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2011年7月、ヨーロッパでの会合を機会に、憧れのスイスアルプスを訪ねました。グリンデルヴァルトの町を起点に、山小屋に泊まりながら、花々が咲き乱れるトレッキングコースを歩きました。美しい山々の姿は、あらゆる方向からも、みる時間帯でも、ちょっとした光線の加減でも、さまざまな感動を与えてくれました。急速に減少しているという氷河、あまりに観光化された麓の町々、あふれる観光客の問題にも気付かされましたが、トレッキングコースでは誰にも会わず静かな山歩きを楽しむことができ、自然の懐の深さに優しく抱かれました。いつまでも、永遠にその優しさと美しさを保ち続けて欲しい、そんなアルプスでした。好きな写真を何枚かご紹介します。
グリンデルヴァルトの町からアイガー北壁を望む ![]() クライネシャイデックへの散歩道からグリンデルヴァルトの町、その向こうにヴェッタ―ホルンを望む ![]() アルペンローゼの花と、後ろはメンヒ ![]() クライネシャイデックからヴェンゲンへの散歩道、アイガー、メンヒを望む ![]() ユングフラウの夕焼け(Abend rot)、オーベルシュタインベルク小屋から ![]() 夕焼けのユングフラウと牛と。トレッキングコースは牧草地(アルプ)の中を巡る。したがって牛たちに囲まれながら、遠慮しながら、糞に注意しながらの山歩き。 ![]() オーベルシュタインベルク小屋からブライトホルン氷河を目指す ![]() お花畑の中を歩く ![]() 左からアイガー、メンヒ、ユングフラウ ![]() 新雪のアイガー、メンヒ ![]() アルプスの花々 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() オーベルシュタインベルク小屋 ルツェルンの町 ![]() ![]() ![]() ルツェルン郊外、リギ山を歩く。ルツェルン湖畔の町フィッツナウを望みながら ![]() またきっと訪れたい、アルプスの山々、そんな思いにふけりながら ![]() #
by kobayashi-skin-c
| 2011-12-28 12:58
| PHOTO & ESSAY
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お顔の赤らみで困っている方、意外と多くありませんか?お酒を飲んでいるわけでもないのに、「あらどうしたの?昼っ間からお酒を飲んで!」と友達から言われた経験はありませんか。皮膚のトラブルに「酒さ」と呼ばれる皮膚の変化があります。ここでもお酒の文字が出てきます、そして俗には「酒やけ」とも呼ばれるものの、必ずしもお酒とは関係なく生じる皮膚の病気があるのです。これが意外と多い!顔の赤みで悩んでおられる方、それって「酒さ」かも。そしてそこには落とし穴もあります。皆で勉強してみましょう、顔の赤らみを。
「酒 さ」 1.「酒さ」は、30代から60代の人に多い、炎症性かつ進行性の顔の慢性疾患です。2.「大人のニキビ」と誤って呼ばれることもありますが、「酒さ」はまったくニキビとは違う疾患で、赤み、小さな吹き出物、顔面の毛細血管の拡張などといった症状を引き起こします。 3.「酒さ」は「酒やけ」と訳されますが、お酒を飲まない人にも起こります。皮膚の加齢現象の一つであり、ストレス、日光、飲酒などが悪化させます。 「酒さ」は症状の程度により軽症(第一度)、中等症(第二度)、重症(第三度)に分けられます。 第一、二度の症状は外用薬(塗り薬)、内服薬(飲み薬)でコントロールが可能ですが、第三度では根治が難しく皮膚手術が必要となります。早いうちに気付き、適切なケア・治療を早く始めることが大切です。 軽症(第一度) ![]() 顔が赤らみやすくなり、顔の中心部に、なかなか消えない赤みが出現します。この赤みは、皮膚の表面に近い血管が広がることによるものです。 中等症(第二度) ![]() この段階では、赤みに加え、赤い発疹=酒さ性ざそう(ニキビ)が鼻、頬、額、顎などに現れます。 重症(第三度) ![]() 重症になると、鼻や、時に頬の脂腺が拡張し、皮膚の組織が密集して赤みを帯びるようになります。 