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2018年6月教室 『乾癬の新治療薬:生物学的製剤と外用剤』
今月から乾癬の治療に、新しい二つの薬が加わりました。一つは、7番目となる生物学的製剤トレムフィア(グセルクマブ)、もう一つが活性型ビタミンD3とステロイドの配合薬ドボベットゲルです。

ドラえもんの四次元ポケットも、はちきれんばかりですね。
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今日の健康教室で紹介するのは、赤い字で書かれた二つの薬剤です。


まずはトレムフィアです。乾癬では第7番目の生物学的製剤となります。トレムフィアが標的とするのは「IL23p19」。乾癬が皮膚で発症するメインのストリーム「TipDC - Th17 Axis」を制御するサイトカインで、いままでに発売されていた2種類の抗TNFα剤(レミケード、ヒュミラ)、抗IL12/23p40(ステラーラ)、3種類の抗IL17製剤(コセンティクス、ルミセフ、トルツ)とは異なるサイトカインを標的とします。
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投与方法は、皮下注射で
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2カ月おきに注射することにより、
PASIスコアがベースラインから90%以上、100%改善した患者さんの割合(以下、PASI90PASI100)は、投与16週後でPASI9069.8%、PASI10027.0%であり、主要評価項目の一つである投与16週後のPASI90でプラセボ投与群(16週後でPASI900%)に比べて統計学的に有意に高い結果となりました。さらに投与52週後の観察においても、PASI9077.8%、PASI10047.6%で、効果の継続が確認されました。

トレムフィアの適応症は、
既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症です。


次に紹介するのは、活性型ビタミンD3とステロイドの配合薬ドボベットゲルです。すでにドボベット軟膏が発売になっていましたが、より塗りやすさを重視した、べとつかないゲル製剤です。外用剤は乾癬の皮膚局所に薬が塗られるため、効果面でも副作用面でも優れているのですが、薬を塗る面倒さ、うっとうしさが皆さんの治療意欲を減退させています。
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ドボベットゲルは、とくに治りづらかった頭部の乾癬に最適です。もちろん体の乾癬にも有効です。べとつきがいやで塗り薬をためらっていた方に朗報です。

頭の乾癬に対するドボベットゲルの効果。
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体の乾癬に対するドボベットゲルの効果。
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ますます充実してきた乾癬治療ですが、まだ多くの方たちがこれらの新しい治療薬について詳しい情報を得ておられないと思います。主治医の先生にご相談下さい。

生物学的製剤であるトレムフィアがたいへん高額であることは想像つくことと思いますが、ドボベットゲルも乾癬外用薬の中ではもっとも高価です。申し訳ございません。

by kobayashi-skin-c | 2018-08-30 17:45 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
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