カテゴリ:「皮膚の健康教室」抄録( 63 )
2016年11月教室 『さらに新しい乾癬治療薬(生物学的製剤)』
乾癬の治療に生物学的製剤がわが国に導入されて5年間。その画期的な治療効果が多くの患者さんに福音をもたらしました。
第一世代であるTNFα抗体(ヒュミラ、レミケード)、第二世代のIL23抗体(ステラーラ)、そして昨年から新たに第三世代であるIL17抗体(コセンティクス)が登場しました。さらに今年9月、IL17受容体抗体(ルミセフ)が発売になりました。

乾癬の原因究明と、新しい治療法の研究・開発には目覚しいものがあります。
私が皮膚科医になったばかりのころ、乾癬治療を担う『ドラえもん』のポケットの中身はこんなものでした。
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乾癬がおきるメカニズムついての理解もこんなものでした。
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しかし、1980年~90年代には次々と理解が進み、紫外線照射療法、内服薬のレチノイド(日本における商品名:チガソン)、シクロスポリン、そして活性型ビタミンD3外用剤が治療に導入され、乾癬治療は格段の進歩を遂げます。
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大きな発見は、免疫抑制薬のシクロスポリンが劇的に乾癬を良くしたことでした。今までは皮膚(表皮)の新陳代謝(角化)の異常が原因と考えられていた乾癬の原因が、一気に皮膚の免疫の異常と考えられるようになったことです。皮膚(表皮)に効くと思われていた治療・薬剤も、実は免疫調整作用で乾癬に効くと考えられるようになりました。
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そして、モノクローナル抗体(一つの標的だけをブロックする)の作成手法が一般的となり、乾癬にかかわる免疫物質(タンパク質)に対するモノクローナル抗体が、次々と薬剤として使われるようになりました。中には治療薬があまりに「実験的」とも思えるものもありましたが、現在では赤字で示した薬剤が乾癬の治療薬として実際に使われるようになりました。
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『ドラえもんの四次元ポケット』は大きく膨らみました(飯塚一先生の「乾癬治療ピラミッド」)。
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新しく登場した『ルミセフ』の効果・副作用を示します。
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現在わが国で発売されている乾癬治療の生物学的製剤一覧表です。
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乾癬への効果は、いずれもたいへん優れており、ことに第3世代のものでは約半数の人で乾癬がすべて消失します。「つらい乾癬から解放される」。この歓びはどんなにか大きなものでしょう。

問題は2点。よく効く生物学的製剤も治療を中止すると、乾癬が復活します。治療は長期に及びますので、副作用(重症感染症)、治療費用が問題です。副作用については、第2、3世代のものがより安全です。値段は一律に一日換算で¥5200とされています(注射の頻度により自己負担額は異なる)。しかし、2016年9月に発売予定とされていた『トルツ』でとんでもない事態が起こりました。値段の決め方が不透明なのです。その「どんでん返し」に・・・・・・

この顛末については、また2017年2月の健康教室で詳説いたします。
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by kobayashi-skin-c | 2016-12-01 18:37 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2016年9月教室『第31回日本乾癬学会の話題から』
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第31回日本乾癬学会が宇都宮市において開催されました。学会会長は自治医科大学皮膚科教授、大槻マミ太郎先生です。学会のテーマは『乾癬、その深淵へ』。乾癬の原因追求、乾癬の治療開発、乾癬患者さんへの思いやり、すべてに通じるテーマです。全国から1000人をこす参加者があり、入りきれないぐらいの聴衆で溢れた会場もありました。第1回は、学会に発展する前の乾癬研究会の名で、大分県別府市の郊外にある城島高原ホテルで30年前に開催されました。講演・発表が行われたのはホテルの大広間の畳の上でした。隔世の感があります。

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学会プログラムは盛りだくさんで、5つの会場に分かれて同時進行のため、すべてを聴くことはとてもできません。

