以上の生物学的製剤治療を受けていた患者さんの数は、以下の表のとおりです。6カ月に満たない治療経過の患者さん、治療予定中の患者さんを含めると、小林皮膚科クリニックを積極的に受診する患者さんの1割以上の方が、生物学的製剤治療に踏み切られています。
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レミケード、ステラーラに比べてヒュミラが少ないのは、生物学的製剤治療をお願いする第一番の施設(JR札幌病院皮膚科、主任医長:伊藤 圭先生)で、ヒュミラが採用されていなかったためです。すべての患者さんはJR札幌病院、北海道大学病院、市立札幌病院のそれぞれ皮膚科、そして関節炎のためにお願いしていた佐川昭リウマチクリニック、クラーク病院整形外科で生物学的製剤治療を行っていただいています。それぞれの施設、そして医師・看護師の皆さまに改めて御礼申し上げます。

治療をお続けになった47名の患者さんには、以下のようなアンケート調査を行いました。
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31名の方たちから返事をいただきました。ご協力ありがとうございます。

その結果ですが、
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生物学的製剤治療をアンケート①「現在の皮膚の症状は?」の質問に対し、25名の方が良くなったと答えられており、80%の有効率を裏付けるものです。6名の方が治療前と変わらないとお答えになりましたが、後の質問の結果をみると、「期待していたほどではなかったが、満足はされている」ことがうかがえます。始められた方たちの満足度が高いことがうかがえます。ことに関節炎で苦しんでおられた方たちは、その治療効果の高さを実感されています(アンケート結果①「現在の関節の状態は?」)。
大変高価な治療ですが、「続けられそうもない」とお答えになった方は(アンケート結果②「治療費について?」)、31名中2名の方だけでした。副作用の心配についても(アンケート結果③『副作用について?』)、1名の方のみが「早く中止したい」と思っているにとどまりました。これは生物学的製剤治療を実施する施設の先生方が、たいへん丁寧に副作用の可能性の説明、そして治療前の詳細な検査を実施されている努力の賜物と考えられます。生物学的製剤治療の全体評価としての最後の質問(アンケート結果③『はじめて良かったですか?』)に対して、「しなければ良かった」とお答えになった方は一人もおられませんでした。「生物学的製剤」をお勧めして良かったと思うと同時に、どれだけ皆さまが乾癬に苦しみ、そしてより優れた治療法を望んでおられたか、ということをあらためて教えていただいた結果でした。

現在世界中で使われている生物学的製剤治療の伝道者に、このお二人がいます。世界のトップモデル、キャリディーと、マスターズの優勝者ミケルソンです。
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生物学的製剤治療は、乾癬で苦しい思いをされている世界中の患者さんに、大きな福音をもたらせました。懸念された副作用もなんとかクリアーされています。レミケード、ヒュミラ、ステラーラに加え、さらに抗IL-17療法が現在開発中であり、より高い効果が期待されています。皮膚を見ながら悩み続ける毎日、関節の痛みに悲鳴を上げる日々。そんなつらい乾癬に、生物学的製剤治療は画期的治療です。

乾癬の免疫反応を抑える生物学的製剤が、長期的な治療の中で、思わぬ副作用を起こさないか、その心配はまだ必要です。高額な治療であるがゆえに、そして限られた施設でしか実施できないがゆえに、医療の格差(収入面、居住地面)を生じていることは否めません。「お金の切れ目が、治療の分け目」にはなってほしくありません。さらに、医療資源(総医療費)には限りがあり、高額な新しい治療をすべて進めていくこともできません。みんなの知恵が必要です。「みんなで治そう乾癬」!

アンケート調査でお寄せいただいた貴重なご意見を、最後にお読みください。

皮膚のつらさや関節の痛みから解放され、仕事などにも支障はそれほど起きていませんが、やはり治療費の問題がかなり大きいです。夫婦で働いているから、何とか続けられるという感じです。ステラーラはだめでした。(38歳男性、レミケード)

現在JR病院にて8週間に一度のレミケード点滴治療を実施し、ほとんど乾癬の痕がない状態となっております。いまだ若干の痒みがあるものの、塗り薬を使用し、顔へはヒルドイドソフトで保湿しております。顔の赤みや乾癬の痕がなくなり、会社内でも『良くなった』とよく言われております。良い治療法をご紹介くださり、感謝しております。ありがとうございました。先生もお忙しいことと思いますが、寒くなってきますので身体に気をつけ無理をせず大勢の患者様を助けてあげてほしいと思います。 (50歳男性、レミケード)

日課になっていた軟膏塗布や、自分の仕事ではないにしろ、チョット気を遣う洗濯物の区分や下着の始末など、長年続けていた治療のたびに、その煩わしさに業を煮やして「注射一本で治まるような治療はどこかにないものかなあ・・・・」などとつぶやいていたものですが、「生物学的製剤」治療は、まさにその注射一本です。とてもありがたく思っています。現在は、「これが乾癬患者の肌か!」と疑うぐらい、乾癬発症前の肌に戻っています。 (73歳男性、レミケード)

特定疾患の認定を受けているので、費用の心配はありませんが、そうでない乾癬の方はとても高く続けるのがたいへんだと思います。もう少し保険で安くなればと思います。主治医の伊藤先生はとても親身になってくれます。おかげさまでいろいろ再発しないよう、他の薬と併用しながらも普通に生活し、仕事ができています。乾癬の苦しみを救ってくれる薬だと思います。私でお役に立つことがあればいつでも聞いてください。乾癬の皆さんの役に立つこともあると思います。 (48歳女性、レミケード)

