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2014年10月 『エヴェレスト・三峠越えトレッキング』 October 2014 "Three Pass Crossing in Everest"
エヴェレストトレッキング(カラ・パタール、ゴーキョ・ピークと3峠越え) 
Super Three Pass Trekking of Everest



2014年10月3日 カラ・パタールにて
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9月11日~22日のムスタン巡礼の旅をボーダナートで終え(本ブログ ”Photo & Essay” の2014年9月「ムスタン巡礼の旅 前篇・後篇」を参照)、23日を休養日と当てた。

そして、長年の夢を果たすときがきた。


Day 1st (09/24)

前夜は、私たちよりも一日遅れでカトマンドゥに帰着したムスタンメンバー全員と、チベット宮廷料理のギャコク鍋を囲み、英気を養うとともに、エヴェレストトレッキングの激励を皆から受けた。
朝5時、まだ真暗闇の中、カトマンドゥ空港に向けてサンセット・ビューホテルを出発。空港では長い列に並ぶ。ガイドのディリさん、サブガイドのプラカシュさんが今回のトレッキングの案内人。サブガイドは必要ないだろうと、計画・見積りの段階でトレッキング会社と交渉したが、「ガモーバッグ、酸素ボンベを持ち歩くために必要です」と押し切られてしまった。「ガモーバッグ」は高山病に陥ったときに用いる高気圧バッグである。
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しかし、この日は結局6時間も空港待合室で待ったが、ルクラ便は一機も飛ぶことはなかった。天候不良によるルクラ空港の閉鎖は日常茶飯事で、もう3日間も待っているアメリカ人トレッカーがいた。たった一日の延期(かどうかは分からないが)ぐらいで、へこたれてはいけない。まだ「雨季」が終わっていないようだ、とのディリさんの話の方が気になる。

しょぼくれてサンセットビュー・ホテルに戻り、見送りを受けた皆と再会。「あら、どうしたの?」、「また皆さんとお会いしたかったのよ」、「そうよねぇーー、残念だったわねえーー、またお食事しましょうよ」と慰められつつ、皆の顔は嬉しそうでもある。お世話になります。


Day 2nd (9/25) カトマンドゥ→ルクラ→モンジョ

この日は何とか順調に飛んだ。ルクラ空港(テンジン・ヒラリー空港)に降り立ってみて、いかに危険な空港であるかよく分かった。
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カトマンドゥから約40分でオンボロ飛行機はヒマラヤの峰の一端に突っ込んでいった。滑走路は460m、山に向かって勾配!が12度。着陸の時にはブレーキ代わりとなり、離陸の時は逆に下り坂でアクセル代わりを果たす。ここの離着陸はすべて有視界飛行。

ここで、今回のトレッキングの行程概念図を記しておこう。
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1~14の宿泊地(ナムチェは買物で立ち寄っただけ)、①~⑦の峠、ピーク、そして3つの8000m峰(+マカルー8463mがすぐ東側にある)。エヴェレストが美しいのは、シャンボチェの丘、タンボチェの尾根、カラ・パタール、ゴーキョ・リ、チョー・オユー・ベースキャンプ(BC)、そしてコンデである。3700m~5550mを順にぐるっと回るSuper Three Pass Trekking、エキサイティングなコースだ。高度順応がその成否を分かつ。私たちはムスタン巡礼で4000mを越える高さを経験していたので、自信はあった。思わぬアクシデントが待ち受けていたが。それは後で述べる。


Day 3rd (9/26) モンジョ→ナムチェバザール→シャンボチェ

計画ではナムチェ泊まりであったが、シャンボチェまで行くこととした。途中ナムチェの定期市が開かれていたので、果物、行動食の買出しをした。市場には近隣の村々から運ばれてきた野菜、果物、穀類、お肉、そして中国国境から持ち込まれた日用雑貨、衣服が所狭しと並べられている。
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それにしても肉屋の迫力のあること。日本のスーパーのパックからは想像もできない大きさの肉が売られていた。ほとんどが水牛、ヤクの肉である。敬虔なヒンドゥー教徒、仏教徒はけっして牛肉を口にしない。水牛やヤクのお肉が堂々と売られているのには、いささか違和感を覚えるのだが、水牛もヤクも「牛」ではないそうな。「でも、・・・・・・」。


