4月10日(水)東京(羽田)→バンコク→カトマンドゥ カトマンドゥ・トリプヴァン国際空港では長蛇のVisa申請に2時間を費やし、荷物探しに手間取り、そして出口へと行った所で「コバヤシさん!」の声が聞こえた。 ピタンバルさんと、今回のガイドDik Tamangさん(Dikさん)が待っていた。そして、赤い花輪を首に巻いてくれた。ありがとう、お世話になります。さっそくダルバートのお世話になる。街のダルバートは豪華で美味しい。これから1ヶ月、毎日ダルバートか。 4月11日(木)カトマンドゥ(1,300m)→クルコット 朝は時差の関係上、早起きとなる。タメルのホテルから、ダルバール(王宮)広場へと向かった。街の様子、人々の服装からは、4年前となんら変わりはない。香草や揚げパンのにおい、バイクの騒音と排気ガス、寺院の鐘の音、混沌の街である。旧王宮付近では、4年前の大地震被害がまだ生々しく残っていた。シヴァ寺院は瓦礫の山と化し、旧王宮も竹の足場とテントに覆われていた。残った建物には、つっかい棒がそこかしこに立てかけられている。これが耐震対策なのだろうか。しかし、それでも人々は路上に品物を並べ朝市を開き、寺院には人々が灯したバター油の蝋燭の煙が漂っている。異国である。 この少女がクマリ!? 4月1日から、カトマンドゥ国際空港改修工事ため国内線の一部とくにルクラ便は、カトマンドゥから100kmも離れたラムサップ空港発着となっている。4時間かけて、ラムサップ空港の手前のクルコットの町のホテルまで移動・宿泊した。 4月12日(金) クルコット→ラムサップ空港→ルクラ(2,860m)→パンヤ(2,730m) ルクラ空港に降り立つと、青い空、白いヒマラヤの峰、そして赤いシャクナゲの花が待っていた。 すぐにポーターのダワさん、アンビルさんと合流。荷造りを済ませてから、さあトレッキング開始(左からアンビルさん、ガイドのDikさん、ダワさん)。 09:00 ルクラを出発。空港脇の小道を下り続ける。ドゥード・コシの流れの音が聞こえる2200mまで下り、また尾根に登る。パンヤは標高2730mだからルクラとほぼ同じ高さだが、2200-2800mの間を登ったり下ったりで、日本の北アルプスの縦走並みだ。登りは少し息が切れる。今日の道は、麓の町ジリとルクラ、ナムチェを結ぶ生活道路であるため、ロバの隊列が絶え間なく登ってくる。土曜日、日曜日バザールがルクラ、ナムチェに開かれるためだ。荷物をいっぱいに背負ったロバの隊列は、ときに50頭以上にもなり、すれ違いが危険なため、30分以上も待たされることがある。そしてすれちがった後の山道には糞、糞、糞!これが臭いのだ。新鮮な糞は注意深くよけて歩くが、少し時間を経たものは糞なのか、土なのか見分けが付かない。気にしないことにしよう。 4月13日(土)Paiya(2,730m)to Panggom (2,846m) 夜、屋根を鳴らす雨の音で何度も目が覚めた。雨の音、さびしいロッジ、ネパール式トイレ、少し暗い気持ち。05:00起床。07:30パンヤのロッジを出発。今日のコースも生活道から始まったため、ロバ隊と何度もすれちがう。臭い。しかし、途中からドゥードコシ沿いの生活道を離れて、尾根へと登る山道へと分かれた。ロバのいない道はきわめて快適。尾根上の峠を3000mまで登る。空には青空が切れ切れに顔を覗かせるがほとんどがガスの中。霧に包まれた山肌に紅やピンクのシャクナゲが咲き誇っていた。少し気分が明るくなる。とちゅう土砂降りの雨と落雷にあう。運よくバッティに逃げ込むことができた。バッティを揺るがすような至近の落雷あり。尾根上の小村(たった3軒)で孫娘そっくりの美少女に出会った。一緒に写真をとる。 4月14日(日)Panggom (2,846m/9,337ft) to Ramailo Danda (3,200m) 07:20出発。まず村の上に立つゴンパ(チベット仏教寺院)に向かった。この地域ではタンボチェゴンパに次いで格式の高いゴンパであるとのこと。そして今日はネパール暦のお正月。Dikさんが僧侶にお願いして、本堂でお祈りをさせていただいた。僧侶がきちんと祈祷をあげ、ろうそくの灯もともしてくれた。Dikさん、ダワさん、アンビルさんは五体投地の祈りをささげた。小生は1000ルピーの寄進をした。敬虔な気持ちとなる。この祈りが無事ヒマラヤの神様に届きますように。ゴンパの向こうにクンビラ、コンデの峰々を望むことができた。 4月15日(月)Ramailo Danda (3,200m) → Chhatra Khola(2,800m) 快晴の朝を迎えた。