治療費は高いと思いますが、通院(苫小牧→札幌)の煩わしさや、薬を塗ったり、部屋の掃除や、洗濯など、乾癬にかかわる全ての作業から解放されたのが大きいです。生活のパターンがガラッと変わりました。これは乾癬患者でなければ分からないかもしれないです。「激変した」という言葉がぴったりかもしれません。
 あとは費用の面で少しでも負担が少なくなればいいのですが、・・・・。投与の間隔は効果から言うと満足です。札幌まで通院している立場からすると、もっと札幌以外の病院でもできるようになるといいですね。 (42歳男性、ステラーラ)

28年間悩み、恥ずかしい思いも何度もしてきました。アトピーと診断され、その治療を何年も受けたこともありました。小林先生のことを知り、ステラーラと出会い、52歳で人生が変わりました。温泉も行けるようになりましたよ。本当にありがとうございました。
 希望としては、①治療費が高く、続けることができるのか心配 ②今まで6度注射をしたが、止めると再発するかと不安 ③病院ですが、先生はじめ皆さんが親切で十分な説明もしてくれますが、待ち時間が長い ④一日も早く個人病院でも受けられるとうれしい ⑤少しでも医療費が安くなることを望んでいます 。(52歳女性、ステラーラ)


あらためて、アンケート調査にご協力いただいた皆さまに、そして生物学的製剤治療を実施していただいている医療施設の皆さまに、篤く御礼を申し上げます。
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by kobayashi-skin-c | 2013-01-23 18:34 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2012年12月25日教室 『ドライスキンケア』
今年の北海道の秋は、夏に引き続き高温で推移し、例年になく初雪も遅れました。しかし本格的冬将軍も到来し、乾燥が皮膚に現れ始めています。毎年話題として取り上げる『ドライスキン』、それだけ皮膚の健康には大切なキーポイントです(2011年11月教室の抄録も参照)。気密化され断熱・保温が行きとどいた現代の室内は、湿度が20%以下にまで低下しています。さらに栓をひねれば温かいお湯がふんだんに流れ、毎日シャワー、入浴をする人が増えています。湿度の低下と、入浴による洗剤の使用が、『ドライスキン』の原因と言えます。冬になるとかゆくなる方、放っておくと全身の湿疹へと発展し、夜も眠られないくらいにかゆみが悪化します。『ドライスキンケア』について、しっかりと学びましょう。

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加齢による皮脂の欠乏、皮膚の水分保持力の低下によって、皮膚の表面はカサカサと粉がふいた状態となります。放置していると、さらに皮膚表面がひび割れ状となり、「かゆみ」が生じてきます。引っ掻くようになると「湿疹」の状態となり、赤いぽつぽつ、ジクジク病変が出現し、「かゆみ」、「引っ掻く」、「湿疹の悪化」の悪循環を生じます。「皮脂欠乏性湿疹」、「乾燥性湿疹」と呼ばれます。ジクジク病変は「貨幣状湿疹」と呼ばれることもあります。

「アトピー性皮膚炎」の悪化も皮膚の乾燥から頻繁に起こります。
「乾癬」も冬季の乾燥でしばしば悪化します。


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冬季の乾燥、加齢に加え、頻回の入浴・シャワー、石鹸・シャンプーの使い過ぎもドライスキンの大きな原因です。




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皮膚は上の図のようにたくさんの物質を作りながら、皮膚本来の役割である「バリア機能」を果たすことができます。生まれながらにして、これらの物質の一つにでも異常が生じると、皮膚には重大な変化が生じてしまいます。アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚でも、天然保湿成分の一つである「フィラグリン」に異常が生じていることが最近解かり、アトピー性皮膚炎の原因の根っこになっていると考えられるようになりました。


「砂漠皮膚(ドライスキン)」の中では、バリアの障害によって、アレルギー物質、刺激物質が角質層を通りぬけ、皮膚の神経過敏、免疫反応を引き起こすため、湿疹病変、アトピー性皮膚炎・乾癬の悪化を起こします。
バリア機能がしっかりした皮膚では、アレルギー物質、刺激物質も角質層を通りぬけることはできません。
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保湿剤には、
①ヘパリン類似物質製剤(ヒルドイド、ヒルドイドソフト、ヒルドイドローションなど)
②尿素製剤(ウレパール、パスタロン、ケラチナミンなど)
③ビタミン含有軟膏(ザーネ、ユベラなど)
④ワセリン 等の古典的外用剤
など医師の処方薬がありますが、薬局・薬店などで手に入る、自分に合った塗りやすいものを選んでも構いません。ただ、アトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性湿疹の方は、保湿薬でもことに尿素製剤は刺激を起こしやすく、バリアをさらに壊すため注意が必要です。主治医の先生に保湿のことも相談してください。


一方で、こんな見方・主張をされている先生もいます(福岡市の今山修平先生)。
アトピー・乾燥肌治療には、
①肌をふやかさない、保湿剤もつけない。
②「風呂断ち」療法で肌のバリアが回復する。
入浴をやめ、乳液やクリームも塗らない。そんな「肌を徹底的に乾かす」治療法でアトピー肌や乾燥肌が改善することが分かった。肌本来のバリア機能が回復する。

