世界自然遺産、屋久島。 山頂には我々のほかに男性が一人。これから新高塚小屋に向かうと言う。私たちが6年前に縦走したときの経験から、高塚小屋の素晴らしさを伝えた。「今日は十五夜、月明かりに照らされる縄文杉が美しいに違いない、高塚小屋からは10分の距離ですよ」と。彼がいなくなった宮之浦岳山頂は我々だけとなった。頭上の雲と霧は消え去り、雲海に浮かぶ屋久島の高山が美しかった。 宮之浦岳から雲海に浮かぶ永田岳を目指す。 永田岳頂上の岩に立つ。 永田岳から鹿之沢小屋までの下りがくせ者だった。大きな岩をくぐりながらの下り道、登山道の侵食が激しく、道が深くえぐれている。おまけにシャクナゲの枝・葉が道をふさぎ、足もとが見えない。先を歩く衣子が「キャーッ」と悲鳴を上げた。距離を開けて後を歩いていた私には何がおこったのか分からない。道を急いだが衣子の姿が見えない。「ここよ、ここよ」という声は私の足もとから聞こえてきた。シャクナゲの大きな枝を持ち上げると、その下に衣子の頭が見えた。2㍍は転落したようだ。怪我がなくてよかった。やっとの思いで鹿之沢小屋に到着。鹿之沢小屋は屋久島の避難小屋の中でも最も古くに建てられたもので、石壁でできた重厚な建物。 翌日は、下ったり登ったり、登ったり下ったり、えんえんと8時間、ただただ歩き続けた。屋久杉の森を抜ける一帯では木々に見惚れていたが、やがてそれもなくなり、ゴールだけが待ち遠しかった。 途中、三度の徒渉。増水時は危険が伴うが、この日の流れは穏やかだった。 有名な「くぐり杉」とは別ものだが、この杉もかなりの樹齢に違いない。 ついに永田歩道入口に辿り着いた。ほんとうは海抜0㍍の永田集落を目指していたが、今晩の宿の送陽邸から車の迎えを受けた。 ゴールの永田集落「いなか浜」、美しさに感嘆の声を上げた。 そして東シナ海の水平線に沈む夕日に感動した。 屋久島の巨木たち。 「大和杉」 ヤクスギランドから2時間の山道を歩かなくてはならないため、誰もいない。6年前の屋久島縦走のとき、石塚小屋までの辛い登りの途中で初めてこの木に対面し、あまりの感動に、そのときまたの再会を誓った。その再会がなんともうれしかった。 「母子杉」ヤクスギランド 説明には樹齢2600年と。ただ母も子も両方の木がともに2600歳とのことで、ちょっと解しかねた。お母さんは2630歳では?? 「紀元杉」 淀川登山口手前の道路脇に立つ。安全登山を祈願して触らせていただく。 標高1000m付近には、杉以外の巨木も数多い。なかでもヒメシャラの大きさ、太さに圧倒される。 屋久島は太古の昔の火山活動で、海底の花崗岩がせり上がってできたのだそうだ。そのため島全体に巨岩、奇岩がおおく、また岩の間を流れる水の清らかさに目を奪われる。 永田岳山頂近くに立つ「ローソク岩」。 同じく永田岳山頂付近から見えた雲海の上の奇岩。 岩が積み重なった永田岳 岩の隙間、チムニーを登って永田岳山頂へ。 永田岳山頂の岩に立つ、イエイッ!! 千尋(せんぴろ)の滝。圧倒的な花崗岩。 大川(おおこ)の滝 岩と水と、苔と森と、そして雨と雲と青空と、屋久島の自然とすこし会話ができた山旅でした。 もう一つ、大きな大自然に出くわしました。 また次回。
by kobayashi-skin-c
| 2018-12-06 22:12
| PHOTO & ESSAY
|
Comments(0)
|
リンク
カテゴリ
最新の記事
以前の記事
2024年 08月 2024年 07月 2024年 05月 2024年 04月 2024年 03月 2024年 01月 2023年 12月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 09月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 04月 2023年 01月 2022年 12月 2022年 10月 2022年 06月 2022年 03月 2022年 02月 2022年 01月 2021年 12月 2021年 11月 2021年 10月 2021年 09月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 04月 2021年 03月 2021年 02月 2020年 12月 2020年 11月 2020年 09月 2020年 08月 2020年 06月 2020年 05月 2020年 04月 2020年 03月 2020年 01月 2019年 12月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 05月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 01月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 09月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 01月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||