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2012年9月  秋、手稲山残照
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豊かに稔れる石狩の野に 雁(かりがね)遥々(はるばる)沈みてゆけば
羊群声なく牧舎に帰り 手稲の嶺(いただき)黄昏(たそがれ)こめぬ

(明治45年度恵迪寮寮歌「都ぞ弥生」二番)

赤木顕次君(作曲者)も横山芳介君(作詞者)も、同じ夕日と同じ手稲山をみていたのだろうか。
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by kobayashi-skin-c | 2012-11-28 18:47 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
2012年11月27日教室 『内臓と皮膚』
「内臓」を包むのが「皮膚」、「皮膚」に包まれているものが「内臓」。当然、そこには密接なかかわりがあります。肝臓が悪い時、腎臓が悪い時、糖尿病の時、皮膚には何らかの兆候が現れます。その「兆候」を「デルマドローム」と呼びます。「デルマドローム」を知っておくことは、内臓の病気のいち早い察知につながります。同時に、むやみな心配を不要とする安心感にもつながります。「皮膚は内臓の鏡」。知っておきましょう、その姿を。講師は、10月から赴任した新副院長、有田 賢医師が担当いたしました。

デルマドロームとは、

デルマ(皮膚)+シンドローム(一連の症状の集まり)
            
内臓の症状が皮膚の症状として出現してくること、つまり皮膚の症状から内臓疾患がわかる場合があります


たとえば、全身の皮膚がだんだんと黒ずんできて、そして口の中にも、くちびるにも黒ずみが出てきたら、

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体がだるくありませんか、なんだかとっても疲れやすくなっていませんか、髪も抜けやすくありませんか?
アジソン病と言います。「副腎皮質ホルモン」といって生きていくうえで必須のホルモンが少なくなってしまう病気です。


たとえばc0219616_13212882.jpg











何だか急に体中に「いぼ」が増えてきたと感じたら、『要注意!』

「Leser-Trelat(レゼル-トレラ)徴候」と言われています。
・内臓悪性腫瘍に伴うデルマドローム
・中高年の脂漏性角化症が突然短期間(6ヶ月)で
 その数と大きさが増す
 数百から2000個
・胃癌>大腸癌>肺癌>乳癌>菌状息肉症(皮膚リンパ腫)
・腫瘍から産生される何らかの因子が皮膚の増殖を刺激する



c0219616_13225017.jpg皮膚は内臓の鏡である








どんな種類があるのでしょう、

1.内臓悪性腫瘍と皮膚
 ①腫瘍が皮膚に直接転移
     乳がんの皮膚転移 c0219616_13234440.jpg
     

     乳がんの皮膚転移は
     他のがんより比較的多い。








     Sister Mary Joseph結節c0219616_13311677.jpg


     胃、膵、大腸、卵巣など
     腹腔内悪性腫瘍の
     臍部(へそ)への転移











 ②腫瘍が分泌する物質に対する反応

     悪性型黒色表皮腫c0219616_1338478.jpg


     わきの下など襞になる部分を中心に
     皮膚が黒ずんでごわごわしてくる。
     がんが分泌する増殖因子が関与





 ③腫瘍による免疫応答の変化

     腫瘍随伴天疱瘡c0219616_13442416.jpgc0219616_13444312.jpg








     皮膚の細胞をつないでいる接着板が
     異常免疫で破壊される。
     全身の皮膚がむけてくるが、
     とくに粘膜の症状が強い


     皮膚筋炎c0219616_141625.jpgc0219616_1412367.jpg










     関節の伸側が角化、背中などに痒みの強い紅斑。
     上まぶたが赤紫に腫れる。筋力低下を伴う。
     膠原病の一種だが、高率に悪性腫瘍を伴う。


2.糖尿病と皮膚
 ①循環障害c0219616_1473058.jpg

         糖尿病性壊疽





 ②細胞障害 好中球の機能障害(遊走力、貪食能、殺菌作用の低下)
                 →免疫力低下 
                 →易感染性 口腔内カンジダ症c0219616_14172162.jpg






         線維芽細胞、組織球の機能障害
                 →浮腫性硬化症
                 →リポイド類壊死症c0219616_14195821.jpg