プログラムの中でもとくに目立つのが『生物学的製剤』関連のシンポジウム、セミナー、一般演題が多かったこと。この数年の傾向ですが、とくにスポンサード・セミナーのほとんどがそうでした。思い返せば、1999年、米国サンフランシスコで開催された国際会議で生物学的製剤の存在を知りました。当時は『標的療法』と呼ばれていました。乾癬発症の免疫学的メカニズムの解析が進み、当時主流の考えであったヘルパーT細胞を標的とするモノクローナル抗体が、米国で治療として使われ始めていました。「あまりに実験的過ぎて乱暴な治療法である」と当時は感じました。

乾癬発症の免疫学的メカニズムの解析は飛躍的に進み、2012年に開かれた国際会議では「TH17経路」が主役であると結論付けられました。同時に、この経路で重要な役割を演じるIL17をブロックする生物学的製剤が乾癬に大変よく効くことが報告されました。そして昨年、今年と、相次いでこれらの抗IL17治療薬がわが国でも上梓されました。
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第三世代と呼ばれる抗IL17治療薬(コセンティクス、ルミセフ、トルツ)ではPASI90改善率(全身のほとんどの乾癬が目立たなくなる)が5割の患者さんでみられるということです。

しかしながら、同時に頭をよぎるのは「薬剤費」が高すぎるということです。「オプジーボ問題」という話題をご存知ですか。京都大学の本庶先生が発見し、ノーベル賞に値するとも言われる抗がん剤「オプジーボ」。この夢のような抗がん剤が国を滅ぼすというのです。
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夢のようによく効く乾癬の治療薬「生物学的製剤」も同じような問題を含みます。
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乾癬の患者さんも、そして私たち皮膚科医も、優れた働きを持つ「生物学的製剤」の使い方を真剣に考えなければなりません。

大きな感銘を与えてくれた講演が、特別セッション『乾癬が身近にあるということ』でお二人の先生からありました。
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現在の治療の主体となっている「免疫抑制作用を持つ治療薬(とくにステロイド)」に警鐘を鳴らす講演がありました。
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ステロイド外用治療で起こるリバウンド現象が理論的に説明されました。大きな課題が自分に突きつけられた、そんな思いで塩原先生の講演を聴きました。

学会の最後には、今は恒例となった全国の乾癬患者友の会主催による学習懇談会がありました。
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福島乾癬の会の相談医であり自らも乾癬を持つ佐藤守弘先生、大分乾癬の会の相談医であり、やはり乾癬を持つ佐藤俊宏先生が、「医師として、患者として」どんなふうに乾癬と関わりあってきたか、向き合ってきたかを全国から集まった100名をこす患者さん、医療関係者にお話しくださいました。「乾癬を持ってつらいと思ったことはない」(佐藤守弘先生)、「正直つらかった」(佐藤俊宏先生)と本音を語りながら、「家族への感謝」、「乾癬を持つことでしか得られなかった貴重な経験」を共通して述べられました。講演の後には聴衆の方々からの質問コーナーがありました。全国の相談医が勢ぞろいして考え、答えを出していく光景は圧巻でした。「心強い」と心の芯から思いました。

小生も、今では乾癬学会のマイナーとなってしまった「ビタミンD3外用剤」について、そして長年の課題であった「豊富温泉湯治効果」について報告を行いました。
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「乾癬の深淵」を垣間見ることができた学会でした。ここで学んだことをクリニックの中で、また患者会の中で皆さまと共有したいと思います。
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by kobayashi-skin-c | 2016-09-28 18:32 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2015年9月教室 『憧れのモンブラン』
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私の中学時代、1年生と3年生のときの担任は政本桂子先生。数学を担当し、熱心で少しおっかない存在の先生だった。そんな先生が、夏休みが終わった秋の授業で、「モンブラン」に登頂した話を聞かせてくれた。当時のこと、スライド写真などなかったものの、先生の話しに夢中になり、「いつかは自分も登ってみたい」と思ったものだった。小さい頃から家族でハイキングや山登りに行くことが多く、高校生になってからも、大学に入学してからも、自然と山登り、山歩きはよくしていたが、モンブランの夢はいつしか忘れてしまっていた。

