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2012年12月25日教室 『ドライスキンケア』
今年の北海道の秋は、夏に引き続き高温で推移し、例年になく初雪も遅れました。しかし本格的冬将軍も到来し、乾燥が皮膚に現れ始めています。毎年話題として取り上げる『ドライスキン』、それだけ皮膚の健康には大切なキーポイントです(2011年11月教室の抄録も参照)。気密化され断熱・保温が行きとどいた現代の室内は、湿度が20%以下にまで低下しています。さらに栓をひねれば温かいお湯がふんだんに流れ、毎日シャワー、入浴をする人が増えています。湿度の低下と、入浴による洗剤の使用が、『ドライスキン』の原因と言えます。冬になるとかゆくなる方、放っておくと全身の湿疹へと発展し、夜も眠られないくらいにかゆみが悪化します。『ドライスキンケア』について、しっかりと学びましょう。

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加齢による皮脂の欠乏、皮膚の水分保持力の低下によって、皮膚の表面はカサカサと粉がふいた状態となります。放置していると、さらに皮膚表面がひび割れ状となり、「かゆみ」が生じてきます。引っ掻くようになると「湿疹」の状態となり、赤いぽつぽつ、ジクジク病変が出現し、「かゆみ」、「引っ掻く」、「湿疹の悪化」の悪循環を生じます。「皮脂欠乏性湿疹」、「乾燥性湿疹」と呼ばれます。ジクジク病変は「貨幣状湿疹」と呼ばれることもあります。

「アトピー性皮膚炎」の悪化も皮膚の乾燥から頻繁に起こります。
「乾癬」も冬季の乾燥でしばしば悪化します。


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冬季の乾燥、加齢に加え、頻回の入浴・シャワー、石鹸・シャンプーの使い過ぎもドライスキンの大きな原因です。




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皮膚は上の図のようにたくさんの物質を作りながら、皮膚本来の役割である「バリア機能」を果たすことができます。生まれながらにして、これらの物質の一つにでも異常が生じると、皮膚には重大な変化が生じてしまいます。アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚でも、天然保湿成分の一つである「フィラグリン」に異常が生じていることが最近解かり、アトピー性皮膚炎の原因の根っこになっていると考えられるようになりました。


「砂漠皮膚(ドライスキン)」の中では、バリアの障害によって、アレルギー物質、刺激物質が角質層を通りぬけ、皮膚の神経過敏、免疫反応を引き起こすため、湿疹病変、アトピー性皮膚炎・乾癬の悪化を起こします。
バリア機能がしっかりした皮膚では、アレルギー物質、刺激物質も角質層を通りぬけることはできません。
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保湿剤には、
①ヘパリン類似物質製剤(ヒルドイド、ヒルドイドソフト、ヒルドイドローションなど)
②尿素製剤(ウレパール、パスタロン、ケラチナミンなど)
③ビタミン含有軟膏(ザーネ、ユベラなど)
④ワセリン 等の古典的外用剤
など医師の処方薬がありますが、薬局・薬店などで手に入る、自分に合った塗りやすいものを選んでも構いません。ただ、アトピー性皮膚炎や皮脂欠乏性湿疹の方は、保湿薬でもことに尿素製剤は刺激を起こしやすく、バリアをさらに壊すため注意が必要です。主治医の先生に保湿のことも相談してください。


一方で、こんな見方・主張をされている先生もいます(福岡市の今山修平先生)。
アトピー・乾燥肌治療には、
①肌をふやかさない、保湿剤もつけない。
②「風呂断ち」療法で肌のバリアが回復する。
入浴をやめ、乳液やクリームも塗らない。そんな「肌を徹底的に乾かす」治療法でアトピー肌や乾燥肌が改善することが分かった。肌本来のバリア機能が回復する。

「風呂断ち」のやり方は、
①わき、陰部、足の裏、足の趾の間のみ石けんで洗う
②髪・頭皮は湯ですすぐ(シャンプーは使わない)
③顔や体は極力ぬらさない

 
現代社会の中で、「風呂断ち」はなかなか受け容れられないかもしれませんね。でもシャンプー・洗剤のにおいをふりまくことが、「清潔」ではありません。「健康な皮膚を保つ」ことが、強くて美しい肌の秘訣であり、「清潔」であることです。そのためには「究極の天然成分」である自分の「汗」、「皮脂」、「角質細胞」を大切にすることが一番なのです。毎日毎日、体中を泡だらけにしながら洗っている「貴女」。貴女自身の天然成分は「水の泡」。かくして皮脂欠乏性湿疹を生じ、ひいては皮膚の黒ずみ、小じわを生じているのですよ。そして、家族から「オヤジ臭い」と言われ、毎日毎日たわしでゴシゴシ体を洗っている「お父さん」。そもそも「加齢臭」なる言葉は、有名化粧品・石鹸メーカーの❍❍堂が作り出した言葉なのですよ。臭いを気にするのであればまずは「禁煙」です。
by kobayashi-skin-c | 2012-12-24 14:04 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
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