3.肝臓と皮膚
 ①胆汁分泌の閉塞   ・黄疸  ・皮膚掻痒症
 ②肝炎ウイルスに対する免疫反応  ・蕁麻疹の特殊なタイプ
 ③代謝反応の低下(肝硬変)
    女性ホルモン(エストロゲン)の蓄積による変化
    ・手掌紅斑 ・くも(蜘蛛)状血管腫 ・女性化乳房
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4.腎臓と皮膚
   腎では代謝産物を排泄する機能があり、それが障害されると
   血中に貯留する
 ①血中カルシウム、マグネシウムの上昇→皮膚瘙痒症 
 ②代謝産物が皮膚に蓄積し、汗腺、脂腺の機能異常、発汗減少           
                 →皮膚乾燥
 ③カロチン、ウロクローム、ヘモジデリンなどの沈着が関与
                  →色素沈着 
 ④変性した膠原線維を排出 →反応性穿孔性膠原線維症


5.内分泌と皮膚 ホルモンの異常分泌から来る皮膚の異常
 ①Addison病:副腎皮質ホルモンの分泌低下
                →皮膚や粘膜の色素沈着
 ②Cushing病:副腎皮質ホルモンの分泌亢進
            →多毛、皮膚線条、ニキビなど
 ③Basedow氏病:甲状腺ホルモンの分泌亢進
           →脛骨前粘液水腫、脱毛症c0219616_14353134.jpg










6.妊娠に伴う皮膚変化
  ・色素沈着   ・妊娠性肝斑  ・多毛
  ・妊娠線状萎縮 ・クモ状血管腫 ・手掌紅斑
  ・妊娠腫瘍   ・下腿の浮腫、静脈瘤



まとめ

・皮膚疾患はその多くが皮膚自体の異常によるもので、
 すべての症状を内臓疾患と関連付ける必要はありません。

・しかし皮膚疾患の中には、その特徴的な症状で
 内臓疾患を示唆するものもあります。

・皮膚は単なる衣ではなく、重要な役割をもつ一つの臓器です。

・皮膚は体の内面の変化を反映するとともに、皮膚の変化
 そのものも体の内面に影響をおよぼしえます。

皮膚の変化から全身状態の変化を察知するのも、皮膚科医の
重要な責務です。皮膚の表面に「おやっ」と感じたら、早めに、
ご相談ください。私たち皮膚科医は、皮膚の奥にひそんでいる
かもしれない変化を見逃しません。

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by kobayashi-skin-c | 2012-11-28 13:03 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2012年10月、11月 『広島から、鹿児島へ、そして憧れの屋久島宮之浦岳』
10月27,28日 私の郷里広島で、日本皮膚科学会西部支部学術大会が開かれた。久々の里帰り、懐かしの三段峡を散策し、学会に参加した。学会では、天谷雅行先生(慶応大学)の講演「生命の境界で何が起きているか?皮膚科学からの挑戦」に深い感銘を覚えた。今春には、玉井克人先生(大阪大学)の講演「皮膚は地球を救う」に感動し、夏には日本乾癬学会で聴いた患者会代表の方の言葉に涙した。自分自身も「皮膚科学を極め、皮膚科医療の先駆者たりたい」と願うものの、足は山へと向かう。「自然との対話」もまた素晴らしきこと。広島から、鹿児島へ、そして憧れの屋久島宮之浦岳へと足が伸びた。


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朝霧にかすむ広島の里。


広島太田川上流に刻まれた渓谷「三段峡」にて。
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鹿児島についてすぐに「霧島神宮」へ向かう。旅の安全と健康を祈願した。広島から鹿児島まで新幹線を利用したが、それにしても、新幹線が「旅の手段」ではなく、単なる「移動の手段」に過ぎないことを実感(がっかり)した。「便利」ではあるけれど、・・・・・・


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霧島えびの高原、六観音御池から霧島韓国岳を望む。


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韓国岳山頂から、高千穂の峰(奥)、新燃岳(手前の蒸気を上げる火口)を望む。


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えびの高原は、高校生時代の修学旅行以来。その時にバスガイドさんから習った歌が、レンタカーを運転しながら自然に口をついて出た。「峠越えれば高原の、・・・・・」。あの時と同じように、えびの高原はススキの穂に覆われていた。

c0219616_19433926.jpgまず、韓国岳山頂(1700m)をきわめた。「我、汝より高きこと、五尺五寸。霧島の山々を睥睨し、・・・」、頂上では大声で高らかに漢詩を吟ずる老登山家に出会った。韓国岳に登ること、二十数回と。