Day 4th (9/27) シャンボチェにて高度順化

未明、まだ薄暗いうちに目を覚ました。外に出るとなんと雲一つない!
濃紺の空の向こうに見えていた。まごうことなくエヴェレスト!
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左から、タウツェ(6495m)、エヴェレスト(8848m)、ローツェ(8516m)、アマ・ダブラム(6814m)
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シャンボチェから見るエヴェレストは想像以上に近く、大きい。長年の夢が現実となった景色なのだが、なにかあっさりとしすぎて、不思議な気がした。
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クムジュンの村からアマ・ダブラム(6814m)を仰ぎ見る。
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クムジュン村には広々とした畑、ヤクのカルカ(牧場)があり、たいへん豊かそうだ。村人はジャガイモの収穫と、ヤクの糞の乾燥に忙しそうであった。ヤクの糞は、森林が少ないこの辺りでは、貴重な燃料となっている。排泄されたヤクの糞をドッコ(竹篭)に集め、家々の庭ではそれを取り出して手で丸め、ホットケーキのように平たく延ばし、20センチぐらいの大きさにして、一枚一枚地面や石垣に貼り付けてから、天日で干す。この作業はすべて素手で行われている。恐れ入ったものだ。そしてカチカチに乾かしてから、ストーブやカマドにくべる。煙には独特の刺激臭がある。


Day 5th (9/28) シャンボチェ→クムジュン→サナサ→プンギタンガ→タンボチェ→パンボチェ

Day 6th (9/29) パンボチェ(3930m)→ディンボチェ(4410m)

Day 7th (9/30)  ディンボチェ(4410m)で高度順化

高度順化のため5085mのディンボチェ・リに登った。イムジャ・コーラの向うに、左からカンテガ(6783m)、タムセルク(6618m)が美しい雪峰を見せていた。5085mのピークに到達することができたことから、随分と気が楽になった。気懸りは天候。早朝は必ずといって良いほど晴れるが、早い時は10時になると雲が湧き始め、あっという間に真っ白な霧の中。山々の展望はかき消されてしまう。
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ネパールリンドウの向うに雲間の・アマダブラム。
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Day 8th (10/1) ディンボチェ(4410m)→チュクン(4730m)

Day 9th (10/2) チュクン(4730m)→コングマ・ラ(5535m)→クーンブ氷河→ロブチェ(4910m)

4:30AM起床、5:30AM薄明かりの中チュクンを出発した。霜の降りた草原を緩やかに登り、コングマ・ラ(峠)を目指す。
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アマダブラムの頂、続いてカンテガ、タムセルク、遠くコンデ・リが朝日で輝き始めた。雲ひとつない晴天、寒い。足許の草原は霜で真っ白。エーデルワイスの花が霜で凍っていた。
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小川をいくつも渡り、白く輝き始めた峰々を望みながら、どんどんと高度を上げていく。なんと美しいことか。草原から岩山へと辺りの景色が変化する。ヌプツェのギザギザとした尾根が真上に迫る。ローツェ南壁も垂直に聳えている。
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二つの湖が現れた。美しい花が咲くその湖畔で、持参したチャパティとゆで卵の昼食をとりそしてチュクンのロッジを出発してから5時間半、11:00AM コングマ・ラに辿り着いた。
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コングマ・ラからはまず岩礫の急坂を一気に下る。登り坂とは対照的に、花も草もない。やがて傾斜は緩やかに、無機質な岩屑、砂礫の坂道を注意深く、クーンブ氷河に向かって下っていった。しかし、足許が悪いため脚力をすっかりと消耗した。クーンブ氷河のサイド・モレーンの登りに一苦労。そして、滑りやすい砂礫状の道を行く氷河横断にはことのほか難儀した。氷河とは名ばかり。所々に氷の断面がむき出しになったクレバスがあるものの、砂と岩の小山が延々と続く蟻地獄、いやトレッカー地獄。ほとほと疲れきって、やっとのことでロブチェのロッジに着いた。3:00PM。延々9時間半のコングマ・ラ越えとなった。