「風呂断ち」のやり方は、
①わき、陰部、足の裏、足の趾の間のみ石けんで洗う
②髪・頭皮は湯ですすぐ(シャンプーは使わない)
③顔や体は極力ぬらさない

 
現代社会の中で、「風呂断ち」はなかなか受け容れられないかもしれませんね。でもシャンプー・洗剤のにおいをふりまくことが、「清潔」ではありません。「健康な皮膚を保つ」ことが、強くて美しい肌の秘訣であり、「清潔」であることです。そのためには「究極の天然成分」である自分の「汗」、「皮脂」、「角質細胞」を大切にすることが一番なのです。毎日毎日、体中を泡だらけにしながら洗っている「貴女」。貴女自身の天然成分は「水の泡」。かくして皮脂欠乏性湿疹を生じ、ひいては皮膚の黒ずみ、小じわを生じているのですよ。そして、家族から「オヤジ臭い」と言われ、毎日毎日たわしでゴシゴシ体を洗っている「お父さん」。そもそも「加齢臭」なる言葉は、有名化粧品・石鹸メーカーの❍❍堂が作り出した言葉なのですよ。臭いを気にするのであればまずは「禁煙」です。
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by kobayashi-skin-c | 2012-12-24 14:04 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2012年11月27日教室 『内臓と皮膚』
「内臓」を包むのが「皮膚」、「皮膚」に包まれているものが「内臓」。当然、そこには密接なかかわりがあります。肝臓が悪い時、腎臓が悪い時、糖尿病の時、皮膚には何らかの兆候が現れます。その「兆候」を「デルマドローム」と呼びます。「デルマドローム」を知っておくことは、内臓の病気のいち早い察知につながります。同時に、むやみな心配を不要とする安心感にもつながります。「皮膚は内臓の鏡」。知っておきましょう、その姿を。講師は、10月から赴任した新副院長、有田 賢医師が担当いたしました。

デルマドロームとは、

デルマ(皮膚)+シンドローム(一連の症状の集まり)
            
内臓の症状が皮膚の症状として出現してくること、つまり皮膚の症状から内臓疾患がわかる場合があります


たとえば、全身の皮膚がだんだんと黒ずんできて、そして口の中にも、くちびるにも黒ずみが出てきたら、

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体がだるくありませんか、なんだかとっても疲れやすくなっていませんか、髪も抜けやすくありませんか?
アジソン病と言います。「副腎皮質ホルモン」といって生きていくうえで必須のホルモンが少なくなってしまう病気です。


たとえばc0219616_13212882.jpg











何だか急に体中に「いぼ」が増えてきたと感じたら、『要注意!』

「Leser-Trelat(レゼル-トレラ)徴候」と言われています。
・内臓悪性腫瘍に伴うデルマドローム
・中高年の脂漏性角化症が突然短期間(6ヶ月)で
 その数と大きさが増す
 数百から2000個
・胃癌>大腸癌>肺癌>乳癌>菌状息肉症(皮膚リンパ腫)
・腫瘍から産生される何らかの因子が皮膚の増殖を刺激する



c0219616_13225017.jpg皮膚は内臓の鏡である








どんな種類があるのでしょう、

1.内臓悪性腫瘍と皮膚
 ①腫瘍が皮膚に直接転移
     乳がんの皮膚転移 c0219616_13234440.jpg
     

     乳がんの皮膚転移は
     他のがんより比較的多い。








     Sister Mary Joseph結節c0219616_13311677.jpg


     胃、膵、大腸、卵巣など
     腹腔内悪性腫瘍の
     臍部(へそ)への転移











 ②腫瘍が分泌する物質に対する反応

     悪性型黒色表皮腫c0219616_1338478.jpg


     わきの下など襞になる部分を中心に
     皮膚が黒ずんでごわごわしてくる。
     がんが分泌する増殖因子が関与





 ③腫瘍による免疫応答の変化

     腫瘍随伴天疱瘡c0219616_13442416.jpgc0219616_13444312.jpg








     皮膚の細胞をつないでいる接着板が
     異常免疫で破壊される。
     全身の皮膚がむけてくるが、
     とくに粘膜の症状が強い


     皮膚筋炎c0219616_141625.jpgc0219616_1412367.jpg










     関節の伸側が角化、背中などに痒みの強い紅斑。
     上まぶたが赤紫に腫れる。筋力低下を伴う。
     膠原病の一種だが、高率に悪性腫瘍を伴う。


2.糖尿病と皮膚
 ①循環障害c0219616_1473058.jpg

         糖尿病性壊疽





 ②細胞障害 好中球の機能障害(遊走力、貪食能、殺菌作用の低下)
                 →免疫力低下 
                 →易感染性 口腔内カンジダ症c0219616_14172162.jpg






         線維芽細胞、組織球の機能障害
                 →浮腫性硬化症
                 →リポイド類壊死症c0219616_14195821.jpg











3.肝臓と皮膚
 ①胆汁分泌の閉塞   ・黄疸  ・皮膚掻痒症
 ②肝炎ウイルスに対する免疫反応  ・蕁麻疹の特殊なタイプ
 ③代謝反応の低下(肝硬変)
    女性ホルモン(エストロゲン)の蓄積による変化
    ・手掌紅斑 ・くも(蜘蛛)状血管腫 ・女性化乳房
c0219616_1423596.jpg