中略

私たちのモンブラン登頂過程は、小林皮膚科クリニックホームページの院長ブログ「photo & essay」に掲載いたしました。
2015年7月 『憧れのモンブランへ』 July, 2015 "To Mont Blanc, My Dream"
2015年7月 『アルプス、エクラン国立公園に咲く花々』 July 2015 "Flowers in Des Ecrins of the Alps"
2015年7月 『モンブランの頂き』 July 2015 "The Summit of Mont Blanc"
2015年7月 『シャモニー・モンブランにて』 July 2015 "in Chamonix/Mont Blanc"
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by kobayashi-skin-c | 2015-10-02 19:16 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2015年8月教室 『北欧の街角から -乾癬の克服に向けたメッセージ-』
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第4回世界乾癬・関節炎会議が、7月8-11日、スウェーデンのストックホルムで開催されました。開会式の冒頭、主催者のIFPA 会長(International Federation of Psoriasis Associations 国際乾癬患者組織連盟)、Lars Ettarp氏が開会宣言を行いました。会議の合言葉は、Hope! Action! Change! (「希望」「行動」「変化」)。昨年5月24日の国際連合の「World Health Assembly 世界健康会議」においてWHOの提案「乾癬」が採択されたことは、乾癬の患者のみならず、乾癬にかかわる人すべてにおいて大きな前進でした。今回の世界会議の参加者はこの採択を重く受け止めて、行動を起こさなくてはなりません。
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これが国連で採択された動議です。
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10月29日のWorld Psoriasis Day(世界乾癬デー)には「Hope, Action, Change」を標語にみんなで参加しましょう。
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今年の会議で大きく注目された二つのテーマについて報告しましょう。一つは、やはりJames G Krueger先生(米国ロックフェラー大学)の研究、治療法の開発でしょう。

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乾癬が起こっている皮膚(乾癬皮膚)と、乾癬が起こっていない皮膚(正常皮膚)を比べると、いろんな違いが見えてきます。皮膚の中でどんな遺伝子が活発に動いているのか、逆に不活発なのかを乾癬皮膚と、正常皮膚で調べてみました。比較できる遺伝子の数が、2001年には159遺伝子でしたが、2010年には4175遺伝子にまで増えましたので、乾癬の発症メカニズムをより精細に調べることができるようになったと言ってよいでしょう。分かったことは、

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皮膚の防御力(免疫反応)で大切な一つの流れである「Tip-DCs(抗原提示樹状細胞) - TNF刺激」の主要経路=IL-23 & IL-17が、乾癬の発症に一番大きな役割を担っている、と実験結果が示しました。このことから、IL-23 & IL-17の働きを皮膚で抑えることができれば、かなりピンポイントに乾癬を治すことができると言うことです。IL-17をおさえるバイオロジックス(生物学的製剤)はすでに市販されて、その効果の目覚しさを実感されている方も多いと思います(日本が世界で一番早くこのバイオロジックスが使えるようになりました。商品名「コセンティクス」)。

IL-23をおさえるバイオロジックスは、もっと効くようです。
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まだ開発の初期段階ですが、1回の皮下注射で6ヶ月にわたって乾癬がほとんど消える効果が得られています。現在3種類の抗IL-23バイオロジックスの開発が進んでおり、いずれも既存のバイオロジックスよりも効果が優れているようです。
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Krueger先生の講演はたいへんエキサイティングでしたが、他のバイオロジックスと同じように、これからも長期的な副作用、治療費の問題について注意する必要があります。既存のバイオロジックスに比べ、その効果が、乾癬の発症メカニズムをピンポイントに抑えるため、副作用はより少ないことが期待されます。抗IL-23薬の登場が待たれます。