Day 10th (10/3)  ロブチェ(4910m)→ゴラク・シェプ(5140m)→カラ・パタール(5550m)→ロブチェ

3:00AM起床。3:30AM、ヘッドランプを装着してロッジを出発。空には星が瞬いている。ヘッドランプの灯りだけを頼りに、岩礫の山道をただひたすら登る。寒い、とにかく寒い。道にはうっすらと雪が積もっている。
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プモ・リ(7165m)が目の前に大きく近付いてきた。しかし、呼吸はつらい、体は寒い。
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ヌプツェの頂から太陽が顔を出した。一気に暖かくなる。カラ・パタールにはためくタルチョも間近だ。
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そしてついに、カラ・パタールの頂上に立った。エヴェレストは目の前にあった。
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時を忘れて見(魅)入った。あの辺りがベース・キャンプ、そしてアイスフォール、この春多くのシェルパが命を落としたところ、その上にローツェ・フェース、そしてサウス・コル、難攻不落の南西壁は正面に聳えている、イエローバンド、そして頂、手に取るように見える。
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カラ・パタールを去るのは悲しかった。


Day 11th (10/4) ロブチェ(4910m)→ゾンラ(4830m)

今日はゆっくりとゾンラへと下った。小川のほとり、ロブツェ・イースト(6090m)の南側山腹をゆっくりと下って行った。美しい。

小川の向うに、カンテガ(左)とタムセルク(右)。
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振り返るとプモ・リ、リントレン、エヴェレストに続くチベット国境の雪峰。
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やがてタウツェ(6495m)、チョラツェ(6335m)が現れ、その麓にはエメラルド色のチョラ湖が横たわっていた。
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ゾンラのロッジには昼前に到着した。午後はゆっくりと休息に当てた。夕食後、ディリさんが「体調が悪い」と言う。頭が痛く、元気が出ない、とのこと。ガイドも高山病になるのだ。ダイアモックスを渡して内服するように指示した。明朝の回復を待つ。
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Day 12th (10/5) ゾンラ(4830m)→チョラ・ラ(5368m)→タンナ(4700m)

4:30AM起床。5:00朝食。ディリさんは「私もうだめです。ぺリチェに下山して病院に行きます。ガイドはプラカシュに任せます。調子が良くなれば、ゴーキョかターメで合流します。調子が悪いままだとカトマンドゥに帰るかもしれません。」とのこと。「だめだ」というわけにはいかない。日本語も英語もほとんど通じないサブガイドのプラカシュと、まったく言葉が通じないポーターのハルカに任せるしかない。「何とかなるさ」。

6:00AM、ディリさんに見送られてゾンラのロッジを出発。二番目の峠、チョラ・ラを目指した。今朝も晴天。寒い。山道はカチカチに凍っていた。花々も凍っていた。
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チョラ・ラは岩山の峠。途中岩壁を登り、最後に氷河を渡る。3峠で一番の難所と言われている。9:15AM、タルチョがはためくチョラ・ラの頂上に立った。プラカシュ、ハルカとがっちり握手。持参した昼食を食べながら、今来た氷河上の道を振り返った。
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Day 13th (10/6)  タンナ(4700m)→ゴーキョ(4790m)、ゴーキョ・リ(5357m)往復

6:00AM、タンナからゴジュンバ氷河を横断してゴーキョを目指す。ゴジュンバ氷河はクーンブ氷河よりまだ大きく、巨大なクレバスが口を開け湖を作る。そこに映る峰々が美しかった。
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ゴジュンバ氷河の最奥には端正な姿のチョー・オユー(8201m)が聳えている。そして、氷河右岸のサイドモレーンを登りきったところで、ドゥードポカリ、ゴーキョのロッジ群、ゴーキョピークを望むことができた。美しい。
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9:15AM到着。早めの昼食を摂り、10:15AMゴーキョ・リにむけて出発した。ドゥードポカリの湖畔から約600mを一気に上る。
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すでに高度順応は十分であったので、1時間半でゴーキョ・リの頂上に着いた。しかしながら残念!エヴェレストは雲に隠されつつあった。
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眼下のゴーキョ、ドゥード・ポカリ、ゴジュンバ氷河。
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その最奥に連なるチョー・オユー(8201m)、ゴジュンバカン(7864m)、ギャチュンカン(7922m)、いずれもチベット国境沿いの山々だ。ギャチュンカンの初登頂は1964年、長野県山岳連隊によって、ゴジュンバカンは明治大隊(あの植村直巳)が1965年に初登頂を成し遂げている
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我われ以外誰もいない山頂で、エヴェレストが顔を出すのを待ったが、雲は増すばかりであった。やむなく下山。明日もう一度ゴーキョ・リに登るか、チョーオユー・ベースキャンプを訪ねるか思案。


