4月初旬、晴天に恵まれ、大雪旭岳に登り、頂上からの滑降を楽しんだ。パックされた新雪、風でクラストした氷面、露出した石・岩面が入り乱れる。夏道に沿って登り、スキーは北斜面から裾合平へと滑った。
地獄谷の噴気は冷えた日ほど大きく白く立ち昇る。
7合目まではスキー・シールで登り、クラスト斜面ではスキーをはずしアイゼンを装着して登った。
7合目を過ぎた稜線上は次第に風が強まり、ときどき体が浮き上がる感覚があった。頂上での姿は、笑っているのではなく、風で体が後ろに持っていかれて、悲鳴を上げたところ。
頂上は長くとどまる所ではなかった。数枚の写真を納めてすぐにスキーを装着。地獄谷の劣悪な斜面を避けて、新雪が残る北斜面から裾合平に向かって滑り降りた。
裾合平で衣子が急に私を呼びとめた。
衣子の視線の先に、
純白のエゾウサギがいた。
姿見の池周辺まで降りると風はまた穏やかとなり、地獄谷を望みながら、のんびりと春の日差しを楽しんだ。