5月の札幌、まだまだ風は冷たく「春は名のみ」。しかし油断は大敵、すでに紫外線の量は真夏8月と同じ。空気が乾燥しているぶん、肌への影響は大きいと言えます。今から始めたい紫外線対策。今回の皮膚の健康教室では、アクセーヌ(株)の学術員、瀬戸陽子さんをお招きして『夏のお化粧、お肌の手入れ』についてお話しいただきました。
紫外線がおよぼす皮膚への影響は? 生活紫外線=UVA(紫外線A波):窓ガラス越しにも入ってくる紫外線。日焼けは起こしませんが、長く当たると皮膚の色が濃く黒くなったり、長年続くと皮膚のシワ・たるみの原因となります。 レジャー紫外線=UVB(紫外線B波):夏の海、冬のスキーなどで起こる日焼けを起こす紫外線。重症の場合、皮膚は真っ赤にはれあがったり、水ぶくれができたり、そしてその痕にはシミ。長年続くと皮膚がんのもとにもなる紫外線。 「光老化」という言葉があり、シミ、シワ、たるみなどの皮膚の老徴は、紫外線に長年当たり続けることが体内時計以上に皮膚の老化を進めることを意味します。 でも、太陽の光がなければ私達は生きていけません。すべての地球上の生命は、太陽の光から恩恵を受けています。太陽の光がなければ栄養源となる野菜も果物も育ちません。私達の体自体も、陽の光の一部である紫外線の働きで皮膚の中で大切なビタミンDを作っています。 陽の光と上手に付き合いながら、毎日の生活を送り、楽しむことが求められています。 夏のお肌の手入れ、その誤解 ①日焼け止めは、SPFが高ければ高いほどよい? そうではありません。TPOが大切です。TPOとは、T(time、時間・季節)、P(place、場所)、O(opportunity、機会・行動)。普段の生活、通勤、通学、お買いものであれば、SPFの数値は、20-30で十分です。夏のレジャー、春スキー、長時間のスポーツ観戦のときには、40-50のものが必要です。SPF値が高ければ高いほど、化粧品としての白さが目立ち、伸びにくく、また洗顔しづらいものです。ことに敏感肌、ニキビ肌をお持ちの方では、皮膚のトラブルとなりやすく、SPF40-50のものを常時使用する必要はありません。 "SPF"って何? いまどき知らない人はいないかもしれませんが、"Sun Protection Factor"。レジャー紫外線であるUVBから、どれぐらい皮膚を守るかを表す指数です。数値が大きいほど日焼けを防ぎます。SPF1は、晴天の真夏の昼間で20分、何も塗らないと皮膚は赤くなります(個人差は大きい)。その20分を防ぐのがSPF1。SPF10の日焼け止めを塗ると20分x10=200分までは、日焼けを防ぎます、という意味です。しかし、黒くなることは防げません。 そこで"PA"? これも、いまどき知らない人はいないかもしれませんが、"Protection grade of uvA"。生活紫外線であるUVAからの防御指数です。(+)、(++)、(+++)の三段階です。普段の生活では(+)か(++)で十分です。 ②日焼け止めはよく伸ばして使った方がいい? 最近のフェイス用は、お化粧下地を兼ねている製品が多く、のびが良いために控え目によく伸ばして使いがちです。しかし日焼け止めクリームはSPF50の製品を半分の濃さで塗っても、SPF25の効力を発揮することはできません。SPF10以下になってしまいます。かならず使用説明書にある「適量」を守ってください。 ③日焼け止めは一度ぬればOK? 日焼け止めを下地にメイクアップした場合、少し汗をかいてお化粧崩れをしたからといって、お化粧直しをするのは面倒。でもどんなにSPF値が高くても、汗で、海で、プールで流れ落ちてしまったら効力を失います。理想的には、2~3時間ごとに塗り直しましょう。 ④日傘は黒!? 確かに紫外線をもっとも吸収して通さないのは、黒色。しかし白いものは紫外線を反射させます。ある実験によると黒い傘も、白い傘も、効果は変わらなかったとか。黒は熱も吸収するため熱くなってしまいます。 ⑤紫外線は太陽からだけ? もちろん紫外線の発生源は太陽から。飲み歩いて「ネオン焼け」?それはないでしょう。紫外線は上からだけではなく、反射紫外線もあります。一番は、雪面。太陽光の70%を反射しますので、スキー場では1.7倍の紫外線を受けることになります。そのほか、砂浜、海、湖などの水辺も要注意です。 日焼け止めの正しい塗り方 ①頬、あご、額、鼻(いちばん紫外線があたりやすい場所)に少量ずつ のせ、そこから手のひら全体を使って、むらなくなじませます。 ②目のまわりなど、細かい凹凸のある部分は、薬指の腹を使ってなじませ ます。 ③最後に、両手のひらで顔全体をやさしく包み込んで、肌にフィットさせ ます。 ④「一度にたっぷり」ではなく、「適量を少しずつ」重ねます。 やさしい落とし方 ①クレンジングをお使いください。日焼け止めは洗うだけでは落ちません。 クレンジング製品をたっぷり目に使って、皮膚をこすらずにやさしく なじませて下さい。 ②洗顔は、しっかりと泡だてた「豊かな泡」で顔全体を包み込み、強くこす らずに、やさしく落としましょう。 さて、講師の瀬戸陽子さんの最後の提案。 「自分にあった日焼け止め、お化粧品を選んでくださいネ。自分以上に自分の肌を知る人はいません。適確に紫外線を防御、そして塗りやすく、やさしく落とせるもの、そんなお化粧品を一緒に探しましょう。」
by kobayashi-skin-c
| 2011-06-02 17:26
| 「皮膚の健康教室」抄録
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