「酒さ」と区別が難しい疾患 ・酒さ様皮膚炎(口囲皮膚炎) 多くの場合ステロイド含有外用剤の副作用で生じるが、「酒さ」との鑑別が困難な場合が多い。 ・脂漏性皮膚炎 ・アトピー性皮膚炎 ・接触性皮膚炎(化粧かぶれ) ・SLE(蝶形紅斑) 「酒さ」の悪化要因 日光、カフェイン、アルコール、刺激の強い食べ物、ストレス、極端な高温・低温などの悪化要因を避けるようにしたほうが良いでしょう。人により悪化要因は異なります。自分にとっての原因を見つけるために、毎日の食事や行動などを記録すると役に立つかもしれません。詳しくは皮膚科医を受診しアドバイスを受けましょう。 「酒さ」の治療 「酒さ」を完治させる治療法はありませんが、病状のコントロールは可能です。「酒さ」は慢性の疾患であるため、治療は、症状を軽くすることと、症状が出ない状態を維持することを目的としています。皮膚科で処方される薬と、皮膚科医の推奨するスキンケアにより、症状をコントロールし、悪化を防ぎます。 「酒さ」治療の実際 エビデンスレベルの高い治療 1)テトラサイクリン、ミノサイクリン内服 2)メトロニダゾール外用 3)アゼレイン酸外用 4)免疫抑制薬(プロトピック軟膏など)外用 エビデンスレベルの低い治療 1)漢方薬、2)ビタミン剤、3)NSAIDs外用 4)手術治療(第三度に対し用いられる) 5)レーザー治療など 避けるべき治療 1)ステロイド外用・内服 治療に際しての注意事項 ・「酒さ」は慢性の疾患であるため、良くなったり悪くなったりくりかえします。皮膚科医のアドバイスに基づいた適切な治療とスキンケアにより、悪化した時の症状をコントロールしましょう。 ・「酒さ」は顔に表れるトラブルのため、精神心理的影響が大きいものです。逆に、そのストレスがさらに症状を悪化させます。主治医にしっかりと相談しましょう。 情報・画像の一部は、インターネット(www.galderma.jp/)から引用させていただきました。 #
by kobayashi-skin-c
| 2011-12-25 18:01
| 「皮膚の健康教室」抄録
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大雪の山々に始まった紅葉は、しだいに山麓へ、そして里へと
下りてくる。雪が降り始めるころ、札幌の街中が最後の紅葉に 燃え立つ。今年も北大キャンパスは美しく彩られた。 ![]() ![]() ![]() ![]() そして、観測史上3番目に遅いという初雪がキャンパスを白く覆った。 ![]() #
by kobayashi-skin-c
| 2011-11-23 19:32
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皮膚にとって最大の敵は「乾燥」。
そもそも生物は海(水の中)で誕生しました。私たち人間も、 お母さんのおなかの中では、「羊水」と呼ばれる水の中で発生・ 発育を遂げ、「おぎゃあ」のひと声とともに空気を肺に吸い込み、 乾燥した空気の中で生きることを始めます。乾燥した空気の中で 生きることができるよう、この「おぎゃあ」の瞬間から皮膚も 変容します。かたくとも潤いのある角質の形成、汗・皮脂の分泌 などです。しかしながら、年齢とともにこの能力は減弱し、 乾燥肌が顕著となり、皮膚のかゆみ・湿疹などのトラブルを起こ したり、皮膚の老化を早めます。あるいは過度の清潔志向から、 若者の間でも乾燥肌による皮膚のトラブルが頻発するようになって きました。とくにアトピーの悪化です。健康教室では、乾燥肌 予防について、実際の保湿剤の使い方も交えながら、みんなで 考えたいと思います。 乾燥肌のトラブル ①皮脂欠乏症(乾皮症) 皮膚の表面の皮脂膜、天然保湿成分が減少し、皮膚バリアが不完全と なり、皮膚の水分量が減少し、乾燥肌となります。中高年者のすね、 腰、肩などによくみられます。女性は40代、男性は50代から 始まります。 ②皮脂欠乏性湿疹(乾燥性皮膚炎) 乾燥肌が続くとかゆみが生じ、夜間など引っ掻くようになります。 とくに空気が乾燥し始める秋から冬に症状が悪化します。 特徴は、皮膚の表面が砂漠のようにひび割れます。引っかき傷からは、 ジクジクとしたリンパ液がもれ出し、貨幣状湿疹と呼ばれる状態と なります。 ![]() ![]() ③アトピー性皮膚炎の悪化 アトピーは最近では皮膚バリア疾患とも呼ばれ、体質的に乾燥を起こし やすい肌質を持っているため、秋から冬、春にかけてかゆみが悪化します。 ④乾癬の悪化 乾癬の患者さんの多くは、冬に乾癬が悪くなることを経験しています。 夏に比べ日光浴ができないことも大きな要因ですが、乾燥による皮膚 バリアの破損がケブネル現象を起こしやすくさせていると考えられます。 すねの乾癬が頑固なのも、乾燥しやすい場所だからです。 また冬に多いのど風邪も乾癬の悪化につながります。 日常生活で気を付けること ①湿度を保つ。理想的には60%。 ②ごしごし洗わない。ナイロンタオル、垢すりタオルは絶対だめ。 ③石鹸を使い過ぎない。ボディーソープの方が乾燥肌を起こしやすい。 冬の期間は1週間に1、2回の石鹸洗いで十分!タオルではなく 手のひらで。 ④バランスの良い栄養を。天然保湿成分はタンパク質。 ⑤十分で快適な睡眠を。 ⑥下着は綿が最適。汗をつなぎとめてくれます。 ⑦暖房器具の使い方に注意。温風を直接当てない、ストーブに近づき 過ぎない、暖房、電気毛布は寝る前にはスイッチを切る、など おもな保湿剤とその薬理作用 ①水分吸着保湿作用 ヒルドイド、ビーソフテンなど ②水分吸着保湿作用+角質融解作用 尿素製剤(ウレパール、パスタロン、ケラチナミンなど) ③表皮の新陳代謝改善 ビタミン含有軟膏(ザーネ、ユベラなど) ④被膜形成により水分の蒸発を防ぐ作用 ワセリンなど古典的外用剤 #
by kobayashi-skin-c
| 2011-11-23 19:06
| 「皮膚の健康教室」抄録
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お子さんの皮膚のトラブルとしてもっとも多いのは、やはり湿疹、あせも。なかでもアトピーがお母さんを(お父さんも)悩ませます。いったい、なぜうちの子が?何が悪いの?食べ物?ダニ・ほこり?ストレス?明確な解答はだれも持っていませんが、みんなで考えてみましょう、お子さんのスキンケアを、心と体のケアを。
子供の皮膚の特徴 1.生命維持に不可欠な皮膚は、母胎内環境から外気環境に変わると同時に劇的な変化を遂げ、急速に皮膚バリア機能を成熟させる。 2.小児の皮膚も基本構造をすべて備える。 3.皮膚・皮下脂肪の厚さは大人に比べ薄く、細胞の水分含量が多い。 4.皮膚附属器(毛、爪、脂腺、汗腺)は未熟だが、単位面積あたりの個数が大人より多く、機能は十分にある。 子供の皮膚で気をつけなくてはならないこと ①皮膚の役割で一番大切な「体内を守るバリア機能」を十分に備えていることから、むやみに清潔保持のための消毒、清拭などを行わない。 ②皮膚が薄く、水分含量が多いので、皮膚からの薬の吸収度が大人よりも大きい。外用剤(塗り薬)は大人よりも弱めにする。 ③小児期の皮膚幹細胞の発生・発育過程はまだよく分かっていないが、幹細胞の遺伝子に傷がつくと、将来的な皮膚がんの発生が懸念されるので、DNA損傷をきたすような過度の日光浴、やけどには気をつける。 小児の皮膚のトラブル 神奈川県立小児医療センター皮膚科(馬場直子先生)の 報告(1994年)では、 1.湿疹・皮膚炎(アトピー性皮膚炎など) 2.母斑・血管腫(ほくろ、赤あざ、黒あざなど) 3.感染症 ①ウイルス性感染症(イボ、ミズイボ、はしか、風疹、手足口病、リンゴ病など)②細菌感染症(とびひ、おでき、SSSSなど)③真菌感染症(カンジダ症、みずむしなど)④虫による感染症(アタマジラミ、疥癬など) 4.良性腫瘍(毛母腫など) 5.薬疹・中毒疹 6.毛髪異常(円形脱毛症など) 7.蕁麻疹 8.そのほか、やけど、爪の異常、形成異常(副乳、副耳など)、魚鱗癬など角化異常症 小林皮膚科クリニックでの集計はありませんが、やはり圧倒的に多くの湿疹・皮膚炎(アトピー)のお子さんが受診されています。 アトピー性皮膚炎 <原 因> アトピーの原因はまだピンポイントには分かっていません。かつてはアレルギー一本槍に考えられていましたが、最近の研究では、肌質的に(生れつき)皮膚のバリア機能が弱い(乾燥肌を起こしやすい)ことが、アレルギーよりもさらに根っこの原因であることが明らかにされました。