2025年6月 『スペイン巡礼路「北の道」③アストゥリアス』 June 2025, "Spanish Pilgrimage #3 Asturias"

スペイン巡礼路「北の道」は、5月17日にバスク州のイルン/オンダリビアを出発して、5月24日にカンタブリア州、そして6月3日、アストゥリアス州に入りました。

アストゥリアス州は北辺が大西洋（カンタブリア海）、南側はカンタブリア山脈（ピコス・デ・エウローパ「ヨーロッパの頂」、最高峰は2,648mのトレセレド山）に挟まれた峻険な地形を持っています。このため中央の権力がおよびにくく、中世時代、スペイン（イベリア半島）がイスラム勢力に征服された際にも、アストゥリアスだけは征服をまぬがれキリスト教勢力がこの地にとどまりました。そしてこの地からキリスト教勢力の巻き返し（レコンキスタ）が始まり、グラナダの最後の砦（アルファンブラ宮殿）を陥落させてイスラム勢力を地中海の向こう側に押し戻した、その歴史の始まりがアストゥリアスにあります。

サンチアゴ巡礼も、ここアストゥリアス州の州都オビエドから始まったとされ、今も「プリミティーボの道」として残っています。

どんよりとした空の下、海岸線を登ったり下ったり。空が暗いと海も鈍色、時に雨。「やまない雨はない！明けない夜はない！」などとブツブツ、タラタラ、巡礼路。そして四国お遍路の時に詠んだ句などをふたたび口ずさんでいました。「潮騒に　心洗わる　遍路道」。

道辺の小さな礼拝堂
ある日の巡礼宿。のんびりとした時間が過ぎ行きました。夕食の後には、衣子の「折り紙教室」が開かれました。


久々の青空、青い大海原を迎えた日、行く手から不気味な音が聞こえてきました。動画はぜひ音と共にご覧ください。
https://youtu.be/HYn_AGc0D-k
「潮吹き洞窟」と呼んだらいいのでしょうか。石灰岩地形のアストゥリアスでは、雨水や海水で洞窟ができやすく、海につながったこの洞窟には、押し寄せる波が地上まで吹き上がってくる仕組みのようです。
「洞窟探検ツアー」も行われていました。私は入り口だけ。
大袈裟ながら「生きてきて良かった」、と実感することがあります。小さな漁村 Llanes（リャネス）で見た夕日でした。アストゥリアス州に入って5日目、6月7日は衣子の誕生日です。出発前から、この日はヒホンに泊まって誕生日をお祝いすることとしていました。「Gijón」と書いてヒホンです。大きな素敵な街です。街の真ん前が素晴らしいビーチ！ホテルから真っ先にビーチへ飛んでいきました。
https://youtu.be/4HdMu4fUrSI波にはしゃぐ今日後期高齢者の仲間入りをした衣子でした。

ヒホンは美しい街です。

二日間滞在し、美味しいものもたくさん食べました。レストランの好意でお誕生日ケーキ

お誕生日を祝って、少し休んで、ふたたび巡礼路。ヒホンを過ぎた翌日、後ろから来た女性にびっくり！

10日以上も前、Guemes の巡礼宿で知り合ったシルビアさんでした。ローマ在住、この秋には四国遍路のため来日されるとのことで意気投合しました。その夜は Cadavedo の村で夕食を共にしました。巨大な Chuleta （カツレツ）。豚肉は2枚で、真ん中にはチーズが挟まっています、それにタップリのフレンチフライ

Cadavedo の Ermita de la Realina（レガリーナ礼拝堂）

祈りの場としてこんなにふさわしい場所が他にあるでしょうか。動画でもご覧ください。

https://youtu.be/VkX_azGAlGA

アストゥリアス州では美しい漁村が続きました。漁村と言うからには、もちろん、お魚が美味しいのです。まいりました。食後のデザートも絶品でした。

Luarca ルアルカ

Tapia タピア

海岸線を離れると巡礼路は平坦で楽になります。スペインでもアジサイの花が真っ盛りでした。

6月13日、リバデオ湾に架かるロス・サントス橋を渡ってガリシア州に入りました。聖地サンチアゴ・デ・コンポステーラが近付いてきました。

次回はいよいよガリシア州、最後の州となります。