3月晦日前日、春の大雪を訪れた。
好天に恵まれたこの日、空は真っ青に晴れわたり、まだ雪に覆われる大雪の山々は真っ白に輝いていた。スキーを担いで目指すは大雪黒岳山頂。
早朝に札幌を出発し運転すること2時間。大雪の登山基地、層雲峡温泉に近付くと真っ白な峰々が眼前に迫ってきた。

途中、双瀑台に立ち寄った。双瀑とは、大雪の峰々に発した水の流れが、石狩川で削られた深い谷間の層雲峡に一気に流れ落ちる二つの名瀑布(流星の滝、銀河の滝)のこと。真っ青な空と白い雪、黒い岩壁のコントラストがみごとだった。夏と違い、人っ子一人いない静寂の世界。

流星の滝はまだ凍ったままのアイスフォール。

層雲峡温泉からロープウェーで一気に五合目へ。ロープウェーの車窓から峰々が間近に迫る。左端が黒岳、右に桂月岳、凌雲岳、上川岳が連なる。

黒岳五合目は、まだ新雪の深雪だった。エゾマツには新雪の綿帽子。

スキーをザックにくくり付け登り始める。曲がりくねったダケカンバの枝が”よく来たね”と手招きをする。しかし予想以上の深雪にラッセルを強いられ、すぐに息が上がってしまう。残念ながらたどる踏み跡はひとつもない。

ダケカンバの向こうには真っ白な北大雪の峰々が見渡せる。

息を切らせながらやっと黒岳山頂。夢のような白銀の世界が眼前に広がった。右から凌雲岳、北鎮岳、間宮岳、そして左端が北海岳。

左から烏帽子岳、小泉岳、そして白雲岳。

深い谷間の向こうに、左から北鎮岳、凌雲岳、愛別岳、上川岳が美しい。

黒岳頂上からさらに黒岳石室を目指した。

黒岳石室はかろうじて屋根だけがぽつんと見えていた。

素晴らしい春の一日を過ごすことができた。この日が50代最後の日。明日、還暦を迎える。札幌に戻ると手稲山に夕日が煌きながら沈んでいった。