2009年のキーワードは、「政権交代」でした。8月に行われた衆議院選挙で、わが国で初めてといわれる「民意による政権の交代」が成し遂げられました。マニフェスト政治を旗印に選挙を勝ち抜いた民主党ですが、わが国を覆っている財政不況が、理想の実現を困難にしており、さらには鳩山総理大臣自身の献金問題から政治基盤を弱めており、今後の連立政権の維持さえも危うい気配が感じられます。
わが国の医療は、世界随一とも言えるレベル、国民の高い満足度を保っていましたが、相次ぐ医療費の削減、ことに小泉内閣以来の政策により「崩壊寸前」とまで言われるようになってしまいました。救急病院での搬送拒否、産科・小児科医師の激減、病院・病棟の閉鎖などが地方のみならず、大都市でも進行しています。この「崖っぷちの日本の医療を救う」と名うった民主党のマニフェストでしたが、最近決定された診療報酬改定では0.19%増だけにとどまり、20%増をうたっていた鳩山総理の約束はまったく実現されませんでした。とにもかくにも、これからの2年間はこの数字の中でやりくりする以外にはありませんが、日本の医療の未来は、民主党政権下でも明るくないようです。