4.腎臓と皮膚
   腎では代謝産物を排泄する機能があり、それが障害されると
   血中に貯留する
 ①血中カルシウム、マグネシウムの上昇→皮膚瘙痒症 
 ②代謝産物が皮膚に蓄積し、汗腺、脂腺の機能異常、発汗減少           
                 →皮膚乾燥
 ③カロチン、ウロクローム、ヘモジデリンなどの沈着が関与
                  →色素沈着 
 ④変性した膠原線維を排出 →反応性穿孔性膠原線維症


5.内分泌と皮膚 ホルモンの異常分泌から来る皮膚の異常
 ①Addison病:副腎皮質ホルモンの分泌低下
                →皮膚や粘膜の色素沈着
 ②Cushing病:副腎皮質ホルモンの分泌亢進
            →多毛、皮膚線条、ニキビなど
 ③Basedow氏病:甲状腺ホルモンの分泌亢進
           →脛骨前粘液水腫、脱毛症c0219616_14353134.jpg










6.妊娠に伴う皮膚変化
  ・色素沈着   ・妊娠性肝斑  ・多毛
  ・妊娠線状萎縮 ・クモ状血管腫 ・手掌紅斑
  ・妊娠腫瘍   ・下腿の浮腫、静脈瘤



まとめ

・皮膚疾患はその多くが皮膚自体の異常によるもので、
 すべての症状を内臓疾患と関連付ける必要はありません。

・しかし皮膚疾患の中には、その特徴的な症状で
 内臓疾患を示唆するものもあります。

・皮膚は単なる衣ではなく、重要な役割をもつ一つの臓器です。

・皮膚は体の内面の変化を反映するとともに、皮膚の変化
 そのものも体の内面に影響をおよぼしえます。

皮膚の変化から全身状態の変化を察知するのも、皮膚科医の
重要な責務です。皮膚の表面に「おやっ」と感じたら、早めに、
ご相談ください。私たち皮膚科医は、皮膚の奥にひそんでいる
かもしれない変化を見逃しません。

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by kobayashi-skin-c | 2012-11-28 13:03 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2012年10月23日教室 『永遠の若さと美しさ:シミ、しわの治療』
人類永遠の課題とは?「不老不死」、「永遠の若さ・美しさ」。
神代の昔から現代にいたるまで、「永遠の若さと美しさ」を得るために私たち人類は、幾多の労苦も、幾多の犠牲も顧みずいかなる努力も惜しまなかった。あらゆる食物から、薬草から、はては動物の糞にいたるまで、口に入れ、肌に塗り、若く美しくあり続けることを願望してきた。
 現代医学・科学の発展は、その願望・欲望をかなりのところまで満たすにいたっている。シミに対しては各種レーザーの発達が、しわに対してはボツリヌス菌毒素、レチノイン酸がたいへん有効である。
 どのような方法が現在可能であるのか、そしてどんな注意が必要なのか、はたまた「永遠の若さ・美しさ」を問う人生観について、一緒に語りましょう。

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さて、私の結論は?
上の写真を見てなんだか変だと思いませんか。この美女の顔は、じつは人工皮膚。現代科学・技術はまさに永遠の若さと美しさを可能にしています。けれども、一生仮面をかぶった人生って、いったいなんでしょう。
 美しさに絶対的な永遠はありません。美しさは私たちの心の中に、そして、愛する人の瞳の中に存在します。つまり、美しい心と、愛しい人を持ち得ることが、人生における永遠の美しさではないでしょうか。
 そして、往きとし死せる生きものにとって、永遠の若さはありません。顔に刻まれるしわの一つ一つは、私たちの人生の歩みであり、私たちそのものではないでしょうか。
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by kobayashi-skin-c | 2012-11-14 17:02 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2012年9月25日教室 『psorias is more than skin deep,・・・・・』
かつて、米国の乾癬患者組織 National Psoriasis Foundation (NPF) の冊子に “Psoriasis is more than skin deep, (乾癬は皮膚の深さにとどまらない、)”と始まる言葉がかかげられており、その後ろには “leaves emotional scar. (心の傷を残す)” と書かれてありました。皮膚の外面だけではない、乾癬のつらさが適確に言い表された言葉です。
 いまふたたび“Psoriasis is more than skin deep, (乾癬は皮膚の深さにとどまらない、)”が強調されています。それは、乾癬の3割の方には関節炎の症状があり、乾癬患者さんの生涯で一度でも関節炎の症状が現れる率は7割に達すると見積もられています。さらに、乾癬とメタボリック症候群(メタボ)、さらには糖尿病、高脂血症、心血管系障害、またクローン病などの内臓疾患の合併率が高く、寿命にも影響を及ぼしていることが疫学調査から明らかにされてきたからです。
 7月に開かれた世界乾癬・関節炎会議の話題から、そして9月7,8日に開催される日本乾癬学会の話題から、“Psoriasis is more than skin deep, (乾癬は皮膚の深さにとどまらない、)” について皆さんと一緒に考えたいと思います。

c0219616_14395380.jpg 
















乾癬は皮膚だけにとどまらない。「乾癬」を中心として、上から時計まわりに「関節炎」、「メタボリック症候群」、「心臓・血管異常」、「糖尿病」、「うつ病」、「神経症」、「アルコール依存症」、「肥満」が関係することが図に示されている。世界会議の講演、発表の中でこれらのひとつひとつの危険性、注意点が報告された。印象的であった発表をいくつか紹介します。

c0219616_144758.jpg左:乾癬患者、右:正常人のPETスキャン画像。乾癬患者では脚の血管などが濃く染まっており、血管に炎症を生じていることを示す。動脈硬化、炎症を起こしやすく、心筋梗塞など重大な心臓・血管障害の元となる。






