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by kobayashi-skin-c
| 2024-01-02 12:14
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『熊野古道、お伊勢さん -その3-』
飛雪の滝で滝行、水垢離を終えた翌朝、「お伊勢さん」を目指しました。 飛雪の滝キャンプ場から、紀宝町町民バスに乗り(1時間、たった100円、私たち以外の乗客はたった一人)、終点の紀宝町役場へ。歩いて15分の鵜殿駅からJR紀勢本線、参宮線を鈍行で乗り継ぐこと4時間。美しいリアス式海岸を眺めているうち、お伊勢さん(伊勢市駅)に到着しました。 伊勢市駅を出ると目の前が「伊勢神宮外宮」です。二人にとって初めての「外宮」参宮でした。 なにごとの おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる (西行) これほどまで神宮を前にして自らの感動を謳いあげた言葉があるでしょうか。 神宮が醸し出す「厳かさ」、「神々しさ」とは一体何なのでしょう。 日本人としての原点を感じる時でした。 余談:外宮からの移動は歩きでなくタクシーを使いました。運転手さんに「伊久までお願いします」と伝えたのですが、首をかしげながら「電話番号は分かる?」とGPSを睨んでいます。終いには会社と連絡を取り始めました。(私)「伊久ですよ、内宮の近くの老舗旅館伊久ですよ!(そんな有名な旅館も知らないのか、この運ちゃん)」、(運転手さん)「何、伊久のことかい、そこなら目をつぶってでも行けるわい!」。この成り立たない会話は、私は「伊久」(いく)と連呼し、正しくは「伊久」(いきゅう)だったという顛末でした。おそまつ 翌朝、宇治橋に建つ鳥居から、この季節にしか見ることができない日の出を遥拝し、五十鈴川の河原で手水をとり、内宮に参宮しました。ふたたび、 なにごとの おはしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる (西行) の和歌が心に浮かびます。いったい何なのでしょう、この感動は。 そして父に、母に、衣子に、子供たちに、先祖の皆に、感謝の念を捧げました。 「熊野古道、お伊勢さん」にお付き合いいただきありがとうございました。 皆さまのご健康とご多幸を心からお祈り申し上げます。良い年をお迎えください。 #
by kobayashi-skin-c
| 2023-12-28 18:21
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11月30日に札幌を出発し、12月1日から歩き始めた「熊野古道中辺路」。
今日は12月3日、早朝「湯峯王子」を出発し、「大日越」の峠の先に「大斎原」の大鳥居をくぐり、熊野本宮大社に参詣しました。 「その1」に続き「熊野古道、お伊勢さん-その2-」 12月3日、今日はさらに「那智大社」を目指し、中辺路を先に進みます。 待ち受けるのは「小雲取越」の峠。670m登り、690m下ります。 峠の頂上「百間ぐら」からの眺望は見事でした。幾重にも山々が連なり、山並みの色合いが遠くかすんでいきます。紀伊山地ならではの景観でしょうか。 12月4日、中辺路4日目。クライマックスの「大雲取越」、そして「那智の滝」。 朝日に照らされる小口の村を出発。霧がかかっていました。そもそも「大雲取」とは雲を取るほどの高い山の中、ということらしいです。 いきなりの急登。朝日に向かって「いざ見参!」 やっとのことで峠の頂上(越前峠、標高870m、中辺路の最高所)に着くと、今度は延々とアップダウンの尾根道が続きます。眺望があると少しは気持ちも明るくなるのですが、いつまでも暗い杉木立と嘆いていたら、 ここからは下って、下って、下って、ついに 夜は滝が見える民宿に宿泊。 この日歩いたのは、34,800歩、19.7㎞(のぼり1454m、くだり1265m)、行動時間8:09でした。 