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2015年2月「アフリカの大地に聳える白き峰、キリマンジャロ」 February 2015 "Kilimanjaro, Africa"
こんな情景を一度は見てみたいものだと、頭に思い描いていた。
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野生の動物たちが遊ぶ広い草原の向うに、
白い雪をかぶったキリマンジャロ。
これが現実とは。夢のようだ。

2月7日深夜、札幌を飛び立ち関西空港経由でドバイへ、そしてドバイからアラビア半島の砂漠を横切り、紅海を越えてナイロビへ。ナイロビでは北海道大学医学部の後輩で、ケニアの子供たちのため、小児医療に尽力する公文和子先生に会った。「風に立つライオン」を想起する、そんな先生だ。日本人として誇りに思う。2015年2月「アフリカの大地に聳える白き峰、キリマンジャロ」 February 2015 \"Kilimanjaro, Africa\"_c0219616_11345133.jpg2015年2月「アフリカの大地に聳える白き峰、キリマンジャロ」 February 2015 \"Kilimanjaro, Africa\"_c0219616_11351667.jpg
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今回の山旅は、「道祖神」というアフリカを専門とするツアー会社にまずアプローチし、ツアープログラムの中から一番気に入った「マチャメルートで登る!キリマンジャロ登山とサファリ14日間」を選んだ。登山は6泊7日。すべてテント泊。山小屋はない。

Day 1st マチャメゲート(1750m) → マチャメ・キャンプ(3000m)
まずは、マチャメゲートを出発。
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ゲートでは、ブルーモンキーの熱烈歓迎を受けた。そばにいたドイツ人ファミリーに、「watch your lunch box, be careful, be careful」と注意してあげたのに、お母さんがちょっと目を離したすきに、ランチボックスごとブルーモンキーに奪われてしまった。「だから言わんこっちゃない」と我われは思ったのだが、・・・・・・

標高1800~2800mの間が、熱帯雨林。シダ植物が混じる巨木と苔の中、整備された道をゆっくりと登った。
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やがてお昼時、ゲートで渡されたランチボックスを開けたところ、
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なんと三人のランチの中身がみんな違う。私のランチボックスが一番立派なタッパウエアのボックスであったが、中身は一番みすぼらしかった。パンの切れはじのようなものが入っていたが、衣子のランチボックスと見比べて、それがビーフバーガーの上のパンであることは明らかだった。お隣のOさんのランチボックスの中には、その下半分のパンにビーフがのっかっていた。不思議に思った我われ三人で推理を始めたのだが、謎はすぐに解けた。要するに紙パックのランチボックス(ビーフバーガー1個、マフィン1個、チキン2ピース、バナナ2本)二人分を、三人分に分けて、一つはタッパに詰めたに違いない。ランチボックス一つはブルーモンキーの熱烈歓迎にやられたのだ。ランチボックスに隙間があったのは、三人分に分けられたこともあるが、その隙間には本来あるはずの紙パックジュースがあった、のだと思う。ジュースばかりは三人に分けられないので、除いたのだろう(ちゃっかり飲んだのかもしれない)。
 そう言えばランチの間、チーフガイドがチラリチラリと我われの様子をうかがっていた。三人で笑い転げた。「正直に言えばいいのに!」、「馬鹿にしてんな!」、「でも、これがアフリカンスタイル。無邪気で楽しいじゃない!」などと言いあったが、なんだかこのガイド怪しい。登山前に「水代を一人10ドル払え」、「ゲート・レンジャーの荷物チェックが厳しいので、大きなバック・パックを、レンジャーが見えなくなるまであなたに担いで欲しい」と言われたのだ。疑うことを知らない私たち日本人は「OK, yes」と答えてしまったのだが、この怪しさは最後まで続いた。

熱帯雨林に咲く花々。大木の木々の根元に、ひっそりと、あでやかにキリマンジャロ固有の花が咲いていた。
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Impatiens kilimanjari


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Kniphofia thomsonii


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Impatiens papilionacea

マチャメキャンプに着く手前から土砂降りの雨となった。6000m高地の寒さ対策はしっかり考えたつもりだったが、この乾季の時季の雨には油断していた。結局、一日も欠かすことなく、午後には雨か雪かに見舞われた。この夜の夕食にはバナナシチューが供された。味は日本人好み。薄味で、だしが効いている(化学調味料がしっかり)。2015年2月「アフリカの大地に聳える白き峰、キリマンジャロ」 February 2015 \"Kilimanjaro, Africa\"_c0219616_15501760.jpg2015年2月「アフリカの大地に聳える白き峰、キリマンジャロ」 February 2015 \"Kilimanjaro, Africa\"_c0219616_15511475.jpg
