c0219616_14503499.jpg棒グラフの緑が正常人、オレンジが乾癬患者。すでに30代のころから「心臓・血管異常」が起きやすく、40代、50代では約2倍の頻度であることが示されている。








c0219616_1453129.jpg日本人ではあり得ないほどの肥満。スペイン・バルセロナの肥満治療病院の前のビーチで。








c0219616_14591682.jpgスペインの乾癬患者(左の円グラフ)と一般国民(右)の肥満度。青が正常(BMIが25未満)、赤が肥満傾向(BMIが25~30)、緑が肥満(BMIが30以上)。
BMIは、"body mass index"。国際的な肥満基準として用いられている。計算方法は、BMI=体重㌕÷身長㍍÷身長㍍。乾癬患者では正常体重が明らかに少なく、肥満者が多い。



c0219616_158149.jpgまた体重が重いほど、治療効果が減弱することも報告された。生物学的製剤治療の効果が不十分あるいは減弱する率は、肥満傾向のもので14%増、さらに肥満患者ではさらに14%も高まることが示された。



c0219616_15145931.jpg関節炎の頻度は高い。その症状には様々なものがあるが、手・足の指の関節に起こりやすく、そのほかに背骨、腰骨におこるタイプ、腱の付着部炎、指全体が腫れる指炎タイプがある。



c0219616_15183551.jpg乾癬患者の2-3割に関節炎が合併しているが、患者生涯期間中の関節炎発症率は7割に達すると推測されている。その中でわが国(Japan)の発症率が1%と際立って低いことが紹介された。小生はその理由について質問を受けたが、日本乾癬学会で行っている乾癬患者登録方法の不備による数字であり、実際はわが国でも関節炎の頻度は高いことを説明した。

c0219616_15235397.jpg新しい関節炎の分類に基づき、治療指針が示された。すべてのタイプに有効なのは、生物学的製剤の中の抗TNFα製剤である。






c0219616_1525543.jpg"Let's talk psoriasis"という企画があり、英国人の医療ジャーナリストが司会し、スウェーデンの患者と米国の皮膚科医(アラン・メンター博士)が受け答えするという、国際色豊かでユニークな試みがありました。鋭い質問に答えるメンター先生の適確かつ優しい態度が印象的でした。日本の学会でも試みたい企画である。



c0219616_15312844.jpg乾癬患者QOLの調査で、
約1割の患者は年間に約16日、仕事や学校を休まざるを得なかった。とくにかゆみが強い患者でその傾向がみられた。わが国の調査でも、かゆみの頻度が以前よりも増していると報告されているが、今回の報告では乾癬患者の85%にかゆみが症状があると指摘された。



c0219616_1537287.jpg乾癬患者QOL調査から、患者の1/3は「医師との関係」について、ネガティブな見方をしていることが分かった。期待どおりの治療の説明がない(36%)、だれも自分の乾癬の助けになりそうもない(35%)、医師はどの治療が効き、どれが効かないか知らないようだ(33%)、医師は乾癬の話題を避けたがる(32%)、医師は私の乾癬について真剣ではないようだ(30%)、医師はほんとうに私の乾癬を治す気があるのだろうか(28%)、医師に乾癬について相談することをためらってしまう(21%)。



c0219616_1545119.jpg抗IL-17療法については、前回の7月の教室で話したとおり、現在の生物学的製剤以上の効果が得られている。
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c0219616_15474766.jpgさらに新しい治療法として、細胞の中で情報伝達(シグナリング)に大切な物質であるJAK、PDE4を抑える治療薬(内服)が開発中であり、良い結果が得られていることが報告され、大きな期待が寄せられる。
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c0219616_1622580.jpg五日間の会議の間、ストックホルム市庁舎を使ってレセプションが開かれました。会長のエタップ氏による開会挨拶の場面です。この会場ではノーベル賞受賞者の公式記念晩餐会が開かれます。




c0219616_16264478.jpg
c0219616_16234737.jpg世界会議が終了して、IFPAメンバーによる「世界乾癬デー」の取組み会議、そしてWHO(世界保健機構)へのアピール活動協議が行われました。この中で、IFPAが推進する"Under the Spotlight"プロジェクトに、日本がぜひとも協力してほしいとの要請がありました。またWHOへのアピール活動においても、日本国外務省、厚生労働省の協力が不可欠であるとの要請があり、IFPAという国際協調の中で、日本の乾癬患者会も大きな役割を期待されていることを感じました。世界のみんなと手を携え、乾癬への克服に向かって、日本でも是が非にも頑張っていきたいと決意を新たにさせられました。この素晴らしい世界会議を企画・運営したIFPAの役員の皆さま、そして協力を惜しまなかったアラン・メンター先生をはじめとする医師・研究者の仲間たちに、心から感謝したいと思います。また世界的製薬企業の絶大なる支援にも感謝いたします。
下の写真は、PsorAsia(アジア連合)の面々(左から、マレーシア、フィリピン、ニュージーランド、インド、オーストラリア、米国、インドネシア、フィリピン、そして日本)