12月5日、熊野古道中辺路五日目。朝から雲が低く垂れこめていました。氷雨に濡れそぼりながら、早朝、熊野那智大社に参拝。併せて那智山青岸渡寺にも参詣しました。 大門坂を下ってからは、濡れた路面の国道歩きが続くので、バスに乗ることとしました。那智駅からはJRで新宮へ。駅からまず「神倉神社」に向かいました。そう、あの「ごとびき岩」が鎮座しています。 この日歩いたのは、12,095歩、7.9km(のぼり310m、くだり620m)、行動時間6:30。 5日間の合計は、155,052歩、89.2km、のぼり5357m、くだり5594mでした。距離もさることながら、いかに登り下りが多かったことか! 衣子さん、ありがとう。今夜はゆっくり休みましょう。 と言うわけで、この日は新宮市の隣、三重県紀宝町にある「飛雪の滝キャンプ場」へ。どういうわけかと言うと、 2023年12月 『熊野古道、お伊勢さん -その3-』 December 2023"Pilgrimage of Kumano (Kumano-Kodo) & Ise Jingu, No3" に続きます。 #
by kobayashi-skin-c
| 2023-12-28 17:09
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今年最後の旅に「熊野古道、お伊勢さん」を選びました。 この春には「四国八十八霊場の巡礼」を終え、夏には「ツールドモンブラン」。 そしてもう一度、祈りの旅です。 熊野古道を知るきっかけとなったのは、2004年ユネスコの世界文化遺産に「紀伊山地の霊場と参詣道」が登録されたことでした。以後ずっと熊野古道歩きに憧れていました。退職したことがきっかけとなり、祈りの旅へと背中を押された気がします。4月に四国遍路、そして熊野古道巡礼となると、いかにも神・仏の世界に入っていく敬虔な出家者を想像されるかもしれませんが、さにあらず。私にとっては、旅そして山登りの延長線上の楽しみかもしれません。こんな光景に憧れていたのです。 熊野古道について皆さまも良くご存知かもしれませんが、ちょっとだけ説明。 平安装束に身を包んだ女御さまが、奥深い山道を歩き、熊野本宮大社に参詣していますね。もちろん現代の写真ですが、熊野古道の光景としていちばん相応しいもので、皆さまもこれぞ「熊野古道」と思い浮かべることでしょう。 「熊野本宮大社」、そして「熊野速玉大社」、「熊野那智大社」の三社を併せて「熊野三山」と呼びます。 歴史は古く、神代の時代にまでさかのぼりますが、 古代から中世にかけて神仏混交も相まり、本宮・新宮・那智の熊野三山の信仰が高まりました。上皇・法皇・女院や庶民にいたるまで、旅人の切れ目がなく行列ができた様子から「蟻の熊野詣(もうで)」と例えられるほど多くの人々が熊野に参詣しました。 平安時代後期には白河上皇が12回、鳥羽上皇が23回、後白河法皇が34回、さらに鎌倉時代に入って後鳥羽上皇が28回と、皇族だけでも130年間で97回も熊野参詣がおこなわれています。和泉式部、在原業平、藤原定家などの名もあります。 「蟻の熊野詣(もうで)」と例えられるほど、なぜ人々に愛されてきたのか、その信仰的なバックグランドは歴史の本に譲るとして、私たちも歩いてそれを感じたいと思います。 熊野古道は、京の都から熊野三山を結ぶルートとして、古代から現代にいたるまで続いています。京都から大阪・和歌山を経て田辺に至る紀伊路、田辺から山中に分け入り熊野本宮を経て那智・新宮へ向かう「中辺路(なかへち)」、田辺から海岸線沿いに那智・新宮へ向かう「大辺路(おおへち)」、高野山から熊野へ向かう「小辺路(こへち)」、伊勢と熊野を結ぶ「伊勢路」、吉野・大峯と熊野本宮をつなぐ山岳修験道「大峯奥駈道」など、いくつかのルートがあります。 私たちは、もっとも多くの人が足を運んだ「中辺路」を、田辺市の「滝尻王子」から、「熊野本宮大社」へ。小雲取、大雲取を越えて「那智大社」。