Day 14th (10/7) ゴーキョ(4790m)→チョー・オユーBC(5200m)→ゴーキョ

5:00AM起床、5:30AM朝食。6:15AM、チャパティとゆで卵の弁当を持ってロッジを出発。この時間の山の麓はいつもながら凍えるほど寒い。出発の時間は霧で覆われていたが、ゴジュンバ氷河右岸を奥へ奥へと進むうちに霧が消え、群青色の空の下、真正面に白く輝くチョー・オユーの姿を見ながら、快適に歩いた。


左から、チョー・オユー(8201m)、ゴジュンバカン(7864m)、ギャチュンカン(7922m)
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途中三つの大きな氷河湖のふちを通り、ゴジュンバ氷河右岸のサイドモレーン上に立つ。たくさんのケルンが建てられている。そして氷河の向こうに、すこし頭を左に傾けたエヴェレストが堂々と立っていた。エヴェレスト、ゴジュンバ氷河のアイスフォール、その奥に聳えるギャチュンカン、ゴジュンバカン、そしてチョー・オユー、そして静寂。周囲は氷河運んだ岩と砂山だけ。
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エヴェレストを望みながら、チャパティとゆで卵と紅茶の極上ランチを楽しんだ。
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Day 15th (10/8) ゴーキョ(4790m)→レンジョ・ラ(5360m)→ルンデン(4380m)

最後の峠、レンジョ・ラ越えの日、長い一日に備え4:30AMに起床、5:30朝食。6:30、ゴーキョのロッジを出発した。ドゥード・ポカリの湖畔を半周して、いよいよレンジョ・ラに向けた上り坂が始まった。最初に、チョー・オユーに別れを告げた。
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緩やかに登りながら、やがて湖の向うにエヴェレストの頂が顔を出し始め、しだいに大きくなっていく。いくども振り返り振り返り眺めた。
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エヴェレストを眺めながら、あまり苦しさを感じることもなく、5360mのレンジョ・ラの頂上に登りついた。9:15AM、4人で抱き合った。嬉しかった。
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10:10AM、峠を出発し下り始めた。石の階段が切られていたが、雪に覆われていた。11:00AM、岩壁の下の素晴らしい氷河湖のほとりで昼食をとった。今日のランチは、ゴーキョのフィッツロイ・ロッジで作ってもらったエッグサンドとツナサンド。美味しい。そう言えば、ヤクステーキも、スパゲッティ・アーリオ・オーリオも美味しかった。また来たいものだ。緩やかな下り道となり、周囲はヤクの放牧地。カルカが点在する。気持ちよく下山を続け、三つ目の氷河湖(Rengo Tscho)を過ぎてからは道は急坂となり、ルンデンのカルカまで一気に下った。ヤクはヒマラヤが似合う。お肉にするには可愛すぎる。
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Day 16th (10/9) ルンデン(4380m)→ターメ(3800m)

7:30AM、ルンデンのロッジを出発し、ボーテ・コシの右岸沿いに緩やかに下って行った。ターメの村が近づくころ、タムセルク、カンテガが姿を現した。その端麗な雪峰を借景とするゴンパ、チョルテンを訪ねる。あたりの牧草に座り込み、のんびりと山々を眺めていた。
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11:00AM、ターメのロッジに到着した。大きなゴンパで有名なカルカの村。村には暖かい日差しが届いていた。久しぶりの洗濯をする。ロッジの食堂には何枚かの写真が飾られていた。たいていは、家族の記念写真、チベット仏教の高僧の肖像写真が多いのだが、山の写真に目がとまった。エヴェレスト山頂で誇らしげに立つ登山家の姿だ。このロッジのご主人に違いない。
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夕食を食べているとき、そのご主人が食堂に姿を現した。エヴェレスト山頂に立った人に会うのは、今回が二度目。もう一人は大学の先輩、三浦雄一郎さんである。ロッジのご主人の名は「アン・ソナ・シェルパ」。なんとエヴェレスト山頂にすでに10回立ったとのこと。2000年には野口健さんを山頂に導いたそうである。一緒に写真を撮らせていただいた。
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Day 17th (10/10) ターメ(3800m)→コンデ(4250m)