帰国後、"Under the Spotlight"への参加をお願いしたところ、東京地区乾癬患者友の会(P-PAT)の方が勇気を持って名乗りを上げてくださいました。日本乾癬患者連合会、P-PAT、そして日本アボット社の絶大な協力を得て、ビデオ映像が完成しました。世界乾癬デーの10月29日から、この映像は全世界で観ることができるようになっています。
http://www.underthespotlight.com をご覧になって下さい。
"Japan Masayuki"です。日本乾癬患者連合会HPからも簡単に観られるようになっています。
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by kobayashi-skin-c | 2012-11-14 14:56 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2012年8月28日教室 『水虫、とびひの注意』、『夏山の涼』
夏に多い皮膚の感染症。その代表的なものが『水虫』、『とびひ』ですが、じつは夏の真っ盛りよりも、夏の終わりから秋にかけて流行・悪化します。その症状とはどんなものか、治療はどうするか、日常生活の中でどんな注意が必要か、健康教室では皆さまと一緒に勉強しました。異例の厚さが続く札幌ですが、この夏に訪れた山々の写真、思い出がphoto & essayに綴られています。『夏山の涼』はそちらでお楽しみください。

皮膚の感染症には、

•ウイルス感染症
イボ、ミズイボ、ヘルペス、みずぼうそう
はしか、風疹、リンゴ病、………
•細菌感染症
とびひ、吹き出物、毛包炎、蜂窩織炎、梅毒、結核、・・・・
•真菌感染症
水虫、たむし、インキン、カンジダ、………
•動物・寄生虫感染症
頭虱、毛虱、ノミ、疥癬、………
など様々なものが含まれます。症状もいろいろです。

私達の体はつねに、これらの感染症から守られるよう、免疫力を発揮しています。皮膚では、「皮膚そのものが免疫組織」と言って過言ではなく、皮膚(表皮)細胞自身が、抗生物質様の物質を作って皮膚を守っています(自然免疫作用、β-デフェンシンなど)。そして皮膚には抗原提示細胞、リンパ球、組織球などの免疫特殊部隊が常駐し、がっちりと皮膚・体内を守っています。しかし、夏から秋にかけて、夏バテ気味の体では免疫力が低下して、感染症が起こりやすくなっているのです。

代表的で、注意が必要な皮膚の感染症を知っておいて下さい。

細菌感染症1.伝染性膿痂疹

 c0219616_12311315.jpg・「とびひ」と呼ばれています。
  「火」が飛ぶようにうつっていくからです。
 ・黄色ブドウ球菌感染症です。黄色ブドウ球菌は
  もともと皮膚の常在菌ですが、免疫力の低下と
  ともに、とくに皮膚の弱ったところ(湿疹、むしく
  われ。けがの場所など)で繁殖し病気をおこし
  ます。



c0219616_12334851.jpg ・治療は、抗生物質内服と保清(シャワーなどで良く洗う)。
 ・大人ではきわめてまれです。子供同士で移って
  しまうので、学校・幼稚園・保育園を休む必要は
  ありませんが、直接の接触、とくにプールは避け
  るべきです。
 ・黄色ブドウ球菌の10-20%に耐性菌が存在しま
  す(MRSA)。治りづらい時、再発しやすい時は、
  耐性菌の検査が必要です。
 ・黄色ブドウ球菌の毒素で重症化するとSSSSと
  呼ばれる、全身が真っ赤に痛くなり、発熱、倦怠感が生じる状態になります。

皮膚の細菌感染症2.毛包炎、癤(せつ)、癕(よう)
 c0219616_12413313.jpg・吹き出物、できものと呼ばれています。
 ・毛穴の黄色ブドウ球菌感染です。毛穴の浅いところでは「毛包炎」、深いところまで化膿すると「癤(せつ)、癕(よう)」を起こします。
 ・抗生物質内服が必須です。




皮膚の細菌感染症3. マラセチア毛包炎
c0219616_1246223.jpg ・「夏にきび」と呼ばれます。
 ・毛穴のマラセチア(真菌の一種)感染が
  原因です。
 ・汗かきの人、ステロイド外用を広範囲に
  している人(アトピー性皮膚炎患者さん
  など)で起こりやすく、ほぼ夏に限られます。

c0219616_12481172.jpg ・保清(シャワーで汗を流す)、抗真菌剤
  または抗菌剤外用。治りにくい場合は
  抗生物質(ミノマイシンなど)内服。





皮膚の細菌感染症4. 蜂窩織炎
c0219616_12585135.jpg ・蜂巣炎ともいいます。ほとんどは黄色ブドウ球菌が原因で、傷、湿疹、水虫の部から細菌が皮膚の深いところに侵入し、皮下脂肪組織、リンパ管を伝って広い範囲に拡大します。発赤と腫れが主な症状で、痛み・発熱・寒気を伴います。
溶血性連鎖球菌が原因となることもありますが、扁桃腺炎などのど風邪の菌が血液を伝わって、皮膚に蜂窩織炎(丹毒)を起こすこともあります。その他の細菌で感染することもあります。
 ・肥満者、糖尿病患者に多い。
 ・強力な抗生物質内服と安静が必要です。高熱など重症の場合、あるいは肥満・糖尿病を持つ人の場合は入院して抗生剤の点滴を行う必要があります。


皮膚の細菌感染症5. 壊死性筋膜炎
c0219616_1365388.jpg ・肥満者、糖尿病患者、免疫低下患者に生じる皮膚、皮下組織、筋肉の広範囲な壊死を起こす重篤な疾患です。致死率が高く、「人食いバクテリア」と一時話題になったことがあります。
 ・黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌・その他さまざまな細菌感染が原因となります。嫌気性菌が原因の場合「ガス壊疽」と呼ばれ、病変部をレントゲン撮影すると、特有の空気像がみられます。
 ・早期発見、入院治療が必須であり、壊死部分はを早期に切除する必要があります。



