2017年6月教室 『爪の病気』

「爪の垢を煎じて飲む」だの「能ある鷹は爪隠す」だの「苦髪楽爪」などなど、爪にまつわることわざ、迷信は数々あります。爪の色の変化、形の変化が、全身の栄養状態、病気とかかわりを持つことがあるためかもしれませんね。少し詳しく、そして正確に、爪について知ってみましょう。

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ピンク色できれいな爪ですね。正常な爪の構造は次の図のように表され、それぞれに名称が付けられています。

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この爪に起こる変化は、
1.色の異常
2.形の異常
3.伸びの異常
として目で捉えられます。その異常からどんな爪の病気なのか、また全身の病気と関係はないか、などを正確に診断することが大切です。

1.色の異常
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色の変化では、やはり爪の悪性黒色腫(メラノーマ)がもっとも気になるところです。写真から分かるように、メラノーマでは爪の形の異常(破壊)が同時に起こります。また爪の色だけではなく、周囲の皮膚に染み出すように黒い色が広がっていることが重要なサインです。ただ極めて初期のメラノーマであればこの見分けが難しくなるでしょう。やはり、黒い爪に気がついたら皮膚科専門医を受診することが大切です。

そのほかの色の異常として、次のような全身疾患と関連があることもあります。
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2.爪の形の異常
次の写真にあげるような変化が多くみられます。ほとんどが爪だけに生じる変化であり、心配はありませんが、他の皮膚の病気(たとえば乾癬、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症など)の一部症状であったり、全身の病気と関連がある場合があります。
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3.爪の伸びの異常
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このように様々な爪の変化があるのですが、じつは私たち皮膚科医も爪の変化・病気にはちょっと弱いところがあるのが事実です。ときには、教科書の図や写真を確かめながら診断の助けとすることもしばしばです。しかしながら、見逃してはならないメラノーマ、爪の感染症、そして全身疾患の兆候があり、私たちにも日々の訓練が必要です。今回の図・写真は西山茂夫先生の名著「図説 爪のみかた』から引用させていただきました。



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# by kobayashi-skin-c | 2017-07-16 12:34 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2017年5月教室 『全身と皮膚』

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皮膚は文字どおり一枚の皮であり、人体をやさしく包みます。
外界から受ける様々な環境変化(紫外線、温度、湿度、さらにはばい菌・毒物など)に対抗するため、皮膚に変化が生じます。これが「skin in」の変化です。いっぽう、体内で生じた様々な変化も皮膚に影響を及ぼします。これが「skin out」です。

「皮膚は内臓の鏡」とはよく言われる言葉ですが、毎日の診療の中でそれほど多いわけではありません。突然全身が痒くなる蕁麻疹を発症された方は、びっくりして内科に駆け込まれることが多いようです。内科ではひととおりの血液検査を行い、「どこも異常ありません、皮ふ科を受診しなさい」で終わることが多いようです。内臓の病気(内科的疾患)からくる皮膚の変化にはいろんな種類がありますが、それほど頻繁ではありません。でも、こんなことを知っておくと安心だということも多々あるのではないでしょうか。

体内と関連ある皮膚の変化を大きく三つに分けることができます。

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内臓障害と皮膚病変について、2012年11月教室で有田副院長が説明しました。
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代表的なものとして、内臓に悪性腫瘍が発生した時に現れる皮膚変化があります。

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しかし、きわめてまれです。内臓悪性腫瘍の皮膚転移も珍しいものです。この中では、Ⅱ-2.免疫反応による皮膚病変(皮膚筋炎)が大切でしょう。
皮膚筋炎とは、上眼瞼部の紫紅色の腫れぼったい紅斑(ヘリオトロープ疹)、手指関節背面の盛り上がった紫紅色の丘疹(ゴットロン丘疹・徴候)、手指の爪の周囲の紅斑(爪囲紅斑)、背部や上腕の褐色や白色と血管拡張と皮膚の萎縮(多形皮膚萎縮)が特徴的です。前頚部~上胸部、肩・上背部にも紫赤色の紅斑が見られることもあります。

この病気では「筋症状のない皮膚筋炎」ことがありますので、皮膚症状の診断がとても大切です。筋炎は頸部、上腕、大腿など体幹に近い筋肉におきやすいため、しゃがみ立ちが困難、風呂の出入りがつらい、階段が昇りにくい、洗濯物が干しにくい、髪がとかせない、頭を枕から持ち上げられない、などの症状がみられます。写真の左上から時計回りに、上眼瞼のヘリオトロープ疹、首~胸のヘリオトロープ疹、爪の周囲の紅斑・紫斑、指のゴットロン徴候。

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糖尿病の方では、皮膚病変は高頻度に見られます。
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皮膚病変が生じた際、皆さんが一番に口にされるのは「肝臓・腎臓」ですが、意外とまれです。最近は、健康診断などで頻繁に血液検査を受けられるからでしょうね。皮膚に変化が生じてから肝臓・腎臓の病気に気付くということは、まずないようです。
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次回は、この爪の変化についてお話いたしましょう。


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# by kobayashi-skin-c | 2017-07-02 16:07 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
医師出張のお知らせ
【本 院】
小林 仁本院院長      9 月5日(火)午後、9月19日(火)
有田 賢本院副院長     8月24日(木)
              9月12日(火)

