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2024年9月『スペイン巡礼の旅-その③、巡礼の仲間たち』 September 2024 "El Camino de Santiago ③ - Camino Friends"
2024年9月1日、フランス中南部のル・ピュイの町を出発し、ピレネー山脈を越え、スペイン西端のサンチアゴ・デ・コンポステーラまでの1500㎞あまりの巡礼に出発しました。今年は750㎞先、中間地点にあるフランス・スペイン国境の町サン・ジャン・ピエ・ド・ポーを目指しました。


巡礼の歓び、私にとって最大は「自然の中を歩くこと」。
そして次に「友を知ること」。

巡礼者の垂訓(TheBeatitudes of the Pilgrim) その2
「巡礼者は幸いである。あなたが大切に思っていることが、『ただたどり着くことではなく、他の人と一緒目的地に到着する』ことならば。」

四国遍路のときもそうでした。仲間、友の大切さを知りました。

その友はすぐに現れました。ル・ピュイを出発して間もなく、後ろから追いついてきた女性が「日本人ですか?」と尋ねてきたのです、日本語で!
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アメリカ・シアトルから来たVictoria、一人歩き、3回目のスペイン巡礼だそうです。30年以上も前に長野県の中学校で英語を教えた経験があり、日本語をまだ少し覚えているようでした。なんと、私たちと同じ年。快活な女性で数日間を一緒に歩きました。
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同じく一日目の宿で一緒になったオーストラリア人家族。お父さんは80歳、お母さんは78歳。とてもお元気で私たちとはいつも先になったり後になったりしながら歩きました。お父さんは現役の耳鼻科医、お母さんはメルボルン大学でリハビリ科教授とのこと。ご家族で340km先のCahors カオールの町を目指す。
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そしてベルギーから来た一人歩きのミッキー、70歳。200km先のConque コンクの町を目指す。
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同じくベルギーの一人歩きのベンジャミン(右)。「2週間の休暇中、行けるところまで行く」とのこと。左は一人歩きのフランス女性。
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そして愉快なフランス女性二人組。
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たいへんお世話になった一人歩きのベルギーのセシル(左)。ベルギーの母国語はフランス語。大多数のフランス人はフランス語しか話しませんが、ベルギーの人たちは英語も、ドイツ語も、オランダ語も話します。セシルには荷物配送サービスの申込みを教えてもらいました。
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パリから来たご夫妻

時には町で、村で一同が一緒になることも。みな口々に「Bon Chemin!」(Buen Camino, 無事の巡礼を!)が合言葉。
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気付くのは女性が圧倒的に多いことです。それもほとんどが一人歩き。年齢層はさまざまでしたが、私たちに近い歳の女性が多かったようです。
フランス南部からテントを担いだ一人歩きのフランソワ

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オランダの大学生。日本に来たことがあると。


四国遍路とスペイン巡礼の違いについて、四国は舗装道路が主体で、スペイン巡礼路は土の道が大半であることを前回述べましたが、もう一つ決定的に違っていたのが巡礼者の男女比です。四国遍路ではほぼほぼ男だけでした。女性一人のお遍路さんはドイツから来たSabineさんだけだった気がします。

なぜスペイン巡礼では女性の方が多いのか? なぜ一人旅が多いのか?
歩きながらたびたび衣子とこの話題について話しました。

まず日本の四国遍路がなぜ圧倒的に男なのか、
これについては、①日本の男は家で余されて行き場がないので「お遍路」に出る。お遍路に来ると「お接待文化」の中で自分の存在感を保つことができる(甘やかしてもらえる)。「だから退職した男が多いのよ!」(衣子の意見、そう言えば私がお遍路に旅立ったのは退職して4日後でした)。
もう一方の意見、②日本はまだまだ男社会が根強く、女性の一人旅が社会的に許容されていないので、宿泊施設などで女性の不便さ、不安さが制限要因となっている。最近は一人歩きの山ガール、山女が増えつつあり、「お遍路」への女性参加も増えていくのではないか(仁の意見)。

次に本題の、なぜスペイン巡礼では女性の方が多いのか? なぜ一人旅が多いのか?
これは実際に聞いた声、①夫に先立たれた。思い出の旅、②歩くことが好き、旅が好き、スペイン巡礼は安全、③夫は出不精、自分はアウトドア派、などでした。
私たちの観察では、①とにかく安全。日本では男部屋、女部屋に分けられた山小屋がありますが、こちらは大部屋でもすべて男女一緒。シャワー後だろうが着替え後だろうが下着姿で歩き回るのが平気。②女性一人旅が多いのでお互い友達を作りやすい、そして何と言っても③女性が強い(差別的発言?)。大きなバックパックを軽々と背負っている!そして自立している!


巡礼路を歩きながら動物、植物たちも大切な仲間でした。
オーブラックでは牛さんたち、バスクが近付いてからは羊さん、それに牧羊犬たち。

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牧羊犬にしろ、飼い犬にしろ、フランスではたいていが首輪、リーシュコードにつながれていません。それも大型犬が多いので、近付いてくるとちょっと身構えます。牧羊犬にいたっては大きな声で吠えて威嚇します。犬嫌いの衣子にとっては試練でした。


巡礼路沿いの花々、木の実も私のたいせつな仲間。とくに秋の木の実が気になります。北海道でもどこでも木の実を見つけると口に入れます。無論、毒ではない食べられる木の実です。
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ラズベリー。この赤い実はまだ渋く、黒くなった実が甘酸っぱく美味でした。


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イチジク。道端にも農家の庭にも今が盛りでした。これはちょっと熟しすぎでしたがとても美味です。衣子は私が採った木の実をたいてい食べようとしませんが、イチジクは気に入ったようです。


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立派な栗もたくさんありました。はじけた栗が道に落ちていましたが、これは生では食べられません。


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これには大失敗!絶対にブルーベリーと思って口にしたとたん、口じゅうに渋みが広がりました。子供のころ口にした渋柿とおんなじ感触でした。すぐに吐き出しその後はなんでもありませんでした。



きれいな花々が疲れた体を癒してくれます。
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もちろん一番大切な仲間は、
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二人合わせて147歳。来年は「金婚式」を迎えます。まだまだこれからも同じ歩幅で歩き続けるでしょう。サンチアゴ・デ・コンポステーラまで、まだ半分の道のりが残っています。

次回は、サンセバスチャン(スペイン)でのかけがえのない体験について記事をお届けいたします。

by kobayashi-skin-c | 2024-11-13 17:20 | PHOTO & ESSAY | Comments(0)
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