「psoriasis is more than skin deep」、「乾癬は皮膚の深さだけにとどまらない」の言葉は、乾癬は「皮膚だけではなく」、「精神的にも日常生活面にも、そして経済的にも大変である」ことを表現する言葉としてよく使われてきました。さらに乾癬が「皮膚の深さだけにとどまらない」さまざまな事実が明らかにされています。
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関節炎の頻度が高く、皮膚のつらさだけではなく、指が曲がらない、足が腫れていたい、腰が重いなど日常生活に重大な影響を与えます。眼にもブドウ膜炎が起こることがあります。さらに、心・血管系、腎臓の病気ともかかわり深いことが明らかにされました。そしてメタボとのかかわりが何よりも重大であり、予防、未病のための対策が必要です。寿命にもかかわってくるからです。
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内臓疾患、メタボとの関連は、乾癬が重症であるほど明確です。
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乾癬のコントロールを積極的に行うことで、内臓疾患を予防することが期待されています。さらにメタボ予防が大切です。米国国立衛生研究所(NIH)の心臓血管部門チーフ、Mehta先生は、次のように述べられました。
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特別なことではない、すべての乾癬患者さんは20歳を過ぎてからは健診を受けなさい、そしてメタボにならないよう日々努力をしなさい、ということです。「分かっちゃいるけどやめられない」では、「いかんのですぞ」。


会議場の一角に絵や彫刻が展示されていました。世界各国の乾癬患者さんが自らの気持ち、体験を描き出したものです。大きな感銘を受けました。3点を紹介します。
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「Floriasis」とはなんと美しい言葉でしょう。皮膚の表面に現れた「乾癬=psoriasis」ではなく、「花=floriasis」。その花に自信を持ちたい自分もある、でも打ちひしがれる自分もある、そんな気持ちを表した、これは作者自身のポートレートでしょうか。この展覧会を企画したAbbie(製薬メーカー)に脱帽。


この世界会議のすべてを記述することは不可能です。3度目の今回、あらためてこの世界会議の意義を問うとすれば、この会議は「世界の患者会が主催をした」ということ。「主役が患者」であるということ。医療の本質が「乾癬」をつうじて体現されていると、深く感銘を受けました。日本から、日本乾癬患者連合会を代表して、神奈川県乾癬患者友の会の奥瀬さんが参加されました。各国の患者会の人たちと積極的に交流されている姿をみて、日本からも世界に向けて、乾癬患者の声や希望が発信されていくときが遠からずくることを予感しました。
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会議のパーティーはストックホルム市庁舎で開かれました。毎年ノーベル賞受賞者の公式晩餐会・舞踏会が催される場所です。左からIFPA会長のLars Ettarp氏、小林衣子、奥瀬さん。
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by kobayashi-skin-c | 2015-08-31 19:07 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2014年6月教室 『乾癬の治療-10年ぶりの新しい外用剤-』
乾癬がどのようにして起こるのか、最近次々に新しいことが分かるようになってきています。原因究明の研究に呼応して、この数年で生物学的製剤治療がわが国でも使用されるようになり、目覚ましい効果が得られています。しかしながら、生物学的製剤治療をはじめ内服薬治療、紫外線治療には、治療効果の半面、副作用があったり、治療費が多額であったり、通院が頻繁であったりと、患者さんの負担面も生じます。多くの皮膚の病気と同様、乾癬の治療でも主役はやはり外用療法(塗り薬)です。約10年ぶりで、新しい乾癬の外用剤(塗り薬)が近々発売となります。その新薬のことも含め、もう一度乾癬の外用治療について勉強したいと思います。
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by kobayashi-skin-c | 2014-09-10 15:50 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2014年7月教室 『その赤ら顔、ひょっとして酒さ?』
「酒さ」はいわゆる「酒やけ」と呼ばれる顔の赤みですが、お酒とは全く関係なしに「赤ら顔」に悩まれる方が増えています。以前にも一度「皮膚の健康教室」で取り上げましたが、再度酒さの原因・治療について勉強しましょう。
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by kobayashi-skin-c | 2014-09-10 15:48 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2014年8月教室 『あせ、汗、アセ』
北海道の夏はあっという間に通り過ぎ、いつの間にやら秋風が吹き始めました。朝・夕は肌寒く感じる日もあります。でも、ちょっと前までは、蒸し風呂のような暑さが続くこの夏の日本列島。何だか毎年のように、何十年ぶりの暑さとか、日本最高気温の町とか、話題になりますね。「地球温暖化現象」は深刻!そんな時に『汗』の話題では、なお一層のこと暑苦しくなりそうですが、今『汗』が見直されています。そのキーワードは『汗は最高の天然保湿ローション』なのです。アトピー性皮膚炎は、皮膚の症状が夏に悪化することが多く、『汗は大敵!』と思われがちでした。しかし最近の研究では、アトピー性皮膚炎の方で多くみられる『乾燥肌、皮膚バリア障害』にとって、汗をかくことが何よりの保湿となり、皮膚症状の改善にも役立つことが分かってきました。そんな『汗』についてちょっと勉強してみましょう。
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by kobayashi-skin-c | 2014-09-10 15:46 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2013年12月17日教室 『今年を振り返って』
小林皮膚科クリニックが2000年5月に開院して以来、毎月『皮膚の健康教室』を続けてきました。クリニックのロビー・待合室が教室の会場です。その時々の話題や、みんなに知っておいてほしい知識、みんなで考えたい皮膚のトラブルなどをテーマに数を重ねてきました。それともう一つ、旅好き・山好きの私は写真をとることも好きなので、ときおり教室のテーマは旅と山になることがありました。とりわけ写真機がデジカメとなり、スライド映写がパソコンから直接プロジェクターへと接続できるようになってから、時折々の自然の景色や花々を見ていただけるようになりました。心の安らぎも皮膚科治療の一環、「とりわけ私たち医療者の心の平穏が大切である」をモットーに(こじつけして)、最近では山・旅に出かける機会も増えてきました。

