2016年に登頂できなかった憧れの山「マッターホルン」に再度挑戦。2回目の挑戦をするからには、より難易度の高いイタリア側からのルート(リオン稜)をとることとした。ガイドには長年の友であり、アルプス・オートルート・スキー、モンブラン登頂を導いてくれたフランス人ガイド、クリストフ・ケルン氏に依頼した。 8月1日未明に日本を出発し、ロンドンを経由して同日夕刻にイタリア・トリノに到着。クリストフの出迎えを受けた。クリストフの根拠地はアルプス山脈の南西端、エクラン山塊に抱かれるブリアンソンの町。トリノからは車で約2時間の距離のところにある。 マッターホルン登頂に備えクリストフが準備したプランは、 第1-3日 Queyras Mountainsで岩稜、岩壁のクライミング。 第4日目を休息日とし、 第5-7日 エクラン山塊の名峰ラ・メージュ La Meije で高所順応、ピッケル・アイゼン訓練。 第8日目 ブリアンソンからマッターホルンイタリア側の登山基地チェルビニァへ車で移動、そして標高2600mのアブルッツォ小屋へ。 第9日目 アブルッツォ小屋から標高3800mのカレル小屋へ。 第10日目 マッターホルン登頂 素晴らしい計画、でもちょっと盛りだくさんなのが恐ろしい。 第1日目、晴天の朝を向かえ、Queyras Mountains (クイラ自然公園)に向かった。サンヴェランの村で車を降りて歩くこと約2時間、小さな湖(Lac Blanche)のほとりに立つ山小屋に到着した。そして午後からは湖の向こうにそそり立つ岩山(Rocca Bianca)でクライミング訓練。クリストフのガイドでは、初めてのクライミング。英語での意思疎通が一番の目的。もちろん我々のクライミングの力量を測る目的もあるのだろう。 岩の取付き点から見下ろす湖と山小屋。 最初からいきなりきついクライミング。時差ぼけもいっぺんに吹き飛んだ。 これがクリストフ!冗談をよく言うが、きっちりと確保し、きっちりと教えてくれる。 無事Rocca Biancoを上り終えてイエイッ! 夕食が終わり日が沈む頃、クリストフが訪れていた子供たちに山の物語を聞かせていた。 第2日目は、標高2500mの山小屋から3500mの小ピーク登り、岩稜歩きと、少し難易度の高いクライミング。日が昇るころに小屋を出発。小ピークからはマッターホルンが望めるはずだったのだが、少しかすんで見えなかった。 Queyras Mountainsは、草原と、荒々しい岩山、そして数々の氷河湖が織りなす美しいところ。草原には花が咲き乱れ、岩山にはカモシカ(シャモア)が遊んでいた。道なき草原、あやうくエーデルワイスの花を踏んづけるところ。 行く手の稜線が今日の訓練場所。ところどころ、ナイフリッジになっている。眺めただけで少しビビッてしまったが、登るともっと大変。岩が大変もろく、つかむ岩つかむ岩が簡単に剥がれ落ちる。結局真ん中のピークまで行って迂回路を歩くこととなった。しかしその下り道で衣子が右足を滑らせ、左ひざを強度に捻ることになり、痛みを残すこととなった。 第3日目も晴天の朝を迎える。 間近でみる頂上岩塔。尖っている。クリストフのリードでクライミング開始! 岩は概してツルツル、ホールドを探すのに手間取る。 このスラブを登るとき、左足がスリップ。思わずヒヤリ!クリストフがしっかりとロープを確保。もう少し体を起こして、爪先立ちにならないようにすべきであったと反省した。 最終ピッチはまるで空中に浮いているようで、気持ち良かった。 クリストフが「手を振れ」と言う。 頂上には大きな十字架が立てられていた。マッターホルンのイタリア側頂上にも十字架があるという。 ありがとう、クリストフ! 山小屋で衣子と合流し、麓の村サン・ヴェランに戻った。Queyrasには家族連れでハイキング、トレッキングを楽しむ人々が多くいた。小さな子供がロバに乗せられて登ってきた。楽しそう。 衣子の膝に不安を残したが、マッターホルンプロジェクトは楽しく、無事にスタートした。
by kobayashi-skin-c
| 2018-08-23 07:55
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