Day 2nd マチャメ・キャンプ(3000m) → シラ・キャンプ(3720m)
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標高2800~3300mの間が、Heather帯と呼ばれる(エリカの木="heath"が主体)。キリマンジャロの頂がしだいに大きくなる。
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シラ・キャンプ(3720m)から見た夕景。富士山に似たMt Meruの向うに夕陽が沈む。
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Day 3rd シラ・キャンプ(3720m)→ラバ・タワー(4637m)→バランコ・キャンプ(3900m)
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標高3300~4000mの間が、Moorland(エリカ、ロベリア、セネシオが疎らに生える)。everrusting flowerが咲いている。咲いたばかりの花はピンク色がかっているが、古い花は造花のような白く硬い花弁。「everrusting=枯れることのない」花。
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Moorlandの登り坂、キャンプ地の後片付けをしたポーター達が追い越していく。
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ラバ・タワー(4637m)にて。この高さまで来たので、キリマンジャロ頂上はあと1250m。高度順応は順調のようだ。随分と気が楽になった。
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ラバ・タワーまではなだらかに登ってきたが、その先は一気に崖のような下り坂となっていた。午後の霧と雲が広がる中、奇怪なツリーが忽然と現れた。
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Senecio Kilimanjari ジャイアント・セネシオの木。この日が2月13日。明日のバレンタインデーを記念するハートの形に見えた。プレゼントをもらったような気がして嬉しかった。



Day 4th バランコ・キャンプ(3900m) → カランガ・キャンプ(4000m)、高所順応日。
バランコはもっともキリマンジャロらしいところ。頂上直下に、セネシオ、ロベリアの奇怪な森が広がり、あたかも別世界に飛び込んだような気分になる。
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この日の高低差はたったの100m。高所順応のため休息日であるはずだったのだが、バランコ・キャンプの行く手には大きな絶壁が待受けていた。緊張感ある快適な岩登りであった。
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岩壁の上にはキリマンジャロ頂上がすぐ真上に迫っていた。
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キリマンジャロは、ケニア側で見るのと、タンザニア側で見るのとでは、その山の形に随分と差がある。ここの軍配は当然ケニア側に上がる。タンザニア側から見るキリマンジャロは、ドーム状でもっこり、むっくり。頭に思い描いていた優美な姿とはかなりかけ離れている。富士山の静岡側、山梨側論争は有名であるが、今川の殿様が言ったという「甲斐で見るより駿河良し(嗅いでみるより、するがよし)」のような落ち話はアフリカにはないのだろうか。

そのキリマンジャロ頂上を眺めながら、山歩きを楽しんだ。途中、ライオン岩を見つけた(名付けた)。ゴジラ岩かも。
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標高4000m以上は、山岳砂漠地帯。無機質な岩と砂の世界が広がる。キリマンジャロは世界最大規模の休火山。
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Day 5th カランガ・キャンプ(4000m) → バラフ・キャンプ(4600m)
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日本のテント場よりもはるかに広い敷地がある。ただ残念だったのは、キャンプトレッキングの楽しみである食事用テントが思いのほか小さかったこと。左側が食堂テント、右側が私たちの宿泊用テントである。身をかがめての食事は、いささかみすぼらしかった。

バラフ・キャンプ(4600m)
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バラフ・キャンプ(4600m)では7:00pm就寝、11:00pm起床、0:00am出発
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真暗の中、そして吹雪!の中、ただ、ひたすら登り続けた。高所の息苦しさはほとんど感じないまま、なんだかあっという間に、6:00amキリマンジャロ頂上の、ウフル・ピークに立った。
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頂上に着いても雪は降りやまず、ご来光も望めなかった。残念であったが、すぐに下山を始め、薄明かりの中、キリマンジャロ氷河を眺め、「こんな大きな氷河が赤道直下にあることそのものが不思議だが、今世紀中に消えるとは信じられない!」の思いを強くした。
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8:30am バラフ・キャンプ(4600m)帰着。
1時間の休憩・後片付けの後、ムウェカに向けて出発。一気に3000mのムウェカ・キャンプまで下った。

Day 7th 7:30am ムウェカ・キャンプ(3068m) → 10:30am ムウェカ・ゲート(1600m)へ。キリマンジャロの旅は無事終了した。旅を支えてくれた仲間たちと写真に収まったのだが、どうも見たことがない三人が交じっている。
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ということが事の顛末である。山でキャンプ中にも、しつこくチップの人数について確認され、かなり不安な気持ちとなった。結局は、「山で一緒に歩いてくれたあなた達には深く感謝している。チップもお渡ししたい。しかし会ったこともない、見たこともない人達にはチップは渡せない」とお断りしたが、恨みを買ったのではないかと心配であった。「母親が死んだ」という説明も「詐欺話」に違いないと思ったが、この人のチップ+葬式代援助(と請求された)をチーフガイドに渡した。苦い思い出が残ったが、チーフガイド以外は楽しくて、まじめな人ばかり。良い思い出だけを持ち帰ることとした。

そして、真っ白なキリマンジャロが、もやもやとした気持ちをきれいに拭い去ってくれた。

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by kobayashi-skin-c | 2015-02-26 10:18 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
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