今年は、有田副院長がクリニックに加わり、さらにそのレベルがアップしました。2月のイタリア・ドロミテスキーに始まり、5月のネパール、7月の大雪トムラウシ縦走、8月の剱岳・立山縦走、9月のバリ、そして11月の九州の山々、と今までにないほどの勢いで歩き、登り、滑り、思い出を写真におさめました。

このホームページのブログ "Photo & Essay" に記録しておりますのでご覧になって下さい。
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by kobayashi-skin-c | 2014-06-01 18:05 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2013年11月26日教室 『お子様がニキビで悩まないよう、お父さん、お母さんも知っておきたい豆知識』
「たかがニキビ、されどニキビ」

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 一生のうちでけっして通り過ぎることができない皮膚のトラブルが「ニキビ」。だれしもが経験する「ニキビ」。ニキビは、正確には「尋常性ざそう」とよばれます。ほんとうに「たかがニキビ」と済ませて良いのでしょうか。お父さんも言うように「ニキビは青春のシンボル、気にすんな!」で終わらせて良いのでしょうか。

 けっしてそうではありません。ニキビが患者さん(悩む人)にとって重大なQOL障害となることが分っています。QOLとは、"Quality of Life"。「生活の質」、「生きることの充実感」と呼ばれています。ニキビが起こる年齢はちょうど思春期であり、子供の体が大人の体質に変わるころです。男子であれば声変わりするころ、女子であれば初潮を迎えるころです。この思春期には体の内外にたくさんの変化が起こると同時に、心・精神にも重大な変化が起こり始めます。「自我の形成」です。「自分って何だろう?誰だろう?」、「お父さん、お母さんに甘えたい、でもうっとうしい」などの感情が心の中で渦巻きはじめます。そして、ついには「自我の確立」に至るのですが、自我の確立には「自らへの自信・自尊心」が欠かせません。この「自らへの自信・自尊心」の形成を、ニキビが大きく損なわせることが分っています。