今回のトレッキングのお世話をしてくださったピタンバルサンから、「エヴェレストを眺めるのに最も美しいところ、そして素晴らしいホテル」と勧められて、トレッキングの最終行程に組み入れられた。早朝こそ晴天に恵まれ、朝日に輝くコンデ・リを眺めながら歩いたが、ところが道は険悪となるとともに、霧と雨の中へ。そして道は果てしなく続き、ピタンバルサンを呪ったものであった。
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途中、鋭い鳴き声を発しながら、山腹を這うように滑空する美しい大型の鳥を目撃した。ネパールの国鳥、ダンフェである。あっという間に視界から消え去ったが、ただ「美しい鳥」だけではなく、山の帝王のような雄々しさも併せ持っていると感じた。カメラは雨のためリュックにしまいこんであった。残念!
 霧の中、やっと建物のようなものが見え皆で喜んだが、近づいてみるとタルシン、タルチョだけであった。やっとロッジに着いたとものすごく嬉しかっただけに、その分大きく落胆したが、ものの数分も歩かないうちに、プラカシュが「ホテル!」と大きな声を上げた。霧の中に大きな赤い屋根の建物が見えた。1:50PM、ターメから7時間半、やっとコンデに着いた。コンデのロッジも客は私たちだけ。やはり寒い。ところが食堂に入ると、ここには薪ストーブが置かれてあり、冷え切った私たちの体を存分に温めてくれた。ヤクの糞ストーブよりも格段に暖かく、木が燃えるにおいは心地よい。コンデのロッジ(コンデホテル)には暖かい布団も用意されており、食堂の調度品などもヒマラヤらしかなぬ贅沢な造りであった。


Day 18th (10/11) コンデ(4250m)からシェルパ・リ(4650m)を往復

晴天の朝を迎えた。あまりの美しさに、昨日の落胆はすっかり嘘のように消え去った。コンデのホテル、そして今日目指すシェルパ・リ。その背後にコンデ・リの峰々。
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シェルパ・リからの眺望は、ピタンバルサンの言うとおり、嘘いつわりなく誠に素晴らしいものだった。
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左からタウツェ(6495m)、エヴェレスト(8848m)、ヌプツェ(7864m)、ローツェ(8516m)、アマ・ダブラム(6814m)、マカルー(8463m)
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アマ・ダブラム(6814m)、マカルー(8463m)、タムセルク(6618m)、クシュム・カンガル(6370m)
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夕刻、夕陽がエヴェレストを照らしはじめた。まさに奇跡的に雲間に赤いエヴェレストが顔をのぞかせた。切望していたエヴェレストの夕焼けを初めてみることができた。一瞬の間だけ。
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Day 19th (10/12) コンデ(4250m)→トクトク(2760m)→パグディン(2610m)→ルクラ(2840m)

7:20AMホテルを出発した。今日の行程は、まず4250mのコンデの尾根から一気にドゥード・コシの川沿いの村、トクトク2760mに下った。気持ちの良い牧草地の下りでは、エヴェレストの雄姿がずっと見えていたが、急坂のジグザグ道を何度か曲がっているうちに、エヴェレストの頂は隠されてしまった。
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11:20AMにトクトクでエヴェレスト街道に合流した。エヴェレスト街道は、私たちが登っていった18日前とは、様相を一変させていた。トレッカーが続々と登ってくる。大きな荷物を背負ったポーターも、ヤク・ゾッキョの荷役隊も次々に登ってくる。吊り橋渋滞も発生していた。日本人グループ2組にも出会った。
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そして0:00PM、パグディンで昼食。ロッジのテレビニュースが、インド洋に発生した大型サイクロンの進路を話題にしていた。パグディンからは緩やかながら登り道が延々と続き、ルクラの村の入口ゲートが見えてきた。嬉しかった。4:00PM、無事ルクラ帰着。
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Day 20th (10/13) ルクラ→カトマンドゥ

Day 21th (10/14) カトマンドゥ・予備日
終日、雨、雨、雨。一日、本を飲みながらホテルで過ごす。(この日、アンナプルナ方面で悪天候と雪崩のため多くのトレッカー・ガイド・ポーターが命を落とした。)

Day 22th (10/15) カトマンドゥ→デリー→成田→羽田→札幌
 デリー行きの飛行機からは、アンナプルナの美しい雪峰を望むことができた。多くの人々が遭難したとも知らずに、・・・・・。
by kobayashi-skin-c | 2014-12-17 16:01 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
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