上高地河童橋からみる奥穂高岳。青い空、白い峰々、黒い岩壁、木々の新緑、そして透きとおった梓川。なにもかもが、心を満たしてくれる。憧れの上高地、そして穂高連峰。秋の西穂、夏の奥穂・北穂に登ったが、残雪期の穂高は初めてである。ノマドが企画した「残雪の穂高連峰縦走」に参加した。ガイドはYOUさん。
上高地から徳沢へ、緩やかな道が続く。この季節、林床はニリンソウで埋め尽くされていた。その森でサルたちが遊んでいる。
梓川と前穂高の岩壁。胸がわくわくする。
そして横尾から涸沢へ。本谷橋から向こうは全部、雪。アイゼンを履き、ピッケルを握る。そしてガイドの寺沢さんと、そして衣子とザイルで結ばれた。寺沢さんは横浜在住。YOUさんとは山岳ガイド試験の同期生とか。
誰が呼んだか、涸沢劇場。そのU字谷が全部雪で埋まり、黒い岩壁に囲まれる。美しい。
ザイテングラートの脇の急斜面を登った。アイゼンがしっかりと効き、ピッケルも気持ちよく刺さる。
そして穂高岳山荘に泊まった。我々ノマドチーム以外には二人しか泊まっていなかった。さて、翌朝。じつは、今までの写真はすべてこの朝からのもの。前日、涸沢から上はミゾレ、ときおり吹雪。そして一晩中、ゴーッゴーッと風が吹き荒れ、吹雪いていた。写真など写す余裕もなかった。この日は快晴。しかし気温は零下5℃。昨晩のミゾレ、雪はすべて氷化。奥穂高岳、前穂高岳への縦走は諦めざるを得なかった。YOUさんの判断で、穂高岳山荘から涸沢岳を往復し、ふたたび涸沢に下り上高地に戻った。
朝の穂高岳山荘前で、アイゼンの準備を整える。
涸沢岳山頂にて。山頂からは眼下に穂高岳山荘が望まれる。そして奥穂高岳がどっしりと聳え、ギザギザとした山稜が続く。右端がジャンダルム。
目を転じると北穂高岳へ続く稜線、さらに遠くには槍ヶ岳の黒い岩塔が天を衝く。ずっとずっと向こうに真っ白な立山連峰、白馬連峰も見晴らすことができた。縦走はできなかったが、この展望を得ることができただけで満足とすべし。
さらに翌々朝。ふたたび空は晴れ渡り、上高地の景色を満喫した。
大正池に映る朝焼けの焼岳とシルエットの穂高連峰。
いつかまた。