巡礼者は、いったいどんな一日を過ごしているのでしょう? 巡礼の心得、巡礼のエピソードも交えながら綴っていきます。 まずは一日の始まり、 最初の5日間は背負いましたが、「ル・ピュイの道」前半はアップダウンが多く、途中からは配送サービスを利用することとしました。 さて「750kmを歩こう」なんて計画、いったいどのようにして始まったのでしょう。 本格的にこのスペイン巡礼の旅を考え始めたのは、「熊野古道、中辺路」を終えてからでした。 田辺市熊野ツーリストビューローのホームページにこんな書き込みを見つけました。 ④Camino de Santiago - Via PodiensisLe Puy to the Pyrenees on the GR65スペイン巡礼(サンチアゴ巡礼)の巡礼路にはたくさんのルートがありますが、フランス国内を出発し、ピレネー山脈を越えスペインの大地を歩くコースを選択しました。中でも美しい「ル・ピュイの道」を選び、ピレネーまでを前半(フランス部分)、ピレネーからサンチアゴまでを後半(スペイン部分)に分け、まず今年は前半の巡礼路を辿ることとしました。経験者の旅程、日程についてもブログなどに詳しく掲載されています(リンクから)。「ル・ピュイの道」750kmを30‐35日で歩くのが標準のようでした。9月1日にル・ピュイを出発(日本を出たのは8月9日、8月10日~31日の間の出来事はまた後日掲載いたします)、そして到着を10月5日に想定し、日本への帰国は10月6日のパリ・東京便を予約しました。参考とした旅程では一日10~30kmの歩行、平均で25㎞弱/日の計算でした。 「ル・ピュイの道」巡礼路は広大な自然の中、そして美しい村々を通り抜けて歩きます。 巡礼路の8割は土の村道、農道で、ところにより勾配のきつい山道も通らなければなりませんでした。2割ぐらい舗装道路はありましたが、交通量は少なく安全でした。ここが「四国お遍路」と大きく違う点で、四国では舗装道路が大半を占め、時には大型トラックの行きかう幹線道路の端を歩かなければなりませんでした。 私たちはMICHELIN(ミシュラン)が発行する緑本の簡易地図だけで歩きました。巡礼路を示すGPSも公開されているようでしたが、iPhoneとにらめっこすることは避けました。道標がしっかりしておりそれだけを目印としました。2日に1度は道標を見逃して間違った道に進むことはありましたが、大きな道迷いはありませんでした。むしろGPSを頼りに歩いていた他の巡礼者から道を聞かれたこともあったぐらいです。 日中の大半は歩いていますが、大切かつ大変だったのが泊まるところの確保と、食事の選択でした。「ル・ピュイの道」は人気の巡礼路であり、また9月は最適シーズンなので、早くから予約することが勧められていました。しかしながら、歩き始めてみないことには体力、体調の具合が分かりません。出発地のル・ピュイ、そして3日目までの宿を控え目の歩行距離で、日本出発前に予約しておきました。あとは「出たとこ勝負!」、しかしこれは甘い考えでした。 宿は大きく3種類に分けられます。 ①公営(あるいは教会・修道院付属)のいわゆる巡礼宿 ②私営の巡礼宿。フランス語で「Gite(ジットゥ)」。日本では「民宿」、「山小屋」にあたる。 ③ホテル ①公営(あるいは教会・修道院付属)のいわゆる巡礼宿。歴史的建造物が多く、11~12世紀に建てられたものが改築を経ながらも、巡礼者のたいせつな宿として現在まで使われています。2食付きで30-40€。 Accueil du Couvent de Malet(Saint-Come-d’Oltの修道院) Accueil Abbaye de Sainte-Foy (コンクのサント・フォア修道院) モワサック市が運営するGîte l’Ancien Carmel ②私営の巡礼宿。フランス語で「Gite(ジットゥ)」。日本では「民宿」、「山小屋」にあたる。多くは2食付き、大部屋で30-40€、個室で50-60€。なかには「宿代はなし、Donation(寄付)のみ」という所もありました。 1日目の宿、MontbonnetのGîte l’Escole。15名が泊まれる宿。ご主人メフディと。 2日目の宿、RoziersのChambres d’hôtes l’Arche de Gabriel。