【8・3プラザ分院】
小林衣子8・3プラザ院長  9月11日(月)午後、12日(火)


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# by kobayashi-skin-c | 2017-06-15 17:46 | お知らせ | Comments(0)
2017年4月教室 『話題のアトピー性皮膚炎治療戦略』
NHKなどのニュースでも報道されたアトピー性皮膚炎の新しい治療薬、抗IL31療法。いったいどんな治療法でしょうか。アトピー性皮膚炎の原因として皮膚バリア機能の低下が明らかとなり、保湿スキンケアの重要性が分かりました。しかし、保湿だけでアトピー性皮膚炎のつらさが改善されるわけではありません。アトピー性皮膚炎患者のだれもがかゆみの苦しさにつらい思いをしています。このかゆみのメカニズムに効果を発揮するのが「抗IL31療法」です。最新の話題をお届けしたいと思います。

今年の3月2日、3日の報道をご覧になった方も大勢おられることと思います。
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京都大学医学部皮膚科教授の椛島先生が主体となって行った研究成果が、米国の医学雑誌に掲載されました。その概要は次のとおりです。
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アトピー性皮膚炎で痒みは必発であり、痒み→ひっかく→皮膚炎の悪化→痒みの悪化→さらにひっかく→・・・・の悪循環が生じます(itch scratch cycle)。アトピー性皮膚炎の治療においては、痒みのコントロールが最大の目的となります。
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アトピー性皮膚炎の病態研究が進むにつれて、痒みにかかわってくる様々な原因が明らかになってきました。
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なかでもIL-31と呼ばれる物質が重要であり、IL-31の働きをとめる薬剤(ネモリツマブ)の開発が行われたのです。
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ネモリツマブはモノクローナル抗体と呼ばれる製剤で、生物学的製剤の一つです。乾癬の治療ではすでに10年前から実用化されていましたが、アトピー性皮膚炎の治療でも近々使えるようになります。ネモリツマブ以外にも生物学的製剤をはじめ新薬の開発が相次いでおり、ことに重症のアトピー性皮膚炎のため苦しまれている患者さんにとって、大きな福音となることが期待されます。
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# by kobayashi-skin-c | 2017-05-07 15:43 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2017年5月 『残雪の暑寒別岳』 May 2017 "Spring Ski in Mt Shokanbetsu"
暑寒別岳(しょかんべつだけ)標高1492m。

暑寒別天売焼尻国定公園内にある。増毛山地の主峰で第三紀(約400万-200万年前)に活動した火山。山名の由来はアイヌ語で「滝の上にある川」を意味する「ソー・カ・アン・ペツ」より。冬の季節風が厳しいため積雪が多く、初夏でも残雪が多い。山頂には一等三角点(点名は「暑寒岳」)が設置されており、平成20年の三角点標高改訂により1491.4mを1491.6mに変更された[Wikipediaから引用]。

それにしてもなんとロマンチックな名前。アイヌ語の名に、この漢字をあてた先人のセンスに敬服。

羊蹄山と、大雪旭岳の合間に、ノマド宮下親分の案内で増毛町の山小屋『暑寒荘』に泊まり、暑寒別岳に登頂、春スキーを満喫した。

札幌をお昼に出発し、暑寒荘に到着。
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ポンショカンベツ川に架かる橋の上で、増毛の町で買った「たこテン」、「えび天」をつまみに、まずは乾杯。
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夜は宮下親分・シェフが料理した「イタリアンサラダ」、「チーズフォンデュ」に舌鼓を打ち、もちろんお酒もたっぷりと頂いた。
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翌朝は0500起床。朝食(宮下親分が作った「チャンプルー」)を食べて、0615に山小屋を出発した。山小屋上からすぐにスキーを装着。
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途中、軽く藪漕ぎはあったものの、快適な尾根歩きへ。ゆるゆるとダケカンバの林を登る。
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森林限界を過ぎて、通称「ドーム」に到達するころから強烈な風。途中引き返して来る人もいる。昨日は、ほとんどの人が爆風のため、登頂を断念したとの事であった。
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強風を避けるように隊列を組み、前かがみの姿勢で頂上下の斜面を登る。

頂上直下まで来ると、なんと無風。宮下親分いわく「ムフッ❤」
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雪の暑寒別岳に初登頂!
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山頂から望む浜益岳、浜益御殿、雄冬山、西暑寒別岳(左から)、そして日本海。
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真っ白な雨竜沼湿原も見える。その向こうは大雪・十勝連峰。遠く遠くに真っ白な浮島(利尻)も見えていた。感謝、感謝、大感激。
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そして、そして大斜面を滑り降りた。しっかりとしたザラメ雪をかっ飛ばす。
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そして大斜面に描かれたシュプールを振り返る。
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暑寒別の山に、宮下親分に、一緒に登った仲間に、そして今日の天気に感謝。名残を惜しみつつ、日本海に向かって最後の滑降。また半年もするとパウダーの季節がやってくる。北海道って、なんて素晴らしい。
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# by kobayashi-skin-c | 2017-05-07 14:24 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)