次に向かったのは「開聞岳」。途中、桜島が噴火する場面に驚いたが、今年はすでに700数回爆発しているとのこと。
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開聞岳(924m)
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深田久弥の言葉を借りると、「これほど完璧な円錐形もなければ、全身を海中に乗り出した、これほど卓抜な構造もあるまい。名山としてあげるのに私は躊躇しない」。


c0219616_2056356.jpgそれにしても「開聞岳、なかなかやるな!」。もっと遊歩道の続きのような山道を想像していたが、登山道は深くえぐれ、頂上に近づくにしたがい岩道となり、梯子・ロープ補助も現れた。頂上からは360度、見渡す限りの眺望を得ることができた。それにもまして感動的だったのは、頂上で出会った地元の登山者達。登山道で見つけたという「あけび」の様な美味しい果実を分けてくれた。でも、彼らが話す言葉の嵐、さっぱり理解できない。「私らの言葉、分らないでしょう、この前はこう言われたのよ、『あんた達、日本語上手だね、韓国から来たの?』」




鹿児島から屋久島まで「トッピ―(とびうお)」に乗って移動した。そして圧倒的な存在感の屋久杉達、そして洋上のアルプスへといざわなわれた。二泊三日の縦走。登り口は屋久杉ランド。石塚小屋で一泊し、花之江河を経て宮之浦岳、そして高塚小屋で二泊目を過ごし、縄文杉、ウイルソン株を経て、辻峠から白谷雲水峡へと下山した。

c0219616_14534084.jpg登山口から歩くこと約2時間、すっくと伸びる巨大な「大和杉」に遭遇した。樹齢は推定2000~3000年、人っ子一人いない山道での遭遇に畏怖というよりも、むしろ恐怖に似た感覚を覚えた。











花之江河にて
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頂上直下の「モアイ像?」
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宮之浦岳頂上から永田岳を望む
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左が翁岳、右が宮之浦岳
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縄文杉
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c0219616_2130557.jpg屋久杉に抱かれながら登る山道は、優しく、荒々しく、神秘的で哲学的であった。素晴らしい山行き、「自然との対話」に感謝する。宮之浦岳の頂上(1935m)からは「洋上のアルプス」であることを実感。360度が海に囲まれ、すぐ近くには種子島、そして荒々しい姿の薩摩硫黄島、さらに遠くには開聞岳がその円錐形の姿を見せてくれた。





「もののけ姫」の舞台では、屋久鹿がその雰囲気を盛り上げてくれた。自然の神秘に圧倒される。
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屋久島に泊まるなら「San Kara」。登山基地としても、全身のリラクセーションのためにも屋久島で最高のホテル!いや日本で最高!スタッフの方々が素晴らしい。料理が美味しい。デザートは夢みたい!また泊まりたいホテルのNo.1!c0219616_215623100.jpgc0219616_2157232.jpg





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ここのホテルも素晴らしかった「石塚小屋」。総収容人員20名、この夜の滞在者は5名。夜半には満天の星、朝には真っ青な空と冷気(一面の霜)が我々を迎えてくれた。

いま一度、屋久島へ。
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by kobayashi-skin-c | 2012-11-15 19:22 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
2012年10月 ふたたび紅葉を求めて『大雪愛山渓から永山岳』
9月、大雪山上の紅葉に落胆したのち、中腹から山麓の紅葉を求め、愛山渓から山中に入った。毎年おなじみの沼の平コース。10月と云うのに、山頂にまったく雪はない。永山岳を目指した。
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途中、滝ノ上分岐から見た紅葉。なかなか!

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途中沼の平を望む。

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でも、このウラシマツツジのまだらな赤模様が今年の紅葉を象徴している。まあ、これはこれで目を楽しませてくれるが、全体としては「どうも・・・・」

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永山岳山頂(2046m)から愛別岳(2112m)を望む。

c0219616_18532876.jpg途中この景色に見とれていたのか、岩道に足を取られて転倒し、頭と胸を強打した。頭は「たんこぶ」で済んだが、左第10肋骨を骨折した。今年はこれで5本目の骨の損傷。
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by kobayashi-skin-c | 2012-11-15 18:59 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
2012年9月 紅葉を求めて『大雪黒岳から北鎮、北海、白雲そして赤岳、銀泉台ヘ』
今年の北海道は9月に入ってからも異例の暑さが続いた。9月の平均気温上昇率でみると、旭川気象台の記録が世界で最高であったとのこと。大雪山の山上にも異変は生じていた。
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いつもはナナカマド、ウラシマツツジ、チングルマ、クロマメノキの紅葉で埋め尽くされているはずの雲の平が、ところどころ色づくのみ。かといって、ナナカマドなどはもう葉を落としていた。

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期待していた「お鉢」の紅葉も色褪せたまま。

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赤石沢では、草紅葉が赤く燃えていた。

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白く光るチングルマ。夏のあの白く咲き誇っていた、花の絨毯が、思い起こされる。