牧場の中の素晴らしいところでした。夕食も最高においしく、昨夜の同宿者が我々を含め8名。ワインを飲みながら、日本の技術力の素晴らしさ(おもにウオッシュレット)を話題に最高に盛り上がり、顎が外れるほど笑い転げました。 食事の途中でちょっとシモの話題。海外旅行を経験した方はよくお分かりかと思います。日本のトイレ事情がいかに素晴らしいか!裏を返せば、海外では・・・・・・。ところがこの巡礼路、そうではありませんでした。 と絶賛したのですが、この施設が置かれていたのは最初の3日間だけ。あとは「自然の中」。まあ私にはたいへん気持ち良いのですが、女性は大変です。森の中だと人が来ないのを見計らって・・・・なのですが、タイミングを間違えると・・・・・。何度か他人様の「白いおしり」を見る羽目となりました😲。 8日目、Saint-Chély-d’Aubrac村のGîte Communal Chez Fanny et Jérémy。朝食のみで25€。気さくで親切なファニーとジェレミーでした。夕食が付いていないときは村/町のレストランに行きます。この時ばかりにと美味しいものを食べたいのですが、どこに行けば?役に立ったのはGoogle Mapのクチコミでした。この夜はオーブラック牛のステーキでした。生涯一のステーキでした。肉質が和牛とはまったく異なります。肉に弾力があり、脂が少なく、噛めば噛むほど肉の味がじわっと口の中に広がります。さもありなん、オーブラック牛は自然放牧、自然の牧草だけを飼料とし(サイロ、サイレージの牧草も使いません)、牧草の中には香草も含まれており、肉の旨味を引き出しています。 「Gite(山小屋、民宿)」のほとんどは、古い農家を利用したもので、200年~300年前に建てられた家でした。 Limogne-en-Quercyの”Gîte le Mas du Cartographe” 「ル・ピュイの道」の終着点、そして「フランス人の道」の起点であるサン・ジャン・ピエ・ド・ポーの「Gite」。下の写真、衣子はどこにいるでしょう? ③ホテル 大部屋の生活、大勢での食事が続くと疲れてきます。大きな町ではホテルも利用しました。予約もインターネット予約サイトが使えるので簡単にできました。便利ですが少し贅沢になります。二人で一部屋が100~200€。 Saint-Alban-sur-Limagnoleの村で宿泊した"Hôtel Relais Saint-Roch"。"Relais"ですから昔のお屋敷です。古色蒼然としたたたずまいでホテルの従業員?は老夫婦お二人だけ。宿泊者も私たち二人だけ。 もう一つ思い出に残るFigeacの”Hôtel Mercure Figeac le Château Viguier du Roy” ワインはブルゴーニュ・ボーヌの赤 巡礼路の途中で、ほんとに罰が当たりますね。 そして一日の終わり、教会・修道院の付属宿泊施設では夜のミサが巡礼者祝福のために行われます。コンク(Conque)のAccueil Abbaye de Sainte-Foy (サント・フォア修道院)でのミサは生涯忘れえぬ思い出となりました。 80人の巡礼者が一堂に会した夕食の終わりに、修道僧から「フランス人の巡礼者?」、「ドイツ?」、「イギリス?」、・・・・・・・、「日本?」の質問にみんなが挙手します。そしてその最後、「フランス人を代表して、あなた!」、「海外からはアメリカ人のあなた、そして日本人のあなた!ミサにおいて聖書の一節を朗読してください」。なんと衣子が指名を受けたのです。むろんフランス語での指名に何が何だか訳が分からない私たちでしたが、巡礼仲間のベルギーの方が英語で教えてくれました。 そして朗読は、YouTubeでご覧ください。 キリスト教徒ではない私たち、たいへん戸惑いましたが、巡礼者であることに誇りをもって引き受けました。また衣子はカトリック系の幼稚園(小樽ロース幼稚園)の卒園生。少しは資格があったのかも知れません。聖書の日本語コピーが手渡された、とのことでした。 続いて「スペイン巡礼の旅-その③、巡礼の仲間たち」をお届けします。
by kobayashi-skin-c
| 2024-11-02 12:46
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