そして新宮の「速玉大社」へと歩みました。 上皇も、法皇も、女院さまも歩かれた参詣道。私たちには物足りないくらいかと想像していたのですが………… ここで一口メモ:「王子」とは? 京都から熊野三山にいたる途次、難行苦行の信仰の道をつなぐために設けられた神社。水垢離などの禊をおこなったり、和歌会、神楽などの法楽をおこない旅の安全を祈願する場でした。「九十九王子」と呼ばれるほど、たくさんの王子があったと言われます。現在、宮、社が残るのはわずかで、多くは碑がひっそりとたたずんでいるだけです。 滝尻王子を出発すると、いきなり急坂です。そして間もなく「胎内くぐり」の大岩が待ち受けてました。熊野三山は「甦りの地」と言われています。 熊野速玉大社が前世の罪を浄め、熊野那智大社が現世の縁を結び、熊野本宮大社が来世を救済するといわれ、熊野三山を巡れば、過去、現在、未来の安寧を得る「甦りの地」と考えられているのです。私たちもさっそくこの「胎内くぐり」をくぐり抜けて「甦りました」。けっこう狭いので(特に出口)、お腹周りが気になる方は、引き返した方が賢明です。 アップダウンを繰り返しながら杉木立の中を歩きます。足元はおおむね山道ですが、たいへんきれいに整備され、石段、石畳も続きます。 紅葉もきれいでした。 この日の宿「民宿つぎざくら」に着いたのは、もう日が暮れかかるころでした。 「意外ときつかった!」。 この日歩いたのは、34,614歩、19.9km(のぼり1337m、くだり941m)、行動時間8:09でした。お宿のビールのなんと美味しかったこと!そして、夕食のなんと豪華だったこと。宿のお父さん、お母さんに感謝です。 12月2日、中辺路二日目。 翌朝お父さん、お母さんに見送られて出発。今日は湯峯王子(湯の峰温泉)まで。途中「赤木越」の難所もあります。まずは「継桜王子」にお詣り。境内の杉の巨木に抱かれ、新生、神聖な気持ちに。 ところが、この厳かな杉の木なのですが、歩けども、登れども、杉木立ばかり やっとのことで「湯峯王子」(湯の峰温泉)に到着。 この日歩いたのは、39,358歩、22.5km(のぼり1100m、くだり1478m)、行動時間8:26。 湯の峰温泉は「甦りの湯」とも呼ばれ、弱アルカリ性、肌がツルツルになりました。温泉で体を癒し、明日はいよいよ熊野本宮大社へ。 12月3日、熊野古道中辺路三日目。 早朝「湯峯王子」を出発し「大日越」の峠を越え、その先に「大斎原(おおゆのはら)」の大鳥居が目に入ってきました。熊野川の中州にあり、かつての熊野本宮大社はここに建っていました。明治22年の水害で大半が流出し、今の場所に遷座したとのことです。 さあ、さらに難行苦行が続きます。後半戦の記事にご期待ください。
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by kobayashi-skin-c
| 2023-12-28 06:36
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冬は突然、やって来る。
小春日和の紅葉を愛でているさなか、ブルっと初雪。景色は一変した。 それにしても、最近の天気予報はどうしてこんなに当たるんだろう。 テレビから「北海道の日本海側では今夜から雪となるでしょう、車の運転にはくれぐれもお気をつけください」の声が流れる。 便利にはなったのだが、「つまんねえの 」。 しばらくは積もったり、溶けたりを繰り返しながら、真冬の根雪へと向かっていく。 衣服も、家も、道路も、情報も、生活全般、昔とは比べ物にならないほど便利になった。でもその分、季節感が鈍くなり、情緒が薄らいでいるように感じる。
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by kobayashi-skin-c
| 2023-11-19 13:48
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