5月3日、アルプス・オートルートはアローラの村で終わり、バスと汽車を利用してツェルマットへ移動した。ツェルマットにも雨が降っていた。あのマッターホルンは見えない。スキーシーズンを終えようとするツェルマットの街は閑散として寒々としていた。
5月4日早朝、昨晩遅くには星が見え始めていたので、未明から起き出した。薄明かりの中のマッターホルンの山影をみつめ続ける。そしてマッターホルンは朝日に照らされ始めた。荘厳な舞台の始まりである。 矢も楯もたまらず始発のロープウエイでKlein Matterhorn クライン・マッターホルン(3883m)へと駆け上がった。富士山より100m以上も高いというのに息が切れない。高所順応ができているようだ。 まず目に飛び込むのはBreithorn ブライトホルン(4164m)。強風をついて頂上を目指す幾組かのパーティーも見える。 そしてMonte Rosa モンテ・ローザ(4634m)。いくつもの真っ白な大氷河を従えている。 北側にはMattertal マッター谷やツェルマットの街並みが中央に黒く見え、その谷の右側にMischabel ミシャベル山群(Dom ドーム、Taeschhorn テーシュホルン)、谷の左側にWeisshorn ワイスホルン(4506m)、そして名も知らぬ峰々の大パノラマ。 そして主役のマッターホルンが眼前に聳える。ツェルマットの街から見る姿とあまりに違うため、「どこにマッターホルン?」と訝る人もいるとか。 さらに西側に目を転じるとモンブランの白い頂も。 クライン・マッターホルンの展望をひとしきり楽しんだ後は、とにかくスキーを滑りまくった。ピステもオフピステの新雪の上も。なんと快適なこと。晴天、そしてバックパックの何と軽やかなこと。 Schwarzsee シュヴァルツゼーから望むマッターホルン。 イタリア側の登山基地Cervinia チェルビニアから望むマッターホルン。 マッターホルンに向かって、Ober Theodul Glacier オーベルテオドール氷河上の新雪のオフピステを滑る。「ここで死んでもいい」ぐらいの嘆息がもれる。 Trockener Steg トロッケナー・シュテークでマッターホルンを眺めながら小休止。 スキーを終えて山を下り、マッター谷の東側のサース谷へ向かった。Saas-Fee サース・フェーの村に友人のBernhard バーニーを訪ねた。 バーニーの案内で村を巡り、山に見とれた。 バーニーとサース・フェーの村と山々に癒されながら、今回の旅、オートルートを終えた。 バーニーこと、BERNHARD RUDOLF BANZHAF, Carl Zuckmayer-Weg 63/Postfach 57, CH-3906 Saas-Fee, www.banzhaf.org。 彼も山の案内人。Christopheとは違い公認山岳ガイドではないが、世界中の山々、秘境に人々をいざなう。去年ネパールのアンナプルナトレッキングで出会った友人である。オートルートは涙のうちに閉じてしまった。マッターホルンのスキーでそのうっ憤をいくぶん晴らしたが、マッターホルン北壁をくぐり抜けながら迎えるオートルートのフィナーレを味わうことはできなかった。しかし、ChristopheとBernyの二人を訪ねたこの旅は、私たちの人生の大きな糧となった。
by kobayashi-skin-c
| 2014-05-18 14:57
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