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雲の稜線を行く。
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by kobayashi-skin-c | 2012-11-15 18:29 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
2012年10月23日教室 『永遠の若さと美しさ:シミ、しわの治療』
人類永遠の課題とは?「不老不死」、「永遠の若さ・美しさ」。
神代の昔から現代にいたるまで、「永遠の若さと美しさ」を得るために私たち人類は、幾多の労苦も、幾多の犠牲も顧みずいかなる努力も惜しまなかった。あらゆる食物から、薬草から、はては動物の糞にいたるまで、口に入れ、肌に塗り、若く美しくあり続けることを願望してきた。
 現代医学・科学の発展は、その願望・欲望をかなりのところまで満たすにいたっている。シミに対しては各種レーザーの発達が、しわに対してはボツリヌス菌毒素、レチノイン酸がたいへん有効である。
 どのような方法が現在可能であるのか、そしてどんな注意が必要なのか、はたまた「永遠の若さ・美しさ」を問う人生観について、一緒に語りましょう。

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さて、私の結論は?
上の写真を見てなんだか変だと思いませんか。この美女の顔は、じつは人工皮膚。現代科学・技術はまさに永遠の若さと美しさを可能にしています。けれども、一生仮面をかぶった人生って、いったいなんでしょう。
 美しさに絶対的な永遠はありません。美しさは私たちの心の中に、そして、愛する人の瞳の中に存在します。つまり、美しい心と、愛しい人を持ち得ることが、人生における永遠の美しさではないでしょうか。
 そして、往きとし死せる生きものにとって、永遠の若さはありません。顔に刻まれるしわの一つ一つは、私たちの人生の歩みであり、私たちそのものではないでしょうか。
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by kobayashi-skin-c | 2012-11-14 17:02 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2012年9月25日教室 『psorias is more than skin deep,・・・・・』
かつて、米国の乾癬患者組織 National Psoriasis Foundation (NPF) の冊子に “Psoriasis is more than skin deep, (乾癬は皮膚の深さにとどまらない、)”と始まる言葉がかかげられており、その後ろには “leaves emotional scar. (心の傷を残す)” と書かれてありました。皮膚の外面だけではない、乾癬のつらさが適確に言い表された言葉です。
 いまふたたび“Psoriasis is more than skin deep, (乾癬は皮膚の深さにとどまらない、)”が強調されています。それは、乾癬の3割の方には関節炎の症状があり、乾癬患者さんの生涯で一度でも関節炎の症状が現れる率は7割に達すると見積もられています。さらに、乾癬とメタボリック症候群(メタボ)、さらには糖尿病、高脂血症、心血管系障害、またクローン病などの内臓疾患の合併率が高く、寿命にも影響を及ぼしていることが疫学調査から明らかにされてきたからです。
 7月に開かれた世界乾癬・関節炎会議の話題から、そして9月7,8日に開催される日本乾癬学会の話題から、“Psoriasis is more than skin deep, (乾癬は皮膚の深さにとどまらない、)” について皆さんと一緒に考えたいと思います。

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乾癬は皮膚だけにとどまらない。「乾癬」を中心として、上から時計まわりに「関節炎」、「メタボリック症候群」、「心臓・血管異常」、「糖尿病」、「うつ病」、「神経症」、「アルコール依存症」、「肥満」が関係することが図に示されている。世界会議の講演、発表の中でこれらのひとつひとつの危険性、注意点が報告された。印象的であった発表をいくつか紹介します。

c0219616_144758.jpg左:乾癬患者、右:正常人のPETスキャン画像。乾癬患者では脚の血管などが濃く染まっており、血管に炎症を生じていることを示す。動脈硬化、炎症を起こしやすく、心筋梗塞など重大な心臓・血管障害の元となる。






c0219616_14503499.jpg棒グラフの緑が正常人、オレンジが乾癬患者。すでに30代のころから「心臓・血管異常」が起きやすく、40代、50代では約2倍の頻度であることが示されている。








c0219616_1453129.jpg日本人ではあり得ないほどの肥満。スペイン・バルセロナの肥満治療病院の前のビーチで。








c0219616_14591682.jpgスペインの乾癬患者(左の円グラフ)と一般国民(右)の肥満度。青が正常(BMIが25未満)、赤が肥満傾向(BMIが25~30)、緑が肥満(BMIが30以上)。
BMIは、"body mass index"。国際的な肥満基準として用いられている。計算方法は、BMI=体重㌕÷身長㍍÷身長㍍。乾癬患者では正常体重が明らかに少なく、肥満者が多い。



c0219616_158149.jpgまた体重が重いほど、治療効果が減弱することも報告された。生物学的製剤治療の効果が不十分あるいは減弱する率は、肥満傾向のもので14%増、さらに肥満患者ではさらに14%も高まることが示された。