その詳しい内容は、2010年6月22日皮膚の健康教室『アトピー性皮膚炎の原因と治療』の抄録を参考にしてください。 <スキンケア> アトピー性皮膚炎のお子様を持たれるお母さんに、一番して欲しくないこと。それは「清潔が一番」と、毎日お風呂に入れさせたり、肌をごしごし洗ったりすることです。 北海道のアトピー性皮膚炎の患者さんでは、夏よりも冬に悪化する人のほうが多く見られます。これはもちろん冬の空気のほうが、とくに室内では乾燥しているからです。毎日の入浴、石鹸による清拭は皮膚をますます乾燥させて、かゆみに拍車をかけ、皮膚を悪化させます。 「保湿剤の使用はアトピー性皮膚炎のスキンケアに有用である」ことが医学的調査から明らかにされており、日本皮膚科学会のアトピーガイドラインでも治療の重要な項目と位置付けられています。ただし湿疹が重症な時は、保湿剤の使用がかえってかゆみを引き起こしたり、かぶれの原因になったりしますので、皮膚炎をきちんとコントロールしたうえで保湿剤を塗ることが大切です。とくに尿素が入った保湿剤は刺激を起こしやすく、皮膚バリアを壊してしまう作用を持ちますので、注意が必要です。 <治 療> 【根拠が高い治療】 1.ステロイド剤外用 2.免疫抑制剤外用 3.ステロイド内服 4.免疫抑制剤内服 5.スキンケア 6.紫外線治療 【根拠が少ない治療】 •抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤内服 •脱感作療法 •抗ダニ対策 •漢 方 薬 •非ステロイド・抗炎症薬外用 •心理療法 •消毒・抗菌治療 これはEBM(evidence based medicine 根拠に基づいた医療)の観点からみた治療の選択手段です。スタンダードな方法であり、小林皮膚科クリニックでも1~6の治療手段を用いています。しかしながら、大多数の患者さんにそうであっても、個々の患者さんではこれらが合わない場合もあります。その人その人に、そしてその時その時に合った治療方法を選ばなくてはなりません。 <医師によって言うことが違う?> ステロイド外用剤の使い方、食べ物アレルギーの気を付け方などで、ずいぶんと医師の説明に違いがあり、混乱された患者さん、お母さんがおられると思います。日本アレルギー学会、日本皮膚科学会のアトピーガイドライン策定後から、そうした混乱は減ったように思いますが、今でも小児科の先生と皮膚科の先生で多少温度差があるように感じます。 【小児科医vs皮膚科医の温度差】 1.小児科ではステロイド外用剤はマイルドなものを選ぶことが多く、NSAID外用薬も頻繁に使われる。 → 私たち皮膚科医の考えた方 ①NSAID外用薬はかぶれを起す(ブフェキサマック軟膏は発売中止)。 ②NSAIDはTh1サイトカインを選択的に抑制し、 逆にTh2(アトピー型のアレルギー反応)をたかめる。 ③マイルドなステロイド外用治療は炎症を慢性化する。 ④濃度を希釈しても副作用が減るわけではない。 2.小児科ではプロトピック軟膏を敬遠する傾向がある。 → 私たち皮膚科医の考えた方 ①プロトピック軟膏は免疫抑制からリンパ腫を懸念されたが、動物実験とじっさいの臨床は異なる。 ②プロトピック軟膏は使用当初刺激症状があるが、初回処方時にきちんと説明すると、乗越えられる。 ③プロトピック軟膏は眼への影響がないのでまぶたにも最適である。 ④バリア機能が回復すると、プロトピック軟膏は経皮吸収されないので、より副作用を起しにくい。 3.小児科では、食物アレルギーを原因として重視する傾向があり、過度の食物制限がときにみられる。 → 私たち皮膚科医の考えた方 ①食物アレルギーは確かに存在する疾患であるが、アトピー性皮膚炎とは別疾患である。 ②食物アレルギーはアナフィラキシー型がほとんどで、湿疹型への関与は少ない。 ④行き過ぎた除去食はこどもにとって有害である。 以上、お子さんの皮膚のトラブル、スキンケアについて、アトピー性皮膚炎を中心に勉強しました。 #
by kobayashi-skin-c
| 2011-10-30 17:57
| 「皮膚の健康教室」抄録
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