皮膚の真菌感染症1. 白癬菌(糸状菌)症
•頭部白癬(しらくも)
•体部白癬(たむし)
•股部白癬(インキン)
•足白癬(水虫)
•爪白癬
•深部白癬

足白癬(水虫)
・水虫には、趾間型、汗疱・小水疱型、角化型、爪白癬があります。
・角化型、爪白癬は白癬菌が移ってから長年を経て生じます。
・趾間型、汗疱・小水疱型はかゆみを伴いますが、
 角化型、爪白癬では通常かゆみはなく、放っておかれることが
 しばしばです。しかし、本人はなんでもなくても、家族や周りの
 人々に移してしまうので困りものです。
・日本人では、だいたい5人に一人が水虫を持っていると言われて
 います。お風呂上がりのバスマット、トイレなどの共用スリッパ
 おもに移ります。
・水虫の白癬菌が皮膚にくっついても24時間以内であれば、まだ
 感染は生じておらず、洗うことで白癬菌は消失します。温泉や
 プールに入った後は、家に帰ってからでも足を洗うと予防になるで
 しょう。
・治療は、抗真菌剤の外用です。完治します。爪白癬、頭白癬、
 また水虫でも角化型(かかと水虫9では、抗真菌剤の内服が必要
 です。

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趾間型白癬            汗疱・小水疱型白癬


c0219616_13244168.jpg c0219616_1325121.jpg







角化型白癬           爪白癬


皮膚の真菌感染症2. 皮膚(粘膜)カンジダ症
・カンジダ菌の感染症ですが、カンジダ菌は口の中、外陰部では常在菌の
 一つです。局所・全身の免疫力の低下とともに繁殖し、皮膚、粘膜に
 病変を生じます。逆に皮膚カンジダ症を見つけたときには、糖尿病など
 の免疫力の低下がないか検査を行います。
・治療は、抗真菌剤の外用、うがい、内服が原則です。

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乳児寄生菌性紅斑     カンジダ性指間びらん症

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口腔内カンジダ症(鵞口瘡)








皮膚の真菌感染症3. 癜 風
c0219616_13552065.jpg・「黒なまず」とも呼ばれます。
・皮膚の常在菌の一つ、「マラセチア」が増殖して病変を
 生じたものです。
・10~20歳代の若い世代、とくに汗をよくかく人に生じ
 ます。
・夏が過ぎると自然にも治りますが、翌年の夏にはまた
 再発します。
・保清と抗真菌剤の外用で治ります。


      この夏、頑張りすぎた人は要注意!

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      北海道マラソン2012 優勝者 川内優輝選手(埼玉県庁)
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by kobayashi-skin-c | 2012-08-29 13:00 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2012年7月24日教室 『第3回世界乾癬・乾癬性関節炎会議に出席して』
6月27日-7月1日、スウェーデンのストックホルム市において、第3回世界乾癬・関節炎会議が開催されました。IFPA(世界乾癬患者会連盟)が主催するもので、患者さんが主体の患者さんの目線に沿った会議で、最新の乾癬の研究、治療について世界の第一線の研究者から報告・討議がなされました。また乾癬の理解を深めるための世界的活動の方針についても代表者で話し合われました。日本の代表者として参加させていただきましたので、その模様を詳細に報告したいと思います。
北極圏にほど近いストックホルムの夏は、とてつもなく朝が早く、夜が遅い。街々は光に溢れ、水面はきらきらと輝いていた。ブログ「PHOTO & ESSAY」     http://ksclinic.exblog.jp/もお訪ねください。

3年に1回のこの会議は6年前の2006年、同じストックホルム市で第1回目が開催されました。日本はその前年にIFPA加盟を果たし、乾癬の会(北海道)から3名、山形乾癬の会から1名、大阪乾癬患者友の会から1名、そして私の総勢6名が参加しました。その時の会議参加者が600名、第2回目が800名、そして今回の会議にはじつに1,200名の参加者があり、内訳は各国患者会代表者、医師、研究者、製薬メーカー関係者、報道関係者と多岐にわたるものでした。日本からの参加者は私のほかに、東北大学の相場教授、製薬メーカーから5-6名でした。

今回の会議はまだできたばかりのストックホルム市ウォーターフロント会議場。目の前にストックホルム市庁舎、メーラレン湖を望む大変美しい会議場で、ここで5日間勉強し、討議し、交流を深める機会を得たことに、大変感激しました。

c0219616_950291.jpg開会の挨拶をするIFPA会長Lars Ettarp氏
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この会議の学術部門チーフ、米国テキサス大学皮膚科教授Alan Menter 氏
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ウォーターフロント会議場はガラス張りで、その向こうにノーベル賞授賞式後に開かれる晩餐会、舞踏会会場となる赤いレンガの市庁舎、メーラレン湖のパノラマが広がり、あたかも映画のスクリーンを見ているような錯覚におちいる。
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ストックホルムは「水の都」。氷河が刻んだ複雑な入り江、湖の辺に町が広がる。空が広く、青く、白い雲が美しい。