c0219616_15145931.jpg関節炎の頻度は高い。その症状には様々なものがあるが、手・足の指の関節に起こりやすく、そのほかに背骨、腰骨におこるタイプ、腱の付着部炎、指全体が腫れる指炎タイプがある。



c0219616_15183551.jpg乾癬患者の2-3割に関節炎が合併しているが、患者生涯期間中の関節炎発症率は7割に達すると推測されている。その中でわが国(Japan)の発症率が1%と際立って低いことが紹介された。小生はその理由について質問を受けたが、日本乾癬学会で行っている乾癬患者登録方法の不備による数字であり、実際はわが国でも関節炎の頻度は高いことを説明した。

c0219616_15235397.jpg新しい関節炎の分類に基づき、治療指針が示された。すべてのタイプに有効なのは、生物学的製剤の中の抗TNFα製剤である。






c0219616_1525543.jpg"Let's talk psoriasis"という企画があり、英国人の医療ジャーナリストが司会し、スウェーデンの患者と米国の皮膚科医(アラン・メンター博士)が受け答えするという、国際色豊かでユニークな試みがありました。鋭い質問に答えるメンター先生の適確かつ優しい態度が印象的でした。日本の学会でも試みたい企画である。



c0219616_15312844.jpg乾癬患者QOLの調査で、
約1割の患者は年間に約16日、仕事や学校を休まざるを得なかった。とくにかゆみが強い患者でその傾向がみられた。わが国の調査でも、かゆみの頻度が以前よりも増していると報告されているが、今回の報告では乾癬患者の85%にかゆみが症状があると指摘された。



c0219616_1537287.jpg乾癬患者QOL調査から、患者の1/3は「医師との関係」について、ネガティブな見方をしていることが分かった。期待どおりの治療の説明がない(36%)、だれも自分の乾癬の助けになりそうもない(35%)、医師はどの治療が効き、どれが効かないか知らないようだ(33%)、医師は乾癬の話題を避けたがる(32%)、医師は私の乾癬について真剣ではないようだ(30%)、医師はほんとうに私の乾癬を治す気があるのだろうか(28%)、医師に乾癬について相談することをためらってしまう(21%)。



c0219616_1545119.jpg抗IL-17療法については、前回の7月の教室で話したとおり、現在の生物学的製剤以上の効果が得られている。
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c0219616_15474766.jpgさらに新しい治療法として、細胞の中で情報伝達(シグナリング)に大切な物質であるJAK、PDE4を抑える治療薬(内服)が開発中であり、良い結果が得られていることが報告され、大きな期待が寄せられる。
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c0219616_1622580.jpg五日間の会議の間、ストックホルム市庁舎を使ってレセプションが開かれました。会長のエタップ氏による開会挨拶の場面です。この会場ではノーベル賞受賞者の公式記念晩餐会が開かれます。




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c0219616_16234737.jpg世界会議が終了して、IFPAメンバーによる「世界乾癬デー」の取組み会議、そしてWHO(世界保健機構)へのアピール活動協議が行われました。この中で、IFPAが推進する"Under the Spotlight"プロジェクトに、日本がぜひとも協力してほしいとの要請がありました。またWHOへのアピール活動においても、日本国外務省、厚生労働省の協力が不可欠であるとの要請があり、IFPAという国際協調の中で、日本の乾癬患者会も大きな役割を期待されていることを感じました。世界のみんなと手を携え、乾癬への克服に向かって、日本でも是が非にも頑張っていきたいと決意を新たにさせられました。この素晴らしい世界会議を企画・運営したIFPAの役員の皆さま、そして協力を惜しまなかったアラン・メンター先生をはじめとする医師・研究者の仲間たちに、心から感謝したいと思います。また世界的製薬企業の絶大なる支援にも感謝いたします。
下の写真は、PsorAsia(アジア連合)の面々(左から、マレーシア、フィリピン、ニュージーランド、インド、オーストラリア、米国、インドネシア、フィリピン、そして日本)


帰国後、"Under the Spotlight"への参加をお願いしたところ、東京地区乾癬患者友の会(P-PAT)の方が勇気を持って名乗りを上げてくださいました。日本乾癬患者連合会、P-PAT、そして日本アボット社の絶大な協力を得て、ビデオ映像が完成しました。世界乾癬デーの10月29日から、この映像は全世界で観ることができるようになっています。
http://www.underthespotlight.com をご覧になって下さい。
"Japan Masayuki"です。日本乾癬患者連合会HPからも簡単に観られるようになっています。
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by kobayashi-skin-c | 2012-11-14 14:56 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)