 人はだれしも"Body Image"を持っています。窓ガラスや鏡に映る自分の姿を確かめたり、自分の影の足の長さを測ったり、自分を確かめながら、自分の理想の姿を心の中に描いています。しかしながら、理想の姿(ideal body image)と現実の姿(real body image)の間には溝があり、その溝に苦しみます。
 好きな人ができたりすると、その苦しみはなおいっそうのこと深まります。理想の姿を見て欲しいのに、自分の現実の姿はなんとかけ離れているのだろうか、と。意外とその好きな人の瞳の中ではニキビなんて見えてないのですが、でもBody Imageは自分の心の中のできごと。好きな人の気持ちも確かめないまま、「自らの自信・自尊心」に障害を受けて自信を失ってしまいます。ことに顔の皮膚の変化は心の中の重大なできごととなり、自我の形成に大きな悪影響をおよぼしてしまいます。

それがニキビの問題なのです。

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お父さん、お母さん、「たかがニキビ」ではありません。
「されどニキビ」。世界のニキビ治療は大きく変わっています。 わが国でも日本皮膚科学会が「尋常性ざそうの治療ガイドライン」を作成しました。今まで以上に実証性をふまえた治療が可能となっています。ニキビの治療は大きく変わりました。病院で処方される新しい外用薬がニキビの治療・予防に役立ちます。
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ニキビは皮膚の病気です。皮膚科医の適切なアドバイスが必要です。お父さん、お母さん、「たかがニキビが、・・・」と言う前に、「皮膚科で相談してごらん」の優しい言葉を忘れずに。新薬の情報・使い方は、クリニックのパンフレット等でお知らせいたします。


思春期、男性ホルモンの分泌が高まります(女性でも副腎で男性ホルモンは作られます)。男性ホルモンは皮膚にも、とくに毛嚢(毛包)、脂腺、アポクリン腺に働き、毛包出口(毛穴)の角質肥厚が起こり、同時に高まる脂腺の活動・皮脂の増加によってニキビが出現します。これが白ニキビ、黒ニキビです(面ポウ)。毛包にはニキビ菌が常在しているため、毛穴が閉じると同時にニキビ菌の活動が活発となり、炎症を起こしてしまいます(赤ニキビ)。さらに炎症のため毛包が破壊されると、強力な異物反応がおこり、大きく腫れたり、皮膚のひきつれが起こってしまいます(ニキビケロイド)。
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毛包出口(毛穴)の角質肥厚を改善させるのが新しいニキビ薬=アダパレン(商品名ディフェリンゲル)です。ニキビ菌を抑える薬としては抗菌薬であるミノマイシン、ルリッド、ファロムなどの内服薬、ダラシン、アクアチムなどの外用薬が使われます。

重症のニキビ治療が、まだわが国では遅れています。大きなぶよぶよとしたニキビができたり、ニキビ痕がケロイド状になったりするタイプは、既存の内服薬、外用薬で容易に改善しません。海外では「イソトレチノイン」の内服が使われています。副作用も少なからずあるため、日本では保険薬として認可されていませんが、重症ニキビには有用であり、わが国でも医師の適切な処方のもとで保険薬として使えるようになることを願っています。
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by kobayashi-skin-c | 2013-11-28 19:23 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)
2013年10月26日教室 『皮膚の腫瘍 -放っておいて良いの?皮膚ガンなの?』
「しずちゃん」こと南海キャンディーズ・山崎静代(34才)のボクシング専属トレーナーだった梅津正彦さん(享年44)が7月23日、末期がんで亡くなった。そのがんは「メラノーマ(悪性黒色腫、皮膚がん)」だった。
このため、クリニックには皮膚がんを心配する多くの患者さんが訪れるようになった。
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皮膚はたいへん巧妙に作られており、さまざまな働きを行うとともに、たくさんの種類の細胞からできています。このため皮膚にできる腫瘍にもいろんな種類、さまざまな形や色があり、診断・治療はたいへん難しいものです。
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現在では、診断の精度をあげるために「ダーモスコピー」で腫瘍を観察しています。小林皮膚科クリニックでも行っています。しかし、それでも皮膚の腫瘍は要注意!
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by kobayashi-skin-c | 2013-11-06 19:59 | 「皮膚の健康教室」抄録 | Comments(0)