ロッジの屋根の向こうにメラ山群が姿を現した。美しい、そしてsouth faceのなんと荒々しいことか。あんな山に挑めるなんて幸せだ。ただ気になるのは、この数日の雨模様で、山にはかなり新雪が降り積もっている様子。Amphu Labcha アンプ・ラプチャ峠 越えは難しいのかな。 今日のコースもワイルド。登って登って、下って下って、登って、下って、森の中を歩く。足元のピンクの花、そしてシャクナゲがきれいだ。今回のルートはMera Peak Trekking と名が付いているが、エヴェレスト街道に比べるとマイナールート。さらに降雪のためルクラ西方の4000mの峠を避けて、いったんかなり南下してから谷沿いの道を北方につめるコースを選んだため、トレッカーの姿は少ない。パンヤ、パンゴンのロッジで一組ずつ会っただけで、昨日、今日は一人も会っていない。ときおり地元の人とすれちがうだけであり、静かで良い。その反面、寂しさもある。黙々と歩いて、ついに到着したChhatra Kholaのなんと素晴らしいこと!深い森に覆われた急斜面の谷に、はりつくようにロッジというよりも山小屋が立っていた。 4月16日(火)Chhatra Khola (2,800m) → Kothe (3,691m) 朝、空は晴れていたが、深い谷間の下からどんどんとガスが上がってきて、07:30出発のころにはまた霧の中。苔むした深い森の中をまた黙々と登り、下り。とくにロッジを出発してからいきなり300mをジグザグに急登。さすがに息が切れたが、ヒマラヤの歩き方をだんだん分かってきた。とにかく急がず、ゆっくりと体を動かす。息が切れる動作は極力避けてマイペースを維持する。そうすると高山でも休むことなく歩き続けることができる。 4月17日(水)Kothe (3,691m)→ Thaknak (4,358m) どんどんと高度が上がる。高度順応を意識してゆっくり目に旅程は組まれているが、この2日間で2800mから4358mなので、多少不安である。体調は良いが天気は今日もいまいち。冷たい風が吹き、雪がちらつく。昨晩の雪が道に残っている。下山してくる3組のトレッカーとすれちがう。皆、嬉しそうな表情で「We reached Summit」と。「Congratulations!」と声をかけると、「Good luck!」と言ってもらった。嬉しいものである。12:00にはThaknak(4,358m)に到着した。 4月18日(木)Thaknak (4,358m) → Khare (5,045m) 朝、雲ひとつない青空が広がっていた。ロッジから出て歓喜の声を上げる。昨夜の吹雪が嘘のようだ。てっきり今日はロッジで停滞かと思っていた。08:30、ロッジを出発。もうヒマラヤの山懐の中である。ヒンクコーラは氷河となり、砂と石と岩の氷河地形に取り囲まれる。モレーンの登りはきついが、登った先に緑色をした氷河湖(Sabai Tsho)があり、急峻な峰々を湖面に映し出していた。その一つがKyashar(6769m)。初登頂は2003年の英国隊であるが、2012年、花谷泰広ら日本隊が難攻不落とされたそのSouth Pillarの登攀に成功した。その業績にPiolet d’Or賞が贈られている。それにしても、どうしてこんなにも垂直な難コースを選んで、人は登るのだろうか、登らなければならないのか。同じ疑問は、たとえポピュラーなピークであっても、今から登ろうとしている自分にも投げかけられる。今の自分の回答は、「山に対し人間は原始的な神の存在=崇高感を抱き、頂への道が困難であればあるほど極めようとする欲望を持つ」、山=神といった原始的宗教観が人を突き動かしていると思う。 神々しいほどの山峰に囲まれて幸せである。 岩峰、氷河を眺めながら、いくつかのモレーンを喘ぎながら越えて、Mera Peakの登山基地であるKhare (5,045m)のロッジに到着した。午後からはまた曇り、雪もちらつき始めた。明日はKhare (5,045m)で一日休息、高所順応。そして明後日、Mera PeakHigh Campへ出発する。 4月19日(金)Khare (5,045m) 休息日 明日いよいよMera Peakへ。高山病の症状は微塵もなく、高所順応は順調だ。
by kobayashi-skin-c
| 2019-05-31 12:35
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