第3回世界乾癬・関節炎会議のテーマは、
“Psoriasis – a global health challenge”
(乾癬 ‐ 地球的規模の健康への挑戦)


global(地球的規模)とは、乾癬は
乾癬に苦しむ個人から、家族・友人、そして皆を包む社会、地域、
国、そして全世界に広がるということ

health(健康)とは、乾癬は
皮膚の深さだけにとどまらず、関節炎を伴いやすく、精神・心理的な
負担、さらに心臓血管障害、糖尿病、クローン病など全身の健康に
関わるということ

challenge(挑戦)とは、乾癬は
医学的・科学的に解明を目指して、社会的・世界的な取組み、
もちろん患者個人としてのチャレンジが試される病気であること

会議の冒頭に、IFPA会長のEttarp氏から "a global health challenge" への意気込みが高らかに宣言されました。


学術面で最初の講演は、米国のJames Krueger教授による「Th1細胞,Th17細胞,Th22細胞が複雑なサイトカインネットワークによって、細胞レベル、分子レベルで乾癬を引き起こす」でした。その要約を示すスライドを幾枚か失敬します(Krueger先生、ごめんなさい)。

c0219616_1193592.jpg乾癬の原因究明、病態(病気の起こり方)解明の主役となった免疫学的研究の最先端を行くKrueger先生の、最新情報がコンパクトにまとまった素晴らしい講演でした。生物学的製剤の治療根拠となるサイトカインネットワークは、現在TipDC - Th17経路によって、きわめて明快に説明されるようになり、Th17細胞が放出するIL17が表皮細胞(ケラチノサイト)の乾癬化を起こします。現在使用されている抗TNFα製剤、抗IL12/23製剤が、より上流(免疫反応の根っこ)で免疫反応を抑制するのに比べ、IL17はより末梢における乾癬の原因サイトカインであることから、IL17の抑制は、より乾癬をピンポイントで、そして副作用もミニマムにすることが期待される。


c0219616_1110375.jpg現在、3種類のIL17抑制薬剤が開発され、治療研究が進められている。
①IL17A抗体(Secukinumab Novartis社)
②IL17A抗体(Ixekizumab Lilly社)
③IL17A受容体抗体(Brodalumab Amgen社)

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その一つ、Secukinumabの効果(PASI75)=すごく乾癬がよくなる)では、たった3回の注射で90%以上の患者がPASI75を達成する。

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PASI90(=乾癬がほとんどなくなる)でみても、60%の患者で達成されている。
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Secukinumabの臨床効果。上の段は「プラセボ(偽薬)」、下の段がSecukinumab。
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Ixekizumabの効果(PASI90)。約80%の患者で達成されている。驚異的である。
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Brodalumabの臨床効果
















印象深かった講演をもう一つ、詳細に紹介いたします。
米国のAnne Bowcock教授の"The genetics of psoriasis: Old risks, novel loci (乾癬の遺伝子研究:昔から言われていた異常、新しく見つかった場所)です。Bowcock教授は、乾癬の原因遺伝子について世界で最初に報告した研究者です。ここでも少し講演スライドを拝借(Bowcock先生、ごめんなさい)。

c0219616_1215920.jpgBowcock教授は1999年、乾癬家系の詳細な遺伝子調査から第17染色体に乾癬と関わり深い遺伝子異常があることをみつけ、科学雑誌Scienceに報告した。21世紀を迎える直前のことであり、遠からず乾癬の原因遺伝子が確定し、完治治療を開発することも夢ではないと、当時期待したものでした。
ところが、次々と関連遺伝子はみつけられるものの(現在は30種類以上)、肝心の原因遺伝子、特定のタンパク、メカニズムは不明のままでした。

c0219616_1224152.jpgBowcock教授の息の長い研究は、第17染色体上にあるCARD14と呼ばれるタンパクの、その異常が直接乾癬を起こすことを説き明かしました。CARD14は細胞膜上にあるタンパクで、細胞外で起こる炎症から生じる様々な刺激物質を、細胞の膜から細胞の中へ伝える役割を果たしています。その伝達経路はNFκBを介しています(乾癬ではこの経路が活発に動いていることが、高知大学の佐野教授により解明されました)。
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遺伝性膿疱性乾癬患者では、このCARD14遺伝子に点突然変異が起こっていることを発見しました。この点突然変異だけで、特殊タイプではありますが、乾癬の原因が特定されたのです。
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点突然変異だけではなく、CARD14遺伝子に起こりやすい変異も、ほかの遺伝子異常(PSORS1、MHC遺伝子)、あるいは環境変化が加わると乾癬を引き起こすことも証明しました。






大変感銘深い講演でした。
会議の模様、IFPA代表者会議の報告は、また後日掲載いたします(『2012年9月教室抄録』をご覧ください)。
ブログ「PHOTO & ESSAY」もご覧ください。
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by kobayashi-skin-c | 2012-07-26 09:55 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2012年6月教室 『白斑、あざ、シミのカバー:資生堂パーフェクトカバーファンデーション』
顔に現れた白斑、あざ、シミ。たいへん気になります。でもなかなか治療では改善されません。そんな時、さっとお化粧でカバーできたなら、人目を気にせず仕事に、学校に出かけられます。「スキンカムフラージュ」について以前ご紹介しておりましたが、資生堂からもパーフェクトカバーファンデーションが発売され、実用的になっています。資生堂学術指導員の村井様にお越しいただき、実技を踏まえながら、その製品・テクニックについてご説明いただきました。

たくさんの参加者があり、お化粧の説明ならではの華やいだ雰囲気のもとで健康教室は開かれました。

この資生堂パーフェクトカバーファンデーションは北海道内でも販売されています。詳細はクリニックにお問い合わせください。
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by kobayashi-skin-c | 2012-07-11 17:19 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)